ヘタレαにつかまりまして

三日月

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30 舞台

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「・・・兄貴、遥馬さんが泣きそう」


ヤマはいつまでも止めそうにない、周りを無視した二人のやり取りに溜め息をつき、清人さんに現状を知らせる。
清人さんの後方では、確かに遥馬さんがブルブル小動物のように震えて涙目になっていた。


「ハル、ごめん。
余裕が無くて、怖がらせたね」


くるりと方向転換した清人さんは、遥馬さんの前で膝を屈めて頭を撫でる。
そこに辿り着くまでに、床に倒れていたスタッフ達は完全にスルー。
本当に、清人さんは遥馬さん以外はどうでもいいんだな。

遥馬さんは、至近距離の清人さんに今度は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
清人さんはその様子に目を細めている。
番になっても初々しい遥馬さんが、可愛くて堪らないんだな。

飛鳥さんは、そんな二人と床に倒れているスタッフに目をやり溜め息。


「あら、いやだわ。
愚弟につられたわね。
ほら、休憩にはまだ早いわよ。
さっさと立って仕事に戻りなさい」


「立てないなんて言わせない」ニッコリ笑った加害者に。
被害者一同は、半笑いで立ち上がるしかなかった。
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