33 / 78
第7話
二人の朝 (2)
しおりを挟む
心と体のバランスが上手くとれていない。
少し前から分かっていた筈だ。
だから、恭次郎には見せたくない。
自分が弱っていると知れば彼は優しく抱きしめて、甘えても良いのだと耳もとで囁いてくれる。
それがどうしても、つらいのだ。
「疲れてんなら横になってろよ、と言いたい所だが」
お前にはお前の仕事があるしなあ、とぼやいてすぐソファーに行ってしまった恭次郎はテレビを点けて朝のワイドショーを見始める。
気を遣わせた、と分かってしまう櫻子も「千玉の子を殴った子って」と少しぬるくなってしまったコーヒーを手に話しかけて仕事の話をしようと持ちかければ恭次郎も応えてくれた。
「アレだろ?よくある俺たちの常套手段。相手をいい塩梅に怒らせて先に手を出させてから揺するっつー」
「古臭いやり方だけど明らかな挑発の証拠が残っていたとしても手を出した方が負け、だものね」
「ガキ同士じゃあその引き際は分かんねえよなあ」
「今の子って私たちが思っているよりも危ない面があるから、抑止力になるような目上の人間が必要なんだけど……そうね……」
少し考えた櫻子だったが「いたわ」と口を開く。
「ヤンチャしてたけど今はちょっと良い役職にいる丁度いい子」
「ああ、いたなァ」
それはとても二人にとって身近な人物だった。
二人がコーヒーを飲み始めてから小一時間後には櫻子の部屋のインターホンが鳴り、コンビニの大きな袋を提げて入って来る一人の若い男。
「ッス、御苦労様です」
「急にご飯お願いしてごめんね」
「御疲れさん」
既に身支度を整えていた櫻子とまだ部屋着の恭次郎にコンビニで食糧を買い込んできた大崎が短く頭を下げる。この部屋で恭次郎を見るのは何だかんだで初めてだったが大崎は櫻子に頼まれ、本部に寄って足立から恭次郎のスーツ一式も預かってきていた。
昨晩の香水の匂いが残っていてどうにも気に入らない、と着替えるのを拒んだせいもあったのだが恭次郎は「まあ座ってくれ」と入ってすぐのオフィス兼応接間ではなくプライベートな奥のリビングダイニングのソファーに座るよう促す。
大きなコンビニの袋は既に櫻子が受け取ってしまった。
普通に同棲をしているカップルの部屋に上がり込んだような状態の大崎はいつもだったら気軽に座ってしまうソファーに座るのを若干、躊躇う。
「お前そんなに俺が怖いか?」
「い、いえ、そんな事は」
修行と称して足立と共に恭次郎の付き人をしていた事もあった大崎だったがむしろ随分とラフな格好の大男を前に……濃い墨が袖からはみ出しているのを見て、それがお尻の方まで、と櫻子が言っていた事を思い出してしまう。
今、そんな風に入れ墨を彫る人間は大体ニッチな趣味や嗜好を持つ者が多く、ヤクザと言えども入れていない者も多い。大崎もその部類だった。一応、ピアスはいくつか開けているがそれくらいしか人体に云々と言う行為はしていない。
一節によると恭次郎の背には桜東会の所属を示す飛び鳳凰と桜が彫られているとの事。足立は全貌を知っているだろうが大崎はそれを見たことが無かった。
「失礼します」
いくら大きなソファーの端と端とは言え、近い。
「お前にしか出来ねえ事を頼みたいんだが」
とりあえずまずは朝メシだな、と「どっち食べる?」と袋の中身を見せに来た櫻子に恭次郎は普通に幕の内弁当を選ぶ。大崎は櫻子から「おかず以外にご飯ものを二つ」と連絡を受けていたのだがどうやらそれは恭次郎の朝ごはん用だったらしい。
食事をするならもう少し良い物をテイクアウトしてきたのに、と思ったが二人がそれでいいのなら舎弟は従うまで。
何気ないやり取りを見ていれば二人の仲の良さが分かる。
しかし反面、真実を知る大崎はやはり櫻子が恭次郎の事について随分と気を遣っているように見えてしまう。彼女自身が気にしているのだと分かるのは……自分も恭次郎までとは言わないが似たような立場だったから。
櫻子の存在を守る盾の一人、だったから。
彼女の鋭さと強さは尊敬に値し、信頼して密偵のような仕事を頼んでくれたり、こうして部屋の鍵まで預けてくれているどころか先に連絡をして了承を得ていれば勝手に入る事も許されている。
裏社会の深い部分に巻き込んでいると言う自責を、気遣いとしていつも櫻子は清算しようとしていた。
それしか彼女には出来ないのだと大崎も分かっていて、それは多分恭次郎にも同じで……。
なんだか頭の中がぐるぐるしてきた、と大崎は思いながら「食いながらで悪いな」と一言謝る恭次郎も部下を無碍に扱ったりしない男で。
「稔、お前暫く若い連中を纏めてくれねえか」
「は……俺が、ですか」
表向きは桜東会が持つフロント企業の経営者、三島一族末席の女性のドライバー兼付き人の大崎。
元は桜東会三次団体組長の一人息子。湾岸を根城にしていた走り屋ゆえのドライブテクニックの素質のお陰で資金源の一つとして本部執行役員に属する櫻子の付き人への昇格と言う大出世。
三次団体、企業で言うならば孫請けのような立場から役員秘書になったようなもの。
大崎は遊びのつもりで煽ったセダンにまさか櫻子が乗っていたなど当時はつゆ知らず、それをもう付き人になって暫くしてから教えられた時は土下座モノだと床に膝をついたがそれを見た櫻子がおかしそうに笑っていたのを覚えている。
そんな大崎、彼には人望が備わっていた。
走り屋時代から持っていた仲間や後輩を上手くコントロール出来る素質。自らがヤクザの組長の息子である事を大っぴらに言いふらしたりせず、仲間内にもそう言う事はひけらかさないよう伝え、櫻子の持つ性風俗店でのトラブルの際にも居合わせた彼は一般人の男相手に自分の身分を言ったりはしなかった。
恭次郎もその事について櫻子から聞いている。
幼い時から三島本家に住んでいた彼もいわゆる“ヤンチャ”をしていたり“イキっている”若者を沢山、兄貴分や誠一の隣で見て来たがそんな大多数の若者たちとは違う大崎の堅実さを認めていた。
少し前から分かっていた筈だ。
だから、恭次郎には見せたくない。
自分が弱っていると知れば彼は優しく抱きしめて、甘えても良いのだと耳もとで囁いてくれる。
それがどうしても、つらいのだ。
「疲れてんなら横になってろよ、と言いたい所だが」
お前にはお前の仕事があるしなあ、とぼやいてすぐソファーに行ってしまった恭次郎はテレビを点けて朝のワイドショーを見始める。
気を遣わせた、と分かってしまう櫻子も「千玉の子を殴った子って」と少しぬるくなってしまったコーヒーを手に話しかけて仕事の話をしようと持ちかければ恭次郎も応えてくれた。
「アレだろ?よくある俺たちの常套手段。相手をいい塩梅に怒らせて先に手を出させてから揺するっつー」
「古臭いやり方だけど明らかな挑発の証拠が残っていたとしても手を出した方が負け、だものね」
「ガキ同士じゃあその引き際は分かんねえよなあ」
「今の子って私たちが思っているよりも危ない面があるから、抑止力になるような目上の人間が必要なんだけど……そうね……」
少し考えた櫻子だったが「いたわ」と口を開く。
「ヤンチャしてたけど今はちょっと良い役職にいる丁度いい子」
「ああ、いたなァ」
それはとても二人にとって身近な人物だった。
二人がコーヒーを飲み始めてから小一時間後には櫻子の部屋のインターホンが鳴り、コンビニの大きな袋を提げて入って来る一人の若い男。
「ッス、御苦労様です」
「急にご飯お願いしてごめんね」
「御疲れさん」
既に身支度を整えていた櫻子とまだ部屋着の恭次郎にコンビニで食糧を買い込んできた大崎が短く頭を下げる。この部屋で恭次郎を見るのは何だかんだで初めてだったが大崎は櫻子に頼まれ、本部に寄って足立から恭次郎のスーツ一式も預かってきていた。
昨晩の香水の匂いが残っていてどうにも気に入らない、と着替えるのを拒んだせいもあったのだが恭次郎は「まあ座ってくれ」と入ってすぐのオフィス兼応接間ではなくプライベートな奥のリビングダイニングのソファーに座るよう促す。
大きなコンビニの袋は既に櫻子が受け取ってしまった。
普通に同棲をしているカップルの部屋に上がり込んだような状態の大崎はいつもだったら気軽に座ってしまうソファーに座るのを若干、躊躇う。
「お前そんなに俺が怖いか?」
「い、いえ、そんな事は」
修行と称して足立と共に恭次郎の付き人をしていた事もあった大崎だったがむしろ随分とラフな格好の大男を前に……濃い墨が袖からはみ出しているのを見て、それがお尻の方まで、と櫻子が言っていた事を思い出してしまう。
今、そんな風に入れ墨を彫る人間は大体ニッチな趣味や嗜好を持つ者が多く、ヤクザと言えども入れていない者も多い。大崎もその部類だった。一応、ピアスはいくつか開けているがそれくらいしか人体に云々と言う行為はしていない。
一節によると恭次郎の背には桜東会の所属を示す飛び鳳凰と桜が彫られているとの事。足立は全貌を知っているだろうが大崎はそれを見たことが無かった。
「失礼します」
いくら大きなソファーの端と端とは言え、近い。
「お前にしか出来ねえ事を頼みたいんだが」
とりあえずまずは朝メシだな、と「どっち食べる?」と袋の中身を見せに来た櫻子に恭次郎は普通に幕の内弁当を選ぶ。大崎は櫻子から「おかず以外にご飯ものを二つ」と連絡を受けていたのだがどうやらそれは恭次郎の朝ごはん用だったらしい。
食事をするならもう少し良い物をテイクアウトしてきたのに、と思ったが二人がそれでいいのなら舎弟は従うまで。
何気ないやり取りを見ていれば二人の仲の良さが分かる。
しかし反面、真実を知る大崎はやはり櫻子が恭次郎の事について随分と気を遣っているように見えてしまう。彼女自身が気にしているのだと分かるのは……自分も恭次郎までとは言わないが似たような立場だったから。
櫻子の存在を守る盾の一人、だったから。
彼女の鋭さと強さは尊敬に値し、信頼して密偵のような仕事を頼んでくれたり、こうして部屋の鍵まで預けてくれているどころか先に連絡をして了承を得ていれば勝手に入る事も許されている。
裏社会の深い部分に巻き込んでいると言う自責を、気遣いとしていつも櫻子は清算しようとしていた。
それしか彼女には出来ないのだと大崎も分かっていて、それは多分恭次郎にも同じで……。
なんだか頭の中がぐるぐるしてきた、と大崎は思いながら「食いながらで悪いな」と一言謝る恭次郎も部下を無碍に扱ったりしない男で。
「稔、お前暫く若い連中を纏めてくれねえか」
「は……俺が、ですか」
表向きは桜東会が持つフロント企業の経営者、三島一族末席の女性のドライバー兼付き人の大崎。
元は桜東会三次団体組長の一人息子。湾岸を根城にしていた走り屋ゆえのドライブテクニックの素質のお陰で資金源の一つとして本部執行役員に属する櫻子の付き人への昇格と言う大出世。
三次団体、企業で言うならば孫請けのような立場から役員秘書になったようなもの。
大崎は遊びのつもりで煽ったセダンにまさか櫻子が乗っていたなど当時はつゆ知らず、それをもう付き人になって暫くしてから教えられた時は土下座モノだと床に膝をついたがそれを見た櫻子がおかしそうに笑っていたのを覚えている。
そんな大崎、彼には人望が備わっていた。
走り屋時代から持っていた仲間や後輩を上手くコントロール出来る素質。自らがヤクザの組長の息子である事を大っぴらに言いふらしたりせず、仲間内にもそう言う事はひけらかさないよう伝え、櫻子の持つ性風俗店でのトラブルの際にも居合わせた彼は一般人の男相手に自分の身分を言ったりはしなかった。
恭次郎もその事について櫻子から聞いている。
幼い時から三島本家に住んでいた彼もいわゆる“ヤンチャ”をしていたり“イキっている”若者を沢山、兄貴分や誠一の隣で見て来たがそんな大多数の若者たちとは違う大崎の堅実さを認めていた。
10
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

虚弱なヤクザの駆け込み寺
菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。
「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」
「脅してる場合ですか?」
ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。
※なろう、カクヨムでも投稿
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
愛し愛され愛を知る。【完】
夏目萌(月嶋ゆのん)
恋愛
訳あって住む場所も仕事も無い神宮寺 真彩に救いの手を差し伸べたのは、国内で知らない者はいない程の大企業を経営しているインテリヤクザで鬼龍組組長でもある鬼龍 理仁。
住み込み家政婦として高額な月収で雇われた真彩には四歳になる息子の悠真がいる。
悠真と二人で鬼龍組の屋敷に身を置く事になった真彩は毎日懸命に家事をこなし、理仁は勿論、組員たちとの距離を縮めていく。
特に危険もなく、落ち着いた日々を過ごしていた真彩の前に一人の男が現れた事で、真彩は勿論、理仁の生活も一変する。
そして、その男の存在があくまでも雇い主と家政婦という二人の関係を大きく変えていく――。
これは、常に危険と隣り合わせで悲しませる相手を作りたくないと人を愛する事を避けてきた男と、大切なモノを守る為に自らの幸せを後回しにしてきた女が『生涯を共にしたい』と思える相手に出逢い、恋に落ちる物語。
※ あくまでもフィクションですので、その事を踏まえてお読みいただければと思います。設定等合わない場合はごめんなさい。また、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる