星のプランツガーデン

森野ゆら

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2章

園芸クラブの倉庫

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 放課後。
 すばると一緒に畑の水やりをすることになった。
 渡されたのは、じょうろという、植物に水をやる道具。
 青い「ぞう」の鼻からいくつもの水流が出てくる。
 水をやるこんな容器があるんだな。
 デザインに感心しながら、花に水をやっていると、すばるが手を振ってきた。

「里依ちゃーん、そっち終わったらこっちもね」

「了解!」

 じょうろを持って、すばるの元へ行くと、花壇に生えている植物が目に入った。
 緑色の葉は十センチ程度、鈴のような形の白い花が数個ほど咲いている。

(これはなんという花だ?)

 スカートのポケットから「ぽけっと植物図鑑」を出してめくっていると、すばるが答えた。

「それはすずらんだよ。カワイイ花でしょ?」

「すずらん……」

「でもね、すずらんは葉にも花にも根にも毒があるんだ」

「毒!」

「うん。だから、ペットがいるお家とかは要注意で、柵で囲って栽培するといいんだって」

 な、なんだと……こんな可愛らしい姿で毒があるなんて……
 しゃがみこんで、じっと見つめると他にも妙な物が目に入った。

「これは……」

 すずらんの奥に、オレンジ色をした傘のようなものが生えている。
 ……めずらしい形だな。
 よく見てみようと手を伸ばすと、すばるがあわてた声を出した。

「あ、それは毒キノコだよ!」

「ドク!!」

「たまに生えてくるんだよね~」

 ニコニコしながら、すばるがスコップで取りのぞく。
 すずらんにキノコ……毒、毒、毒……
 やはり危険な植物がいっぱいだ。気をしっかりもたないと。
 額を押さえながら、フラフラと立ち上がる。
 気を取り直して水やりをしていると、花壇の横でまた妙なものを見つけてしまった。
 鉢に植えられた、変わった形の植物。

「これは……?」

 長ぼそい壺のような形の、ぷっくりしたものがたくさんぶら下がっている。
 周りの花とちがって、奇妙さがダントツだ。
 いぶかしげに見ていると、スコップを直しにいったすばるが戻ってきた。

「あぁ、それはウツボカズラ。食虫植物だよ」

「……食虫?」

「壺の中に消化液みたいなものがたまっていて、ここに虫を誘い込んで消化するんだ」

 消化液!?
 あまりの衝撃的ワードに声が出ない。
 なんという恐ろしい生態! 
 この植物は詳しくレポートに書いて、組織に報告せねば。

「水やり終わったね。ありがとう。じょうろ片付けてくるよ」

 すばるは私の手から、じょうろをひょいと取ると、倉庫の方へと歩いていった。
 ……ん? 
 そう言えば、あの倉庫はなんだ?
 遠くなっていくすばるの背中に、ざわりと疑念を持った。
 まさか、新しい巨大植物を研究している建物では……!
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