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3章
すばるの家
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「うわぁ、立派なお家だね!」
すばると風斗に、駅まで迎えに来てもらった土曜日の午後。
駅から歩いてやってきたのは、静かな住宅街の中でもひときわ大きな家。
オレンジの屋根に淡い黄色の外壁で、なかなかセンスが良い建物だ。
飾りが施された白い門を開けながら、すばるが苦笑いした。
「立派……かなぁ? さ、どうぞ」
石畳を通って奥へ行くと、玄関まわりは花が植えられた鉢でいっぱいだ。
整然と片付けられた玄関を入り、すばるについて階段をのぼった。
二階は部屋がたくさんある。
茶色の立派なドアに、近代的なデザインのドア、格子がついた和風なドアまで。
部屋がいっぱいだな。
すばるは父親の薫教授と二人暮らしのはずだが、それにしては広い家だな。
「はーい、ここがぼくの部屋でーす」
すばるが明るい声で言って、一番奥の部屋のドアを開けた。
すばるに続いて、風斗が慣れたように入っていく。
窓際に勉強机があって、本棚には園芸に関する本が並んでいる。
部屋の隅には、大きな車の模型が飾られていて、青いキャップ帽をかぶったクマのぬいぐるみが運転席にのっている。
あれ?
クマのぬいぐるみを見て、なんだか見覚えがあるような感覚がした。
こんなクマのぬいぐるみは知らないはずだが……なぜだ?
うーん。まぁ、いいか。何かとカンちがいしてるのかもしれない。
考えるのは早々にあきらめて、ぐるっと見まわす。
それにしても広い部屋だな。私が今住んでいるマンションの部屋の三倍はありそうだ。
「お茶いれてくるから、くつろいでてね」
すばるがいそいそと部屋を出ていった。
風斗は本棚から「プランターで楽しむ野菜がおもしろすぎる!」という本を出してきて、ソファに座った。
「座れば?」
風斗が本を開きながら、ぽそりと言ってきた。
「……うん」
近くにあった背もたれのないイスを引き寄せて、座る。
すばるの部屋か。
あらためて見まわすと、何だか不思議な感じだ。
青が好きなのか、カーテンもベッドのシーツも、イスの背もたれまで、青でそろえてある。
園芸の本の横には、バトルマンガのシリーズが並んでるし、天文の本もたくさんある。
本棚と勉強机の間には、天体望遠鏡が置いてある。
園芸が好きなのは当然知ってるが、宇宙にも興味があるのか。
そう言えば、薫教授の専門は天文分野だったか……
すばるは毎日、ここで寝て、起きて、生活してるんだな。
学校でのすばるしか知らないから、いつもとちがうすばるを知ったような感じがする。
……そうか。これがプライベートってやつか。
クラスのすばるファン、特に茶谷モエたちは、ここに来たくてしょうがないんだろうな。
ふふ。ちょっと自慢したい気になってくる。
って、いやいや。何を考えている、リィ!
ここへ来たのは、隕石のかけらを入手するためだ。
こんなチャンスはめったにない。
隕石のかけらを手に入れるため、任務に集中しないと!
ガシガシッと頭をかいていると、視線を感じた。
長い前髪の下の瞳がこちらを見てる……感じがする。
風斗はクスッと笑って、本に目を落とした。
……なんだ?
前から思っていたが……黒地風斗。やはり、妙なヤツだ。
口数は少ないし、声が小さすぎて何言ってるのか分からないし、妙に大人びていて本当に同じ学年かと疑わしい。
しかし、すばると仲がいいのは確かだ。
クラスがちがうのに、休み時間に廊下に出て話してる姿をよく見る。
園芸クラブの仕事はきちんとこなしているし、悪いヤツではなさそうだが。
本を読んでいる風斗をじっと見つめた時、ドアが開いた。
すばると風斗に、駅まで迎えに来てもらった土曜日の午後。
駅から歩いてやってきたのは、静かな住宅街の中でもひときわ大きな家。
オレンジの屋根に淡い黄色の外壁で、なかなかセンスが良い建物だ。
飾りが施された白い門を開けながら、すばるが苦笑いした。
「立派……かなぁ? さ、どうぞ」
石畳を通って奥へ行くと、玄関まわりは花が植えられた鉢でいっぱいだ。
整然と片付けられた玄関を入り、すばるについて階段をのぼった。
二階は部屋がたくさんある。
茶色の立派なドアに、近代的なデザインのドア、格子がついた和風なドアまで。
部屋がいっぱいだな。
すばるは父親の薫教授と二人暮らしのはずだが、それにしては広い家だな。
「はーい、ここがぼくの部屋でーす」
すばるが明るい声で言って、一番奥の部屋のドアを開けた。
すばるに続いて、風斗が慣れたように入っていく。
窓際に勉強机があって、本棚には園芸に関する本が並んでいる。
部屋の隅には、大きな車の模型が飾られていて、青いキャップ帽をかぶったクマのぬいぐるみが運転席にのっている。
あれ?
クマのぬいぐるみを見て、なんだか見覚えがあるような感覚がした。
こんなクマのぬいぐるみは知らないはずだが……なぜだ?
うーん。まぁ、いいか。何かとカンちがいしてるのかもしれない。
考えるのは早々にあきらめて、ぐるっと見まわす。
それにしても広い部屋だな。私が今住んでいるマンションの部屋の三倍はありそうだ。
「お茶いれてくるから、くつろいでてね」
すばるがいそいそと部屋を出ていった。
風斗は本棚から「プランターで楽しむ野菜がおもしろすぎる!」という本を出してきて、ソファに座った。
「座れば?」
風斗が本を開きながら、ぽそりと言ってきた。
「……うん」
近くにあった背もたれのないイスを引き寄せて、座る。
すばるの部屋か。
あらためて見まわすと、何だか不思議な感じだ。
青が好きなのか、カーテンもベッドのシーツも、イスの背もたれまで、青でそろえてある。
園芸の本の横には、バトルマンガのシリーズが並んでるし、天文の本もたくさんある。
本棚と勉強机の間には、天体望遠鏡が置いてある。
園芸が好きなのは当然知ってるが、宇宙にも興味があるのか。
そう言えば、薫教授の専門は天文分野だったか……
すばるは毎日、ここで寝て、起きて、生活してるんだな。
学校でのすばるしか知らないから、いつもとちがうすばるを知ったような感じがする。
……そうか。これがプライベートってやつか。
クラスのすばるファン、特に茶谷モエたちは、ここに来たくてしょうがないんだろうな。
ふふ。ちょっと自慢したい気になってくる。
って、いやいや。何を考えている、リィ!
ここへ来たのは、隕石のかけらを入手するためだ。
こんなチャンスはめったにない。
隕石のかけらを手に入れるため、任務に集中しないと!
ガシガシッと頭をかいていると、視線を感じた。
長い前髪の下の瞳がこちらを見てる……感じがする。
風斗はクスッと笑って、本に目を落とした。
……なんだ?
前から思っていたが……黒地風斗。やはり、妙なヤツだ。
口数は少ないし、声が小さすぎて何言ってるのか分からないし、妙に大人びていて本当に同じ学年かと疑わしい。
しかし、すばると仲がいいのは確かだ。
クラスがちがうのに、休み時間に廊下に出て話してる姿をよく見る。
園芸クラブの仕事はきちんとこなしているし、悪いヤツではなさそうだが。
本を読んでいる風斗をじっと見つめた時、ドアが開いた。
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