星のプランツガーデン

森野ゆら

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3章

すばるの笑顔

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「お待たせ―! 紅茶いれてきたよ」

 すばるがトレイにお茶のセットをのせて、入って来た。
 ローテーブルにそっと置いて、すばるが手際よくカップを配置する。
 私と風斗はテーブルの前に移動して、すばるは向かい側に座った。
 カップには、澄んだ赤とオレンジが混ざった色の液体が入っている。
 これが紅茶という飲み物か。

「この前、父さんが仕事先からもらってきたお菓子なんだ。すっごくおいしいんだよ。食べてみて」

 風斗がすっと手を伸ばし、お菓子を取って口に運ぶ。

「うまい」

 聞き取れるかどうかの微妙な声で風斗がつぶやいた。

「里依ちゃんもどうぞ」

 すばるに皿をすすめられて、おそるおそるお菓子を取り、口に入れてみる。
 甘い。と思った瞬間、ほろっと口の中で溶けた。

「……おいしい」

「よかった」

 すばるが満面の笑みを向けてきて、ぐっとお菓子がのどにつまりそうになる。
 これも前から思っていたが。

 ……時々、すばるはこちらがハッとするほど、……かわいい表情をする時がある。

 なんというか、小動物のような、きゅっと心をつかまれるような、やわらかい笑顔。
 そんな時は、今みたいになんだか調子が狂う。
 任務のキーパーソンで、危険な植物を好む要注意人物なのに。
 なぜだか、守ってあげたくなるような……いやいや、だから、何を考えてるんだ!
 風斗と話してるすばるの横顔を見ていると、急にこちらを向いてきた。

「あ、そうだ! 今日はせっかく里依ちゃんが来るから、一緒にやろうと思って用意してたんだ」

 すばるは部屋の奥へ行ったかと思うと、箱をかかえて持ってきた。
 箱を本棚前の台の上に置いて、ふうと息をつく。

「二人とも、こっち来て」

 すばるに言われて、風斗と一緒に台の方へ移動した。
 箱の中をのぞきこむと、ごちゃごちゃといろんなものが入っている。
 三つのガラス瓶、袋に入った土、ピンセット、パックに入った緑のモサモサ。
 ……なんだこれ?
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