ヘタレαにつかまりまして

31 追試

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｢そんなん、ちゃうよ！
かなちゃん、悲しい顔せんといてぇやっ｣


両手を振って否定はしてくれるが・・・年明けから、三枝とまともに話す時間がない。
ヤマは傍にいてくれるし、松野達もいるから何の不自由もなく学校での生活は継続出来ているが、だ。

三枝の存在は、ヤマとは別の意味で俺にとって別格なんだ。
初めて出来た友達。
そして、ずっとこれからも友達でいたい。


｢本当か？｣


否定されても、走るスピードも気分も落ちたまま。
グラウンドの中央では、教師が｢残り10分っ｣と拡声器を使って20分間走の半ばを告げる。

5分経過した時は、樟葉が同じ場所でカウントを担当していたが全く何を言っているのか聞き取れなかった。
樟葉を探すと、校庭の外周を走らされているα組の見学中。
野球部のベンチに腰掛けているのが見えた。

あと、10分は三枝と話せるな。