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俺の番クン
顔合わせ ご対面
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ランチタイムには早く、準備中のレストラン。
こんなところで?と戸惑う俺を、藤原総支配人は奥まった個室に案内してくれた。
先客がいるらしく、ノックの後に断ってから中に通される。
スカイレストランのVIPルームだと、ひと目でわかるガラス張りの角部屋。
遮光の薄地カーテンを通して見る空の色はどこまでも澄んでいて、手を伸ばせば触れられるのではないかと思えるくらいに近い。
その手前には、椅子10脚がぐるりと取り囲んだ円卓があり、先客がちょこんと⋯そう、ちょこんと座って目を伏せていた。
座っていると、足が床につかないくらい小柄な男の子。
かろうじて、黒の蝶ネクタイと紺のベストがテーブルからはみ出してるけど七五三の見本みたいな格好だ。
短く襟足まですっきりカットされた髪型は、正におぼっちゃま。
⋯俺の相手は、バツイチか。
はたとその可能性に当たり、初婚じゃないがっかり感もしつつ、なるほどなぁと十年も現れなかった理由に納得もしていた。
禁則事項に入っているから、相手と番を解消したαはこのプロジェクトに参加できない。
俺が登録する前に結婚していて、死別かΩ以外の相手と離婚したのか。
藤原総支配人は、俺に男の子の向かいの席を勧め、「こちらが鳳 暁様です」と男の子を紹介してくれた。
固まったままの男の子。
お父さんが席を外してるのに、先に紹介が始まって良いのかと戸惑いつつ、「こんにちは、狭山 一樹です」と頭を下げる。
顔を上げると、男の子、暁君と初めて目があった。
意志の強そうな黒目勝ちの瞳と凛々しい眉。
キュッと口元は一文字に固く結ばれ、再婚相手の俺に怯えてるみたいだ。
安心させたくて微笑みながらも、やっぱりここに来た目的を優先してしまって、この子の親ならメチャクチャ格好良さそうだなあとぼんやり想像してしまう。
この子が似てるなら、多少年が上でも親父というより上品なおじ様っぽいのでは。
年上は、5歳差迄しか経験ないけど⋯遺伝子レベルで相性が良いんだし、俺的にはここでは断らずに次に進んでみたい。
なんせ、十年待ったからなっ
飲み物をと尋ねられ、暁君と同じオレンジジュースをお願いした。
いつも飲んでるのより、何倍も濃厚なオレンジジュースが運ばれてくると藤原総支配人はコホンと咳払い。
「では、私から狭山様に今回の事情をご説明させていただきます。
おおと⋯」
「え?
まだ、相手が来てないのに??」
「⋯その点も踏まえましての、事情がございます」
話を遮ったことに気を悪くするでもなく、藤原さんは穏やかに話を再開した。
「狭山様の御相手は、当グループの後継者であります暁様でございます」
「⋯は?」
「報道もされていますが、社長を務めておりました暁様のお父上である崇様が先月亡くなられました。
体調を崩された祖父であり会長の尊様が、後継者争いを防ぐために早々に暁様を指名されたのですが、暁様を傀儡に鳳グループを狙う者が後を立ちません」
藤原総支配人は、暁君の後ろへ周り、間違いなくこの方の話ですよと話についていけない俺に念押ししてくるんだけど。
いや、どう見ても、その子小学生じゃん?
当グループ、鳳グループって?
後継者って?
そもそも、番プロジェクトは結婚も視野に入れるから年齢も加味して高校卒業しないと登録できないし。
⋯ドッキリ?
待ちまくってるΩを笑うとか、趣味悪い。
キョロキョロカメラを探していたら、コホンと藤原総支配人から咳払いされた。
こんなところで?と戸惑う俺を、藤原総支配人は奥まった個室に案内してくれた。
先客がいるらしく、ノックの後に断ってから中に通される。
スカイレストランのVIPルームだと、ひと目でわかるガラス張りの角部屋。
遮光の薄地カーテンを通して見る空の色はどこまでも澄んでいて、手を伸ばせば触れられるのではないかと思えるくらいに近い。
その手前には、椅子10脚がぐるりと取り囲んだ円卓があり、先客がちょこんと⋯そう、ちょこんと座って目を伏せていた。
座っていると、足が床につかないくらい小柄な男の子。
かろうじて、黒の蝶ネクタイと紺のベストがテーブルからはみ出してるけど七五三の見本みたいな格好だ。
短く襟足まですっきりカットされた髪型は、正におぼっちゃま。
⋯俺の相手は、バツイチか。
はたとその可能性に当たり、初婚じゃないがっかり感もしつつ、なるほどなぁと十年も現れなかった理由に納得もしていた。
禁則事項に入っているから、相手と番を解消したαはこのプロジェクトに参加できない。
俺が登録する前に結婚していて、死別かΩ以外の相手と離婚したのか。
藤原総支配人は、俺に男の子の向かいの席を勧め、「こちらが鳳 暁様です」と男の子を紹介してくれた。
固まったままの男の子。
お父さんが席を外してるのに、先に紹介が始まって良いのかと戸惑いつつ、「こんにちは、狭山 一樹です」と頭を下げる。
顔を上げると、男の子、暁君と初めて目があった。
意志の強そうな黒目勝ちの瞳と凛々しい眉。
キュッと口元は一文字に固く結ばれ、再婚相手の俺に怯えてるみたいだ。
安心させたくて微笑みながらも、やっぱりここに来た目的を優先してしまって、この子の親ならメチャクチャ格好良さそうだなあとぼんやり想像してしまう。
この子が似てるなら、多少年が上でも親父というより上品なおじ様っぽいのでは。
年上は、5歳差迄しか経験ないけど⋯遺伝子レベルで相性が良いんだし、俺的にはここでは断らずに次に進んでみたい。
なんせ、十年待ったからなっ
飲み物をと尋ねられ、暁君と同じオレンジジュースをお願いした。
いつも飲んでるのより、何倍も濃厚なオレンジジュースが運ばれてくると藤原総支配人はコホンと咳払い。
「では、私から狭山様に今回の事情をご説明させていただきます。
おおと⋯」
「え?
まだ、相手が来てないのに??」
「⋯その点も踏まえましての、事情がございます」
話を遮ったことに気を悪くするでもなく、藤原さんは穏やかに話を再開した。
「狭山様の御相手は、当グループの後継者であります暁様でございます」
「⋯は?」
「報道もされていますが、社長を務めておりました暁様のお父上である崇様が先月亡くなられました。
体調を崩された祖父であり会長の尊様が、後継者争いを防ぐために早々に暁様を指名されたのですが、暁様を傀儡に鳳グループを狙う者が後を立ちません」
藤原総支配人は、暁君の後ろへ周り、間違いなくこの方の話ですよと話についていけない俺に念押ししてくるんだけど。
いや、どう見ても、その子小学生じゃん?
当グループ、鳳グループって?
後継者って?
そもそも、番プロジェクトは結婚も視野に入れるから年齢も加味して高校卒業しないと登録できないし。
⋯ドッキリ?
待ちまくってるΩを笑うとか、趣味悪い。
キョロキョロカメラを探していたら、コホンと藤原総支配人から咳払いされた。
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