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2章
するどい視線
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あぁ。しまった。クロリバ星の組織では無遅刻無欠席のエリートだったのに!
そんな私が遅刻だなんて! ありえない!
これが慣れが引き起こす、油断というものか。
ダッシュで教室に行くと、先生がすでに教卓の前に立っていた。
「おはよう。空山さん」
にっこり笑う先生に、私もすかさず笑顔を作る。
「先生、おはようございます」
「転校してからの疲れが出てるのかもしれないけど……遅刻はダメよ」
「はい。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げて席へと歩く。
周りからクスクス笑い声が聞こえるが、ノープロブレムだ。
席の近くまでいくと、すばるがいつもの笑顔で私を迎えてくれた。
「おはよう。里依ちゃん」
「おはよう、すばる」
作り笑顔と作り声をすばるに返す。
朝の会が終わって、先生が教室を出て行き、クラスメイトたちがざわめく。
この学園に潜入してから二週間。
だいぶん慣れて、クラスメイトの顔と名前も四割ほどは一致してきた。
すばるとも「友達」という関係に近くなってきた気もするし、あとは……どうやって父親の日生薫教授に近づくかだが。
「ねぇねぇ。今度の土曜日、ありさちゃんのお家、遊びに行ってもいい?」
「うん。いいよ。ちょうど塾もお休みなんだ。来て来て~♪」
不意に聞こえてきた声に、ポンと手を打つ。
……これだ!
お家に遊びに行ってもいいか作戦!
すばると「友達」という仮の関係を少しは築いていた甲斐があった!
今なら、遊びに誘っても不自然じゃないはず。
おそらく、成功率は七十パーセント。やってみる価値はある!
「ねぇねぇ、すばる」
思い立ったら、即実行。
呼びかけると、机から教科書を出していたすばるがこちらを向いた。
「土曜日、すばるのお家、行ってみたいなぁ」
「えっ」
私の言葉に、すばるはちょっとびっくりした顔。
それから、何かを少し考えている。
……しまった。いきなりすぎたか?
まだ「友達」として、そこまでの段階ではなかった?
断られるかもしれないと身を固くしてると、すばるがにこやかに答えた。
「いいよ。父さんがいるけど、出かけるって言ってたし、大丈夫だと思う」
「わーい! やったぁ」
「じゃあ、せっかくだから風斗も呼ぼうか。この前来たところだけど」
風斗? 別に呼ばなくてもいいが。
ちっと心の中で舌打ちしながら、すばるにきいてみる。
「風斗はすばるの家によく遊びに来てるの?」
「うん。週に二回ほど来てるよ。父さんと気が合うみたいで、よく話してる」
「へぇ。そうなんだ」
週二も来てるのか。風斗とすばるは仲良しなんだな。
しかも、薫教授とも気が合うなんて。
そのコミュニケーション力、任務のために教えてもらいたいくらいだ。
……と、ふと視線を感じた。
振り返ると、教卓の方から女子三人がこちらを見ている。
真ん中は確か……茶谷(ちゃたに)モエ。
長いストレートの髪で、切れ長の瞳。背が高く、スタイルが良い。
去年、他の学校から転校してきたらしいが、ルックスの良さと優秀な成績で、皆から一目置かれているらしい。
その脇を固めている二人は……ええっと、ちょっと名前が思い出せない。
三つ編みの小柄な女子と、メガネのショートカットの女子。
いつも茶谷モエと一緒にいる。
二週間経って、だいぶん分かってきた。
どうやらあの三人は、大のすばるファンらしい。
私がすばると話していると、毎回のごとくこちらをにらんでいる。
……気をつけないと。余計なねたみをもらうのは、やっかいだ。
確か、(男心をつかむ……)の本にも書いてあった。
一番こわいのは、女子からのねたみだと。
時に陰湿で、莫大なパワーを持つらしいからな。
任務に差しつかえるようなことは、極力防がないと。
そんな私が遅刻だなんて! ありえない!
これが慣れが引き起こす、油断というものか。
ダッシュで教室に行くと、先生がすでに教卓の前に立っていた。
「おはよう。空山さん」
にっこり笑う先生に、私もすかさず笑顔を作る。
「先生、おはようございます」
「転校してからの疲れが出てるのかもしれないけど……遅刻はダメよ」
「はい。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げて席へと歩く。
周りからクスクス笑い声が聞こえるが、ノープロブレムだ。
席の近くまでいくと、すばるがいつもの笑顔で私を迎えてくれた。
「おはよう。里依ちゃん」
「おはよう、すばる」
作り笑顔と作り声をすばるに返す。
朝の会が終わって、先生が教室を出て行き、クラスメイトたちがざわめく。
この学園に潜入してから二週間。
だいぶん慣れて、クラスメイトの顔と名前も四割ほどは一致してきた。
すばるとも「友達」という関係に近くなってきた気もするし、あとは……どうやって父親の日生薫教授に近づくかだが。
「ねぇねぇ。今度の土曜日、ありさちゃんのお家、遊びに行ってもいい?」
「うん。いいよ。ちょうど塾もお休みなんだ。来て来て~♪」
不意に聞こえてきた声に、ポンと手を打つ。
……これだ!
お家に遊びに行ってもいいか作戦!
すばると「友達」という仮の関係を少しは築いていた甲斐があった!
今なら、遊びに誘っても不自然じゃないはず。
おそらく、成功率は七十パーセント。やってみる価値はある!
「ねぇねぇ、すばる」
思い立ったら、即実行。
呼びかけると、机から教科書を出していたすばるがこちらを向いた。
「土曜日、すばるのお家、行ってみたいなぁ」
「えっ」
私の言葉に、すばるはちょっとびっくりした顔。
それから、何かを少し考えている。
……しまった。いきなりすぎたか?
まだ「友達」として、そこまでの段階ではなかった?
断られるかもしれないと身を固くしてると、すばるがにこやかに答えた。
「いいよ。父さんがいるけど、出かけるって言ってたし、大丈夫だと思う」
「わーい! やったぁ」
「じゃあ、せっかくだから風斗も呼ぼうか。この前来たところだけど」
風斗? 別に呼ばなくてもいいが。
ちっと心の中で舌打ちしながら、すばるにきいてみる。
「風斗はすばるの家によく遊びに来てるの?」
「うん。週に二回ほど来てるよ。父さんと気が合うみたいで、よく話してる」
「へぇ。そうなんだ」
週二も来てるのか。風斗とすばるは仲良しなんだな。
しかも、薫教授とも気が合うなんて。
そのコミュニケーション力、任務のために教えてもらいたいくらいだ。
……と、ふと視線を感じた。
振り返ると、教卓の方から女子三人がこちらを見ている。
真ん中は確か……茶谷(ちゃたに)モエ。
長いストレートの髪で、切れ長の瞳。背が高く、スタイルが良い。
去年、他の学校から転校してきたらしいが、ルックスの良さと優秀な成績で、皆から一目置かれているらしい。
その脇を固めている二人は……ええっと、ちょっと名前が思い出せない。
三つ編みの小柄な女子と、メガネのショートカットの女子。
いつも茶谷モエと一緒にいる。
二週間経って、だいぶん分かってきた。
どうやらあの三人は、大のすばるファンらしい。
私がすばると話していると、毎回のごとくこちらをにらんでいる。
……気をつけないと。余計なねたみをもらうのは、やっかいだ。
確か、(男心をつかむ……)の本にも書いてあった。
一番こわいのは、女子からのねたみだと。
時に陰湿で、莫大なパワーを持つらしいからな。
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