魔法道具のお店屋さん

森野ゆら

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4章

ドキドキの謎

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 銀色のサラサラの髪、長身でスラリとした長い足、茶色のオーシュランの制服。
 ドキッと心臓が鳴って、耳の後ろが熱くなる。

「デリーさん!」

 かけよると、デリーさんが私に気づいて、目を大きくした。

「あれ? 君はたしか……セアラさん」

「こんにちは。どうされたんですか? こんなところで」

 きくと、デリーさんは困ったように紫の目を細めた。

「実は、新作の道具を作るのに『リットシェル』がいると技術者に言われたのです。探しに来たのですが、ちっとも見つからなくて」

「リットシェルですか……あれはなかなか変な所にあるから……」

 リットシェルっていうのは、燃えるような赤色の貝。
 貝殻に魔法力の成分が入っていて、わりと希少なんだ。
 すごく派手な色だから、あればすぐに見つかるんだけど、変な所に生息してるから見つけるのが難しいんだよね。
 何回かリットシェルを採ったことがあるから、いるところのポイントは分かる。
 でも、今はお兄ちゃんのネツトレ草をスクト山に採りに行かないと……

「やはり、見つけるのは難しいですよね。技術者もあれがないと作業に取りかかれないと言ってましたし……日が落ちるまで探せるかどうか」

 デリーさんが伏し目がちに川の水面を見つめた。

「デリーさん、オーシュランのために一生懸命なんですね」

 言うと、デリーさんはびっくりしたように私を見た。

「そうですね……オーシュランを今より更に良くしたい気持ちは、誰にも負けませんよ」

 デリーさんが優しくほほえむ。
 そんな顔を見たら、ドキドキと胸が鳴り出して、耳が熱くなってきた。
 どうしてだろう。デリーさんが困ってるのをほっておけない。

「あの、一緒に探しましょうか?」

 思わず口にしてしまったら、デリーさんがパッと顔を輝かせた。

「えっ? いいのですか? どこかへ行く途中だったのでは?」

「大丈夫です。私、デリーさんのお役に立ちたいから……」

 わわわ。私ってば、何を言ってるんだろう?
 お兄ちゃんはどうするの!
 心の中で自分をしかりつけるけど、うれしそうなデリーさんを見ると、更にドキドキしてきた。
 耳の熱さが顔にまで伝染してきたみたい。絶対、顔が真っ赤になってるよ。

「ありがとうございます。とても助かります」

 デリーさんにやわらかにほほえまれて、心臓が暴れ出す。
 私ってば、本当にどうなってるんだろう?
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