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FIRST GAME
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高3で生徒会長を任されたときに、叶いそうで叶わない、だが試してみてもよいのではと思わせる範囲でいくつかジンクスを作った。
どれも時間帯を始業前に限定した内容で、渡り廊下で運命の相手を探すこのジンクスは難易度特級。
他には、中庭の池でハート柄の鯉を探した当日に告白すれば両想い、誰にも見つからず相手の下駄箱の名前シールに触れると当日会える、誰もいない教室で相手の席に座ると気持ちが伝わる他、その数は十。
導入当初、教師からは半信半疑の反応をされたが数値に現れてからは黙認。
本当に付き合うに至る数なんか知れていたからな。
淘汰されつつ残ったものもあるらしい。
「え、荒川先生が考えたの・・・」
明かされた真実に立ち尽くしている若松。
二ヶ月信じて実行していたものが偽物と断定されたんだ。
流石に傷つけたかと胸が痛んだ。
もう少し言い方を考えるべきだったか。
唖然としている若松に、「まぁ、早起きは三文の得と言うくらいだから」と国語教師らしく声をかけてやろうと思ったんだが。
「・・・うっわ、すっっげぇっっ
荒川先生って高校生のときから賢かったんだな」
吠えたあとにキラキラと尊敬の眼差しを向けられこちらが戸惑う。
おい、ちゃんと話を聞いていたのか?
「そっか、そっか、生徒会にいたんだ。
うわぁ、今度先生の家で卒アル見せてよ」
「は?卒アル?」
「あ、もし見つからないなら、俺の制服着て見せてよ。
あんまり身長も変わらないし、いけるんじゃない?」
自宅に来ようとするわ、マニアックなことをさせようとするわ、コイツの頭の中はどうなってるんだ?
「家には呼ばん、制服も着るわけ無いだろう」
「あー、そんな頃から先生は俺を待っててくれていたとか感動っ
俺、先生のこと、絶対に幸せにするっ」
俺の声は聞き流され、両手を大きく広げて勢いよく抱きつかれた。
おい、なぜそうなる?
頬を擦り寄せてくる目は潤み、震える声は「運命って、すげぇ」を繰り返している。
作り話だと俺は言ったよな?
抗議するために顔を上げたら、タコ口にブチュウッと唇を吸われヌルッと舌まで入れられる。
両腕は拘束されていたので、椅子に座ったままの足をジタバタ動かしてみたが、軽くあしらわれて背後のテーブルにそのまま押し倒された。
どれも時間帯を始業前に限定した内容で、渡り廊下で運命の相手を探すこのジンクスは難易度特級。
他には、中庭の池でハート柄の鯉を探した当日に告白すれば両想い、誰にも見つからず相手の下駄箱の名前シールに触れると当日会える、誰もいない教室で相手の席に座ると気持ちが伝わる他、その数は十。
導入当初、教師からは半信半疑の反応をされたが数値に現れてからは黙認。
本当に付き合うに至る数なんか知れていたからな。
淘汰されつつ残ったものもあるらしい。
「え、荒川先生が考えたの・・・」
明かされた真実に立ち尽くしている若松。
二ヶ月信じて実行していたものが偽物と断定されたんだ。
流石に傷つけたかと胸が痛んだ。
もう少し言い方を考えるべきだったか。
唖然としている若松に、「まぁ、早起きは三文の得と言うくらいだから」と国語教師らしく声をかけてやろうと思ったんだが。
「・・・うっわ、すっっげぇっっ
荒川先生って高校生のときから賢かったんだな」
吠えたあとにキラキラと尊敬の眼差しを向けられこちらが戸惑う。
おい、ちゃんと話を聞いていたのか?
「そっか、そっか、生徒会にいたんだ。
うわぁ、今度先生の家で卒アル見せてよ」
「は?卒アル?」
「あ、もし見つからないなら、俺の制服着て見せてよ。
あんまり身長も変わらないし、いけるんじゃない?」
自宅に来ようとするわ、マニアックなことをさせようとするわ、コイツの頭の中はどうなってるんだ?
「家には呼ばん、制服も着るわけ無いだろう」
「あー、そんな頃から先生は俺を待っててくれていたとか感動っ
俺、先生のこと、絶対に幸せにするっ」
俺の声は聞き流され、両手を大きく広げて勢いよく抱きつかれた。
おい、なぜそうなる?
頬を擦り寄せてくる目は潤み、震える声は「運命って、すげぇ」を繰り返している。
作り話だと俺は言ったよな?
抗議するために顔を上げたら、タコ口にブチュウッと唇を吸われヌルッと舌まで入れられる。
両腕は拘束されていたので、椅子に座ったままの足をジタバタ動かしてみたが、軽くあしらわれて背後のテーブルにそのまま押し倒された。
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