21 / 46
5章
頂上でピンチ
しおりを挟む
岩の後ろから現れたのは、奇妙な人。
顔に銀色のうろこみたいなのが生えていて、ギラギラしてる。
体はほっそりしていて、ウエストにはボロボロのポーチ。
腰下から尾びれみたいなベタベタしたものが生えてる。
「だ、だれ? あなた」
「おれ様、キッシィ。ご主人様、あんた連れてこい、言ってる。一緒に来てくれ。キヒヒ」
「ご主人様? だれのこと?」
「キヒヒ。そいつは言えねぇ。ご主人様のこと、ヒミツ。お前、眠らせて連れていったら、金貨いっぱい、もらえる。キヒヒ」
開いたままの口から、ぼとぼとよだれが落ちる。
地面に落ちたよだれから、シュウウと湯気が上がって土が焦げた。
「あああ! ちょっと待って! よだれストップ!」
生えていたネツトレ草の一本によだれが落ちて、溶けちゃってる!
何? このよだれ!
ダメだ。残ってるネツトレ草まで溶けちゃったら……
「ちょっ……そのよだれやめて!」
「よだれ、止まらない。ふぇ、ふぇ、ふぇくしょーい!」
キッシィとかいうヤツの口から、たくさんの泡が出てきて、そこらじゅうの地面に飛び散った。
シュウウウ……
残っていたネツトレ草にも泡がかかって、くたりとした後、溶けちゃった!
「……うそ」
信じられない。なんてことするの、コイツ。
「ばか! ネツトレ草、全部ダメになったじゃない!」
怒って叫んだけど、キッシィは口元をぬぐってニヤリと笑った。
「キヒヒ、すっきりした。さて、お前、連れていく」
キッシィが一歩、二歩と近づいてきた。
近づくたびになんか、くさい。魚の腐ったニオイがする。
「こ、来ないでよ」
「大丈夫。これ、飲んだら眠れる」
キッシィがウエストポーチから出してきたのは、透明の筒。
たっぷり、泥水みたいな色の液体が入ってる。
うええ。あんなの、絶対飲みたくない!
でも、キッシィはどんどん迫ってくる。どうしよう。
泣きそうになったその時、背後で何かを唱える声がした。
誰?
振り返るより先に、ぱっと何かが光って、急に目の前が明るくなった。
見ると、私とキッシィの間に一つの光の玉がプカプカ浮いてる。
「キヒヒ? なんだこれ」
キッシィが興味津々で、宙に浮かぶ光の玉をツンツンさわったとたん、
パン!
玉が弾け飛んで、ピンク色の花びらがそこらじゅうに舞った。
同時に花のいい香りがただよってくる。
「ふごっ。くせ、くせぇ! なんだこのニオイ!」
キッシィが顔を押さえて、ジタバタしてる。
くさい? この花の香りがくさいの?
「うおおおっ……ダメだ~~~」
叫びながら、キッシィが逃げるように山を下りていった。
……よかった。なんかよく分かんないけど、助かった。
でも、この花びらを出したのは、誰が……
「魚人族は花の香りが苦手だからな」
後ろから聞いたことがあるような声がして、ハッと振り返る。
顔に銀色のうろこみたいなのが生えていて、ギラギラしてる。
体はほっそりしていて、ウエストにはボロボロのポーチ。
腰下から尾びれみたいなベタベタしたものが生えてる。
「だ、だれ? あなた」
「おれ様、キッシィ。ご主人様、あんた連れてこい、言ってる。一緒に来てくれ。キヒヒ」
「ご主人様? だれのこと?」
「キヒヒ。そいつは言えねぇ。ご主人様のこと、ヒミツ。お前、眠らせて連れていったら、金貨いっぱい、もらえる。キヒヒ」
開いたままの口から、ぼとぼとよだれが落ちる。
地面に落ちたよだれから、シュウウと湯気が上がって土が焦げた。
「あああ! ちょっと待って! よだれストップ!」
生えていたネツトレ草の一本によだれが落ちて、溶けちゃってる!
何? このよだれ!
ダメだ。残ってるネツトレ草まで溶けちゃったら……
「ちょっ……そのよだれやめて!」
「よだれ、止まらない。ふぇ、ふぇ、ふぇくしょーい!」
キッシィとかいうヤツの口から、たくさんの泡が出てきて、そこらじゅうの地面に飛び散った。
シュウウウ……
残っていたネツトレ草にも泡がかかって、くたりとした後、溶けちゃった!
「……うそ」
信じられない。なんてことするの、コイツ。
「ばか! ネツトレ草、全部ダメになったじゃない!」
怒って叫んだけど、キッシィは口元をぬぐってニヤリと笑った。
「キヒヒ、すっきりした。さて、お前、連れていく」
キッシィが一歩、二歩と近づいてきた。
近づくたびになんか、くさい。魚の腐ったニオイがする。
「こ、来ないでよ」
「大丈夫。これ、飲んだら眠れる」
キッシィがウエストポーチから出してきたのは、透明の筒。
たっぷり、泥水みたいな色の液体が入ってる。
うええ。あんなの、絶対飲みたくない!
でも、キッシィはどんどん迫ってくる。どうしよう。
泣きそうになったその時、背後で何かを唱える声がした。
誰?
振り返るより先に、ぱっと何かが光って、急に目の前が明るくなった。
見ると、私とキッシィの間に一つの光の玉がプカプカ浮いてる。
「キヒヒ? なんだこれ」
キッシィが興味津々で、宙に浮かぶ光の玉をツンツンさわったとたん、
パン!
玉が弾け飛んで、ピンク色の花びらがそこらじゅうに舞った。
同時に花のいい香りがただよってくる。
「ふごっ。くせ、くせぇ! なんだこのニオイ!」
キッシィが顔を押さえて、ジタバタしてる。
くさい? この花の香りがくさいの?
「うおおおっ……ダメだ~~~」
叫びながら、キッシィが逃げるように山を下りていった。
……よかった。なんかよく分かんないけど、助かった。
でも、この花びらを出したのは、誰が……
「魚人族は花の香りが苦手だからな」
後ろから聞いたことがあるような声がして、ハッと振り返る。
10
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
エプロンパンダのおめがね屋
ヒノモト テルヲ
児童書・童話
目黒山の中ほどにできた「おめがね屋」というメガネ屋さんのお話。エプロン姿のパンダ店主と子供パンダのコパンの二人が、手作りでちょっと変わったメガネを売っています。店主がエプロンのポケットに手を入れてパンダネを作り、それをオーブンに入れて三分立てばお客様のご希望に合わせた、おめがねにかなったメガネの出来上がりです。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる