魔法道具のお店屋さん

森野ゆら

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6章

図書室での疑惑

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 放課後の図書室は、人がまばらでとっても静か。
 夕方の光が差し込んできて、棚の本たちをオレンジに染めている。

「ええっと、地学の本はこっちだから、地図はこっち?」

 どうして、図書館に来たかと言うと。
 魔術師が町のどこにひそんでいるか考えるために、地図を見てみることにしたんだ。
 棚と棚の間を通って地図が置いてあるコーナーへ。
 町の地図に手を伸ばした時、閲覧席にいる人が目に入った。
 窓際の閲覧席で分厚い図鑑を広げているのは、ミレイ!
 わわっ。
 この前、スクト山で言われたことを思い出して、あわてて本棚の陰に隠れる。
 今、会うのは何だか気まずい。そっと地図を取ってこっそり帰ろう。
 そう思ったけど、なんとなく気になる。
 勉強してるのかな?
 ページを繰る長い指。
 時々、羽のついたペンを走らせて、ミレイの表情は真剣そのものだ。
 魔法特進科ってどんなことを勉強してるんだろう? ちょっと興味あるかも。
 少し、身を乗り出してミレイの手元を見たら……

(えっ……?)

 図鑑のそばに置かれてる紙に、見知った模様。
 ひし形が幾重にもなったあの形。
 ミレイはペンをサラサラと動かし、何度もその模様をなぞってる。

(ど、どうして……)

 ドキドキと胸の音が早くなる。
 あの模様……お兄ちゃんの腕にある模様と一緒だ!
 どうして、ミレイがあの模様を?
 もしかして、ミレイが魔術師……?
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