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4章
探しもの
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リットシェルはまだ謎が多くて、図鑑にも特性がのっていない。
だけど、私は今までの経験で知ってる。
陽が適度に当たる場所、なおかつ丸い粒々の葉を持つ水草の近くにいることが多い。
だから、粒々水草を発見したら、チャンスなんだ。
ひざ下まで川に入って、粒々水草を探すことしばらく。
大きな石の間にある粒々水草の根元に手を入れて探ってみると……あった!
「ありましたよ~。デリーさん」
川辺にいたデリーさんに持っていくと、驚いた顔でリットシェルを受け取ってくれた。
光沢のある赤い貝殻に陽の光が反射する。
「すごいですね。早朝からかなりの時間探したのですが。セアラさんはほんの数分で探しだすんですから」
デリーさんが感心したように声を大きくした。
「私、材料をとるのは得意なんです。道具作りは全然ですけど……この前の試験も赤点だったし」
「いやいや、道具作りと同じくらいすごい力ですよ。もしかしたら、セアラさん、シャランの魔法石も見つけることができるんじゃないですか?」
デリーさんが子どもみたいに目を輝かせた。
「シャランの魔法石は、さすがに……。でも、見つけることができたらすごいですよね」
「本当に。一夜にして富豪になれますよ」
あははっと笑い合った後、デリーさんが真剣な目で見つめてきた。
「セアラさんは素晴らしいお嬢さんだ。ぜひ、私の元に……いえ、オーシュランに来てほしいくらいです」
一歩近づいてきたデリーさんに、ドキンと心臓が大きく鳴る。
落ち着いた大人の雰囲気、ほれぼれするようなきれいな銀色の髪、吸い込まれそうな紫の瞳……
ダメだ。私、デリーさんのことを思うと……わわっ、私、何考えてるの?
変な妄想をかき消すように、あわてて頭を振った。
「……あのっ、そ、それは無理です!」
「冗談ですよ。さすがに天国のリアムさんに悪いし」
デリーさんは笑って言った後、はぁと息をついた。
「実は……まだ頼まれてる物があるんですよ。あと、青龍魚のウロコと夕日の綿毛も探してくれって言われてまして。情けないことに、それらも見つけることができなくて……」
顔を曇らせるデリーさん。
青龍魚のウロコと夕日の綿毛?!
どっちもなかなか見つけられないレアアイテムだよ。
そんなの、デリーさん一人に押しつけるなんて、オーシュランの職人さんたち、何考えてんの?
きっと、この前見た、あのえらそうな店員さんたちに言われてるんだ。
何だかムカムカしてきた。
「デリーさん! 私、一緒に探します!」
「えっ……そんな、悪いですよ」
「大丈夫ですっ、青龍魚のウロコも夕日の綿毛も私、一度見つけたことありますから!」
任せてくださいと胸をたたいて、私はもう一度川へ入った。
だけど、私は今までの経験で知ってる。
陽が適度に当たる場所、なおかつ丸い粒々の葉を持つ水草の近くにいることが多い。
だから、粒々水草を発見したら、チャンスなんだ。
ひざ下まで川に入って、粒々水草を探すことしばらく。
大きな石の間にある粒々水草の根元に手を入れて探ってみると……あった!
「ありましたよ~。デリーさん」
川辺にいたデリーさんに持っていくと、驚いた顔でリットシェルを受け取ってくれた。
光沢のある赤い貝殻に陽の光が反射する。
「すごいですね。早朝からかなりの時間探したのですが。セアラさんはほんの数分で探しだすんですから」
デリーさんが感心したように声を大きくした。
「私、材料をとるのは得意なんです。道具作りは全然ですけど……この前の試験も赤点だったし」
「いやいや、道具作りと同じくらいすごい力ですよ。もしかしたら、セアラさん、シャランの魔法石も見つけることができるんじゃないですか?」
デリーさんが子どもみたいに目を輝かせた。
「シャランの魔法石は、さすがに……。でも、見つけることができたらすごいですよね」
「本当に。一夜にして富豪になれますよ」
あははっと笑い合った後、デリーさんが真剣な目で見つめてきた。
「セアラさんは素晴らしいお嬢さんだ。ぜひ、私の元に……いえ、オーシュランに来てほしいくらいです」
一歩近づいてきたデリーさんに、ドキンと心臓が大きく鳴る。
落ち着いた大人の雰囲気、ほれぼれするようなきれいな銀色の髪、吸い込まれそうな紫の瞳……
ダメだ。私、デリーさんのことを思うと……わわっ、私、何考えてるの?
変な妄想をかき消すように、あわてて頭を振った。
「……あのっ、そ、それは無理です!」
「冗談ですよ。さすがに天国のリアムさんに悪いし」
デリーさんは笑って言った後、はぁと息をついた。
「実は……まだ頼まれてる物があるんですよ。あと、青龍魚のウロコと夕日の綿毛も探してくれって言われてまして。情けないことに、それらも見つけることができなくて……」
顔を曇らせるデリーさん。
青龍魚のウロコと夕日の綿毛?!
どっちもなかなか見つけられないレアアイテムだよ。
そんなの、デリーさん一人に押しつけるなんて、オーシュランの職人さんたち、何考えてんの?
きっと、この前見た、あのえらそうな店員さんたちに言われてるんだ。
何だかムカムカしてきた。
「デリーさん! 私、一緒に探します!」
「えっ……そんな、悪いですよ」
「大丈夫ですっ、青龍魚のウロコも夕日の綿毛も私、一度見つけたことありますから!」
任せてくださいと胸をたたいて、私はもう一度川へ入った。
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