俺の番クン

三日月

文字の大きさ
上 下
23 / 23
僕の番サン

同棲 誕生日

しおりを挟む
毎年恒例の誕生日パーティは、16回目となると招待客も8割固定。
絶え間なく挨拶を交わし、お礼を述べて一樹を紹介する。

見てください、僕の番になる人です。

何度も心の中で思うだけで隠していましたが、一樹に思いを告げた後は大胆になります。
腰を抱いて露骨にアピール。
ほら、僕の一樹は可愛いでしょうと見せびらかす。
一樹は落ち着かないようでしたが、嫌がっている気配は無く。
僕を意識し過ぎて、混乱しているようでした。

本当に可愛い。
早く番にしたい。

触れた手の甲がとても熱くて、一樹の潤んだ瞳から漏れた劣情に身体が震えました。
凄い⋯一樹が、僕を欲しがってくれてるっ

何も言わなくても、伝わってくる。
僕に抱かれたいと一樹の中のΩ性が訴えてくる。

まだかまだかと、進まない時計の針、パーティの終わりを待ちわびて苛立ちが表に出そうになる。
その理由を察した凛太郎君から、脇腹を肘で突かれたけれどそれに応える余裕も無い。

パーティの幕引きと同時に一樹をエレベーターへ押し込むようにエスコート。
最上階のボタンに触れる指先は震えていた。
興奮して、この場で一言でも言葉を交わせば堪えきれずに一樹を襲いそうだ。
先にエレベーターから出て、ひと呼吸。
落ち着かなければ、格好悪い僕を一樹に見せたくない。


「一樹、今日の誕生日に俺の初めてを貰ってください」


どうか、僕の未来を貰ってください。
僕の願いを叶えてください。

意識してうなじを抑えている一樹が、可愛い。
一樹と番に、家族になりたい。


「な、なんで今日なんだよ⋯」

「一樹の身長を抜いた初めての誕生日だからです」


優しい一樹は、きっとこのまま期日の18歳が来ても頼めば延長してくれていたよね。
甘ったるい番ごっこは、それはそれでとても幸せで、壊したくないと思えてしまっていた。
だから、何かきっかけが欲しかった。

躊躇っていた一樹の足が動く。
僕に向かって、一歩、二歩。


「ひ、久しぶりだから、無茶しないでくれよ」

「初めてだから、大目に見てください」


こんなふうにさらけ出すのは、互いに気恥ずかしさもあって照れてしまう。
でも、もう離せない。
重なった僕達の手は、自然と恋人繋ぎになっていました。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

花婿候補は冴えないαでした

BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

噛痕に思う

阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。 ✿オメガバースもの掌編二本作。 (『ride』は2021年3月28日に追加します)

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...