ヘタレαにつかまりまして

三日月

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「へへっ、ごめんやで。
嬉しくって・・・」


前を向き直した三枝は、緩みきった口許で笑った。
心なしか、走るスピードが早くなる。
周りの視線が外れたのを確認してから、もう一度隣へ移動した。


「三枝も、少しは寂しく思ってくれていた、ということでいいのか?」

「・・・うん」


はにかみながら、頷く三枝。
寒さのせいか、照れたせいか。
頬も耳の端も赤く染まっている。
俺にも伝染して、顔が熱くなった。


「そうか・・・」

「かなちゃんの周り、人が増えてるし楽しそうやし。
そんなふうに言って貰えるなんて、思わんかったわ」

「あれは、俺と言うかヤマの周りだろう。
だいたい、あのメンバーで友達だと思えるのは、三枝と樟葉だけだ」


ヤマは、友達じゃない。
松野達は、互いにヤマを中心に集まっている群れの一員。
あっちは、ヤマの番である俺に気を使うし。
俺も、それがわかっているから気を使う。
友達とは、とても言い難い。
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