魔法道具のお店屋さん

森野ゆら

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8章

対決

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「私を罵るやつは、この世界にいらないからね、魔術を使った後、崖から落としてやったんだよ」

 崖から……落とした?
 お父さん、デリーさん……魔術師に崖から落とされたの?!
 わなわなと体が震えてくる。心臓が痛いほど鳴って、きゅうっと苦しくなる。

「……許せない。お兄ちゃんの片腕を使えなくして、エリカちゃんも町の人もあんな風にして……しかもお父さんまで……私はあなたを絶対許さない!」

 怒り叫ぶと、魔術師がふうっと息をついた。

「残念だな。じゃあ、君も私のしもべになってもらおうかな」

 低く言った後、空を見上げながら何かを唱え始めた。
 すると、周りの茂みからガサガサ音がして、一人のおじさんがフラフラと出てきた。
 続いて、若いお兄さん、おばあさん、小さな子どもまで。
 あっという間に私の周りに人だかりができた。
 いつの間にこんなに集まっていたの?
 生気のない目をした人たちが、手を伸ばして私をめがけてぞろぞろやってくる。
 これは、操られてる町の人?
 数が多い。でも、どうにかしなきゃ……! 
 そう思うけど、足がブルブルして思ったように動かない。
 そうだ! こういう時のためのリアムの魔法道具でしょ!
 急いで、ショルダーバッグに手を入れる。
 確か、ゾンビに効くロッドがあったはず!
 長ぼそい白の杖。先には青の鉱石がついてる、お兄ちゃんが三か月かけて作った、リアム魔法道具店の自信作!

「えいっ」

 杖をくるるくるっと三回まわして、空に向かってかざした。
 私の周りがぱあっと青く光り、近づいてきていた人たちの動きが止まった。
 魔術師もまぶしいのか、片手で目を隠している。

 今だ!

 人と人の間をかき分けて全力ダッシュ!
 よし、逃げられる!
 ここはいったん逃げて、魔術にかかっていない人を探して協力してもらおう。
 人だかりをもう少しで抜け出せそうだったその時。
 ぐいっと腕を引っ張られた。
 振りほどけないくらい、すごく強い力!

「離してよ……えっ?!」

 私の腕をつかんでる人を見て、目を疑った。
 お兄ちゃんだ!
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