魔法道具のお店屋さん

森野ゆら

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3章

あやしい洞穴

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 森の中が薄暗くなってきた頃、ガラス瓶の中がいっぱいになった。

「百以上は採ったよね。そろそろ帰るかぁ」

 バッグにガラス瓶を入れて、来た道を戻ろうとした時、古い木の向こうの土手に穴がぽっかり開いてるのが見えた。

「あれ? あんな所に洞穴なんてあったっけ?」

 この海辺の森には何回か来てるから、だいたい知ってると思ってたけど、あんなの初めて見た。
 あの洞穴、どこに続いてるんだろう?
 もしかしたら、見たことない薬草とか、鉱石があるかも。
 そう思ったらワクワクして、いてもたってもいられなくなってかけだした。
 近くで見ると、思ったより大きな穴。
 少しかがんで入ると、ずっと奥まで道が続いてる。
 しばらく歩くと、かがまなくてもいいくらいの高さになった。
 おお。これで歩きやすい!
 ずんずん奥へと歩いていくうちに、ふと気づいた。
 不思議。草の一つも生えてない。めずらしい薬草でもあればなって思ったけど。
 それに、この洞穴、自然にできたというより、誰かが作ったような……
 そんなことをふと思った時、何かが聞こえた気がして、立ち止まった。
 しんとした洞穴の中。私の息づかいだけが響いてる。
 人の声が聞こえた気がしたけど……やっぱり気のせい?
 また歩き出そうとした時、

「……~~……~~」

 聞こえた。やっぱり気のせいじゃない!
 ぼそぼそした声は奥からだ。
 誰かいるの?
 ドキドキしながら奥へ進んでみると、開けた場所に出た。
 奥には炎がたかれていて、その前で深緑のローブを着た人が何かを唱えてる。
 岩の壁に隠れて、そっとのぞいてみた。

「……~~~~」

 ローブの人が杖を高くかざすと、炎から何かが浮かび上がってきた。
 ……え? あれって!
 浮かんだ黒い模様を見て、心臓がドキンと鳴った。
 あれは……お兄ちゃんの腕にある模様と同じ⁈
 ひし形がいくつも重なったあの独特の形。絶対に忘れもしない、忌々しい模様。
 もしかして、あの人が……お兄ちゃんに魔術をかけた人⁈
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