魔法道具のお店屋さん

森野ゆら

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5章

お兄ちゃん、大丈夫?

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 クウちゃんと一緒に家に帰ったら、辺りはもう真っ暗だった。

「お兄ちゃん、ただいま! 大丈夫? 生きてる?」

 心配で胸が押しつぶされそうになりながら、お兄ちゃんの部屋のドアを開ける。
 ベッドに横たわっているお兄ちゃんは、辛そうに体をこちらに傾けて目を開けた。

「うう……あぁ、セアラ。帰って……きたのか」

「うん。遅くなってごめんね。だけど……持って帰って来たから! ネツトレ草!」

 カゴからネツトレ草を出して見せると、お兄ちゃんが少しだけ眉を上げた。
 お兄ちゃんのおでこをさわると、湯気が出てきそうなくらい熱い。

「今からすりつぶしてくるからね」

「あぁ、ありがとう。あれ? そいつは……」

 お兄ちゃんがうつろな顔で私の腕の中にいるクウちゃんを見た。

「クウちゃんっていうの。ネツトレ草を持ってきてくれたんだよ」

 クウちゃんの頭をなでながら言うと、お兄ちゃんは目を鋭くさせて、クウちゃんをにらんだ。

「……お前、誰だ? どういうつもりだ?」

 お兄ちゃんの低い声に、クウちゃんのヒゲがピクリとゆれた。
 クウちゃんは表情を留め、お兄ちゃんをじっと見つめ返す。
 それから、私の腕からピョンと床におりて、開いたままのドアから逃げ出した。

「あ、クウちゃん! 待って……もうっ、お兄ちゃんてば。クウちゃんびっくりして逃げちゃったじゃない」

「セアラ、あのケモノは……いてっ」

 言いかけて、お兄ちゃんが頭を押さえた。

「ほら。もう寝てて。今からネツトレ草すりつぶすから!」

 何か言いたそうなお兄ちゃんを無理やり寝かせて、私はキッチンに走った。
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