ヘタレαにつかまりまして

三日月

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30 舞台

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「は、はイィッ」


裏返った声で返事をして、慌てて立ち上がる遥馬さん。
勢いよく立ちすぎて、パイプ椅子がその後ろでガタガタ音を立てた。

こんなに遥馬さんを怯えさせてしまったら・・・
清人さんが、予想通り間に割り込み飛鳥さんを見下ろした。


「ハルに命令するな」

「あら、愚弟には命令に聞こえたの?
遥馬を気にして、愚鈍に輪を掛け仕事に身が入っていない給料泥棒は、頭だけじゃなく耳まで先に盗まれていたのかしら?」


ゴォォォーーーーーー・・・・

二人を取り囲む荒れ狂うフェロモンが見えそうだ。
努めて冷静に、お互い声を荒げることもなく。
むしろ、冷ややかな笑みまで浮かべて話しているんだが。

周りのスタッフやモデルは、その裏で繰り広げているフェロモンのやり取りに反応してバタバタ倒れる。
多分被害を受けているのはαなんだろうな。
その場で腰を抜かしたり、胸を押さえて呼吸確保に呻く者が多数。

ここは普段の食堂じゃないし、いくら控え室でも不味いんじゃないか。
二人とも、仕事の追い込みでずっと多忙を極めていたし、冷静な判断が出来ていないんじゃ・・・
スタッフやモデルが動けなくなったら、コレクションにも関わるよな?
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