12 / 46
3章
あやしい洞穴
しおりを挟む
森の中が薄暗くなってきた頃、ガラス瓶の中がいっぱいになった。
「百以上は採ったよね。そろそろ帰るかぁ」
バッグにガラス瓶を入れて、来た道を戻ろうとした時、古い木の向こうの土手に穴がぽっかり開いてるのが見えた。
「あれ? あんな所に洞穴なんてあったっけ?」
この海辺の森には何回か来てるから、だいたい知ってると思ってたけど、あんなの初めて見た。
あの洞穴、どこに続いてるんだろう?
もしかしたら、見たことない薬草とか、鉱石があるかも。
そう思ったらワクワクして、いてもたってもいられなくなってかけだした。
近くで見ると、思ったより大きな穴。
少しかがんで入ると、ずっと奥まで道が続いてる。
しばらく歩くと、かがまなくてもいいくらいの高さになった。
おお。これで歩きやすい!
ずんずん奥へと歩いていくうちに、ふと気づいた。
不思議。草の一つも生えてない。めずらしい薬草でもあればなって思ったけど。
それに、この洞穴、自然にできたというより、誰かが作ったような……
そんなことをふと思った時、何かが聞こえた気がして、立ち止まった。
しんとした洞穴の中。私の息づかいだけが響いてる。
人の声が聞こえた気がしたけど……やっぱり気のせい?
また歩き出そうとした時、
「……~~……~~」
聞こえた。やっぱり気のせいじゃない!
ぼそぼそした声は奥からだ。
誰かいるの?
ドキドキしながら奥へ進んでみると、開けた場所に出た。
奥には炎がたかれていて、その前で深緑のローブを着た人が何かを唱えてる。
岩の壁に隠れて、そっとのぞいてみた。
「……~~~~」
ローブの人が杖を高くかざすと、炎から何かが浮かび上がってきた。
……え? あれって!
浮かんだ黒い模様を見て、心臓がドキンと鳴った。
あれは……お兄ちゃんの腕にある模様と同じ⁈
ひし形がいくつも重なったあの独特の形。絶対に忘れもしない、忌々しい模様。
もしかして、あの人が……お兄ちゃんに魔術をかけた人⁈
「百以上は採ったよね。そろそろ帰るかぁ」
バッグにガラス瓶を入れて、来た道を戻ろうとした時、古い木の向こうの土手に穴がぽっかり開いてるのが見えた。
「あれ? あんな所に洞穴なんてあったっけ?」
この海辺の森には何回か来てるから、だいたい知ってると思ってたけど、あんなの初めて見た。
あの洞穴、どこに続いてるんだろう?
もしかしたら、見たことない薬草とか、鉱石があるかも。
そう思ったらワクワクして、いてもたってもいられなくなってかけだした。
近くで見ると、思ったより大きな穴。
少しかがんで入ると、ずっと奥まで道が続いてる。
しばらく歩くと、かがまなくてもいいくらいの高さになった。
おお。これで歩きやすい!
ずんずん奥へと歩いていくうちに、ふと気づいた。
不思議。草の一つも生えてない。めずらしい薬草でもあればなって思ったけど。
それに、この洞穴、自然にできたというより、誰かが作ったような……
そんなことをふと思った時、何かが聞こえた気がして、立ち止まった。
しんとした洞穴の中。私の息づかいだけが響いてる。
人の声が聞こえた気がしたけど……やっぱり気のせい?
また歩き出そうとした時、
「……~~……~~」
聞こえた。やっぱり気のせいじゃない!
ぼそぼそした声は奥からだ。
誰かいるの?
ドキドキしながら奥へ進んでみると、開けた場所に出た。
奥には炎がたかれていて、その前で深緑のローブを着た人が何かを唱えてる。
岩の壁に隠れて、そっとのぞいてみた。
「……~~~~」
ローブの人が杖を高くかざすと、炎から何かが浮かび上がってきた。
……え? あれって!
浮かんだ黒い模様を見て、心臓がドキンと鳴った。
あれは……お兄ちゃんの腕にある模様と同じ⁈
ひし形がいくつも重なったあの独特の形。絶対に忘れもしない、忌々しい模様。
もしかして、あの人が……お兄ちゃんに魔術をかけた人⁈
10
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
天境のナイチンゲール
秋澤えで
児童書・童話
兄さん、兄さん、こんな天国の島と地上の境で何してるんだい?兄さんみたいないい人そうなのは天国の島へと行けるだろう?……なるほど、泣くことができないのか、それはよくない。涙は神様からの贈り物だ。それじゃあ一つこのナイチンゲールが兄さんから涙をいただこう。可哀想で滑稽で憐れな話だ。どんな人でなしでも咽び泣く!まあ誰にもまだ話したことのないことだけど。まあいいや、一つ聞いてくれないか。たった一人で墓地にいる、幼い墓守の話さ――――
フラワーキャッチャー
東山未怜
児童書・童話
春、中学1年生の恵梨は登校中、車に轢かれそうになったところを転校生・咲也(さくや)に突き飛ばされて助けられる。
実は咲也は花が絶滅した魔法界に花を甦らせるため、人の心に咲く花を集めに人間界にやってきた、「フラワーキャッチャー」だった。
けれど助けられたときに、咲也の力は恵梨に移ってしまった。
これからは恵梨が咲也の代わりに、人の心の花を集めることが使命だと告げられる。
恵梨は魔法のペンダントを預けられ、戸惑いながらもフラワーキャッチャーとしてがんばりはじめる。
お目付け役のハチドリ・ブルーベルと、ケンカしつつも共に行動しながら。
クラスメートの女子・真希は、恵梨の親友だったものの、なぜか小学4年生のあるときから恵梨に冷たくなった。さらには、咲也と親しげな恵梨をライバル視する。
合唱祭のピアノ伴奏に決まった恵梨の友人・奏子(そうこ)は、飼い猫が死んだ悲しみからピアノが弾けなくなってしまって……。
児童向けのドキワクな現代ファンタジーを、お楽しみいただけたら♪
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
知ったかぶりのヤマネコと森の落としもの
あしたてレナ
児童書・童話
ある日、森で見つけた落としもの。
動物たちはそれがだれの落としものなのか話し合います。
さまざまな意見が出ましたが、きっとそれはお星さまの落としもの。
知ったかぶりのヤマネコとこわがりのネズミ、食いしんぼうのイノシシが、困難に立ち向かいながら星の元へと落としものをとどける旅に出ます。
全9話。
※初めての児童文学となりますゆえ、温かく見守っていただけましたら幸いです。
しずかのうみで
村井なお
児童書・童話
小学五年生の双子姉弟がつむぐ神道系ファンタジー。
春休みの始まる前の日、息長しずかは神気を見る力に目覚めた。 しずかは双子の弟・のどかと二人、琵琶湖のほとりに立つ姫神神社へと連れて行かれる。 そして叔母・息長みちるのもと、二人は神仕えとしての修行を始めることになるのだった。
トウシューズにはキャラメルひとつぶ
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。
小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。
あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。
隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。
莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。
バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。
異世界子供会:呪われたお母さんを助ける!
克全
児童書・童話
常に生死と隣り合わせの危険魔境内にある貧しい村に住む少年は、村人を助けるために邪神の呪いを受けた母親を助けるために戦う。村の子供会で共に学び育った同級生と一緒にお母さん助けるための冒険をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる