星のプランツガーデン

森野ゆら

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3章

教授との対面

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 ――日生薫教授!

 心臓がバクバク言い始めて、私は思わず胸を押さえる。

「いつもすばるから聞いてるよ。転校してきて、すぐに園芸クラブに入ってくれて、いつも勉強熱心だって」

 優しく笑う目元がすばるに似てる。
 きゅっと気持ちを引き締めた。

 ……任務だ。

 隕石のかけらを持つ薫教授。さぁ、どうやって隕石のかけらを奪う?
 きっと、すばるの友達ってことで、私に気を許してるハズだ。
 まさか、私が隕石のかけらをねらってるなんて、夢にも思うまい。
 そうだ。
 勉強のため、隕石のかけらを見せてくださいって子どもっぽく言ったら、持ってくるかもしれない。
 よし。その作戦でいこう。
 思い切って口を開きかけた時、

「あれ? 父さん、二時には行かなきゃって言ってなかったっけ?」

 すばるが時計を見ながら、不思議そうにきいた。

「あぁ。でも、すばるから毎日聞いてる『里依ちゃん』が来てくれるから、一度お会いしたくてね。家を出るのを遅らせることにした」

 ふふっと笑う薫教授に、すばるが顔を真っ赤にした。

「と、父さん! 余計なこと言わないでよ」

 なにっ⁈ 毎日、私のことを薫教授に話しているって……
 まさか、すばるは私のことを怪しんでいるのか!?
 ドキッと心臓が嫌な音を立てる。
 どうする? ここは慎重になるべきか……?
 迷ってる間に、薫教授は風斗と談笑した後、ドアの方へ向かった。

「じゃあ、私はこれから仕事ででかけるけど、ゆっくりしていってね」

「……はい」

 部屋を出て行く薫教授の背中を見て、息をつく。
 行ってしまった。
 隕石のかけらの情報や、薫教授のことを探るチャンスだったのに……

 待てよ。
 薫教授が不在ってことは……隕石のかけらを奪うチャンスじゃないか?
 薫教授は、隕石のかけらを持ち歩いたりせず、部屋に大事にしまってる可能性もある。
 しかし、問題はどうやって薫教授の部屋に忍び込むかだ。
 片付けをしているすばるをチラリと見て、胸の前で手を組んだ。

「それにしても、すばるの部屋ってとっても広いね! お父さんの部屋はもっと広いの?」

「うん。ぼくの部屋の二倍はあるかなぁ。でも、父さんの部屋は本ばかりで、広いけど狭く見えるかも」

「へぇ……お父さんの部屋ってもしかして……階段上がったところの茶色いドアの部屋?」

「そうだよ。当たり!」

「やっぱり! あのドア、重厚感があってかっこいいなって思ったんだ」

「そうなんだ。父さんこだわりの木を使ってるらしくて。小さい時にボールペンで落書きしたら、ちょっと怒られちゃったんだよね」

 あははっと笑うすばるに適当に相づちを打ち、心の中でよしっとこぶしをにぎる。
 カンで薫教授の部屋のドアを言ってみたが、当たりだ!
 薫教授の部屋の位置は確認済み。あとは……

「ごめん。私、ちょっとお手洗いに行きたいんだけど……」

 遠りょがちに言うと、すばるが片付けの手を止めた。

「あ、この部屋を出て、つきあたりにあるよ」

「ありがとう」

 そそくさと部屋を出て、薫教授の部屋へと向かった。
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