ヘタレαにつかまりまして

三日月

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30 舞台

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「よーーーーーっし!
この二人のことは、任せてもらおうっっ」


樟葉に案内され、プレミアム席の中でも舞台のセンターが見やすい特等席に入ると。
樟葉父が、唇の隙間から白い歯を輝かせ、俺と遥馬さんがこの席を共有することを快諾してくれた。

遠目で見ても印象に残る体型だが。
近くで見ると、益々だな。
見慣れた和服姿ではまだ隠れていたが・・・洋服姿だと、身体のラインがハッキリ表れ過ぎる。
筋肉粒々の身体をまるで無理矢理封じ込めているようにしか見えない。
胸のボタンとズボンが弾けそうなくらいに膨らんでいる。

恐らく特注の黒ジャケットなんだろうが、なんというか、あちらの人にしか見えないな。

樟葉先輩にも、樟葉にも似ていない、太眉ギョロ目の樟葉父に握手を求められ。
初めて樟葉父を見た遥馬さんは、その宮司らしからぬ外見に戸惑い気味。

俺の世代のαのパーティは、御珠神社でよく開催されていた。
見る度にムキムキになる宮司に、一体何を目指しているんだろうと不思議に思っていたな。


「よ、よろしくお願いいたし、ます」


遥馬さんの腰は、完全に引けていた。
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