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俺の番クン
同棲 スタート
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番プロジェクトの成立用紙にその場で記入し終わると、藤原総支配人から一枚のカードキーを渡された。
なんだ?
これから暫く暁の相手のフリをするから、労ってこの高級ホテルに泊まらせてくれのか?
⋯そういや、馬鹿馬鹿しくてあまり深く聞こうとしてなかったけど。
俺の隣に座り、α欄に名前を書いている暁の手元に目をやる。
画数が多いせいで、枠いっぱいになってるけど『鳳 暁』とある。
このホテルの名前は、鳳ホテル。
跡継ぎがどうのとか言ってたのが、鳳グループ⋯ん?
名前に全部鳳が入ってる⋯暁の身の安全のために、国政プロジェクトに口出しも手出しも出来る、とか。
鳳グループって、あの鳳グループなのか?
国内外問わず、高級ホテルにリゾート施設運営、プライベートビーチに島も複数保有して、最近やたらとレジャー施設作って話題になってる、あの?!
た、確かに、鳳グループなら鷹司のとこよりもデカイし内紛も比じゃなくなるな。
暁は、そこの未来の後継者なのかっ
まだこんなに小さいのに、なんて責任を背負わされてるんだ。
αは才能に恵まれてる分、俺なんかには想像もつかないプレッシャーの中で生きてる。
あの鷹司さえ、みなみと家の板挟みで結構悩んで、俺が代理出産すると申し出たら泣くのを歯を食いしばって堪えながら頭を下げて感謝してきたもんな⋯
よしっ、暁の力になることに全力を尽くそうっ
改めて決意を固めていたら、「では、新居にご案内します」と藤原総支配人から微笑まれる。
そういえば、明日から同棲とか言ってたっけ⋯まぁ、親元を離れて一人暮らしをするために選んだアパートだったし、引っ越しは別に良いけど。
鳳グループが世話してくれるとこなんて、家賃払えんのかなぁ。
「一樹、手を」
「手?」
「今日から、交際だから」
あぁ、そういうこと?
でも、俺と暁じゃ⋯差し伸べられた手に手を重ねたけど、どっからどう見ても親子だぞ。
暁は、小さい手を懸命に開いて嬉しそうに恋人繋ぎとかしてくるんだけど、170cm近い俺と120cmも届いてない暁じゃバランスも悪い。
αのプライドを気遣って、こちらから合わせたけど車に乗り込む前に腰が攣りそうだった。
ホテルの外に出るからか、鳳総支配人とは用意された車の前でお別れ。
ここからは、助手席に座って待っていてくれた弁護士の中田さんと運転手の石田さんが案外してくれるらしい。
ジュース代も払ってないし、ついでに家賃も気になるしでコソッと暁に尋ねたら、「こちらから無理を言いますので、お金は何も必要ありません」と毅然とした態度で言われた。
ちょっと傷ついてるようだったので、プライドを刺激してしまったのかもな。
αは、厄介な性格だ。
タダってわけにも行かないし、生活費とか食費とかそのあたりをコソッと出すか。
車が到着したのは、見慣れたタワマン。
通い慣れたタワマン。
鷹司一家が住んでるところだった⋯かなり気を使われてるのを感じる⋯⋯
しかも、同じフロアの最上階だしっ
「如何でしょうか」と、家具付きで用意された部屋にNOなんて言えるわけ無い。
急に鳳グループと繋がってしまった不安も、みなみや和平にも相談できる環境とか有り難みしかないし。
―――――勿論、契約成立。
満室だったタワマンを、いつの間に退去させたのかとかはもうきかないでおいた。
自宅まで送ってもらう車の中では、フリだってことは誰にも秘密だと弁護士から再三念押しされた。
まぁ、そうだよな。
どこに耳があるかはわからないしな。
それからは、あっという間だ。
引っ越しは業者任せ。
運んでいる間に、鳳家と俺の家にそれぞれ挨拶も済ませ、帰ってきたらその足で鷹司の扉を叩いて驚かせた。
俺は和平に、「大丈夫か?」とこっちの胃が痛くなりそうなくらい真剣に心配され、それをみなみと二人がかりで何とかなるさと言い聞かせるのに忙しく。
凛太郎と暁が子ども部屋で顔を突き合わせ、「なっ、一樹はチョロいだろ?初恋実ってよかったじゃん」「まだ実ってないので、引き続きご協力ください」とコソコソ喋ってた内容までは聞こえてなかった。
なんだ?
これから暫く暁の相手のフリをするから、労ってこの高級ホテルに泊まらせてくれのか?
⋯そういや、馬鹿馬鹿しくてあまり深く聞こうとしてなかったけど。
俺の隣に座り、α欄に名前を書いている暁の手元に目をやる。
画数が多いせいで、枠いっぱいになってるけど『鳳 暁』とある。
このホテルの名前は、鳳ホテル。
跡継ぎがどうのとか言ってたのが、鳳グループ⋯ん?
名前に全部鳳が入ってる⋯暁の身の安全のために、国政プロジェクトに口出しも手出しも出来る、とか。
鳳グループって、あの鳳グループなのか?
国内外問わず、高級ホテルにリゾート施設運営、プライベートビーチに島も複数保有して、最近やたらとレジャー施設作って話題になってる、あの?!
た、確かに、鳳グループなら鷹司のとこよりもデカイし内紛も比じゃなくなるな。
暁は、そこの未来の後継者なのかっ
まだこんなに小さいのに、なんて責任を背負わされてるんだ。
αは才能に恵まれてる分、俺なんかには想像もつかないプレッシャーの中で生きてる。
あの鷹司さえ、みなみと家の板挟みで結構悩んで、俺が代理出産すると申し出たら泣くのを歯を食いしばって堪えながら頭を下げて感謝してきたもんな⋯
よしっ、暁の力になることに全力を尽くそうっ
改めて決意を固めていたら、「では、新居にご案内します」と藤原総支配人から微笑まれる。
そういえば、明日から同棲とか言ってたっけ⋯まぁ、親元を離れて一人暮らしをするために選んだアパートだったし、引っ越しは別に良いけど。
鳳グループが世話してくれるとこなんて、家賃払えんのかなぁ。
「一樹、手を」
「手?」
「今日から、交際だから」
あぁ、そういうこと?
でも、俺と暁じゃ⋯差し伸べられた手に手を重ねたけど、どっからどう見ても親子だぞ。
暁は、小さい手を懸命に開いて嬉しそうに恋人繋ぎとかしてくるんだけど、170cm近い俺と120cmも届いてない暁じゃバランスも悪い。
αのプライドを気遣って、こちらから合わせたけど車に乗り込む前に腰が攣りそうだった。
ホテルの外に出るからか、鳳総支配人とは用意された車の前でお別れ。
ここからは、助手席に座って待っていてくれた弁護士の中田さんと運転手の石田さんが案外してくれるらしい。
ジュース代も払ってないし、ついでに家賃も気になるしでコソッと暁に尋ねたら、「こちらから無理を言いますので、お金は何も必要ありません」と毅然とした態度で言われた。
ちょっと傷ついてるようだったので、プライドを刺激してしまったのかもな。
αは、厄介な性格だ。
タダってわけにも行かないし、生活費とか食費とかそのあたりをコソッと出すか。
車が到着したのは、見慣れたタワマン。
通い慣れたタワマン。
鷹司一家が住んでるところだった⋯かなり気を使われてるのを感じる⋯⋯
しかも、同じフロアの最上階だしっ
「如何でしょうか」と、家具付きで用意された部屋にNOなんて言えるわけ無い。
急に鳳グループと繋がってしまった不安も、みなみや和平にも相談できる環境とか有り難みしかないし。
―――――勿論、契約成立。
満室だったタワマンを、いつの間に退去させたのかとかはもうきかないでおいた。
自宅まで送ってもらう車の中では、フリだってことは誰にも秘密だと弁護士から再三念押しされた。
まぁ、そうだよな。
どこに耳があるかはわからないしな。
それからは、あっという間だ。
引っ越しは業者任せ。
運んでいる間に、鳳家と俺の家にそれぞれ挨拶も済ませ、帰ってきたらその足で鷹司の扉を叩いて驚かせた。
俺は和平に、「大丈夫か?」とこっちの胃が痛くなりそうなくらい真剣に心配され、それをみなみと二人がかりで何とかなるさと言い聞かせるのに忙しく。
凛太郎と暁が子ども部屋で顔を突き合わせ、「なっ、一樹はチョロいだろ?初恋実ってよかったじゃん」「まだ実ってないので、引き続きご協力ください」とコソコソ喋ってた内容までは聞こえてなかった。
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