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2章
魔法学校のエリート生
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学校の中庭に着くと、すでにたくさんの人だかり!
噴水横の壁に大きな紙が貼り出されてて、この間受けた試験の結果をみんなが食い入るように見てる。
上の方には、成績優秀者の名前がずらり。
人だかりの中をジャンプしてみるけど、道具技術科の上の方に私の名前はない。
ま、上位の所に私がいるワケない。
せめて、真ん中くらい? ……って思ったけど、私の名前はなかなか現れない。
確認した子たちがその場を去っていって、やっと下の方が見えてきた。
「あった! ……下から二番目……」
ぐわーん。最下位は免れたけど、過去最低順位!
こ、これはお兄ちゃんには言えない。
まさか、こんなに悪いとは。はーあ。私、道具科は向いてないのかな。
とは言え、他の学科に入れるワケないんだけど。やっぱ、もっと勉強しないとなぁ。
ちょっとでもお兄ちゃんの手伝いをしたいし、それに……お父さんみたいな魔法道具を作れるようになりたいんだよね。
「うわ、さすがだね。ミレイくん!」
いつの間にか横に来ていたエリカちゃんが、まぶしそうに結果を見上げた。
エリカちゃんは同じクラスで、低学年からの仲良しさん。
くるんくるんの長い髪を、いつも赤いリボンで結ってる。
見た目はお嬢様みたいな子だけど、庶民的なおもしろい子なんだ。
魔法特進科の所を見ると、一番上に(ミレイ・オーシュラン)って書かれてる。
私はその名前をキッとにらんで、目をそらした。
「私、アイツ、大キライ」
「あー……セアラはそうだったね」
エリカちゃんが困ったように笑う。
ミレイ・オーシュランはその名のとおり、オーシュラン魔法道具店の跡継ぎ息子。
魔法特進科の中でも、いつも成績はトップ。
おまけに高身長できれいな顔立ちをしているから、女子から大人気。
お金持ちで、顔もよくて成績も優秀。
天は二物も三物も与えるんだ。不公平極まりないよ。
しかも、オーシュラン店の息子だなんて、完全に私の天敵!
私たちからお父さんを奪ったオーシュランは、一生恨んでやるんだから!
「はー。そうだ。かっこいいと言えば、ハクトさんはお元気?」
「フツーに元気だよ。うるさいくらい」
半目で言うと、エリカちゃんが目を輝かせた。
エリカちゃんはかっこいい、きれいな人が好きだ。
どうやら、お兄ちゃんもエリカちゃんの好みにバッチリ入るらしい。
まぁ、私はミレイとお兄ちゃんが好みなんて、趣味悪いなって思うけど。
「ハクトさんとミレイくん。推しが二人もいるなんて、エリカはなんて幸せ者なの。はー……でも。一度でいいからミレイくんとお話してみたいなぁ。ミレイく……」
エリカちゃんがバッと口を押えた。
噴水横の壁に大きな紙が貼り出されてて、この間受けた試験の結果をみんなが食い入るように見てる。
上の方には、成績優秀者の名前がずらり。
人だかりの中をジャンプしてみるけど、道具技術科の上の方に私の名前はない。
ま、上位の所に私がいるワケない。
せめて、真ん中くらい? ……って思ったけど、私の名前はなかなか現れない。
確認した子たちがその場を去っていって、やっと下の方が見えてきた。
「あった! ……下から二番目……」
ぐわーん。最下位は免れたけど、過去最低順位!
こ、これはお兄ちゃんには言えない。
まさか、こんなに悪いとは。はーあ。私、道具科は向いてないのかな。
とは言え、他の学科に入れるワケないんだけど。やっぱ、もっと勉強しないとなぁ。
ちょっとでもお兄ちゃんの手伝いをしたいし、それに……お父さんみたいな魔法道具を作れるようになりたいんだよね。
「うわ、さすがだね。ミレイくん!」
いつの間にか横に来ていたエリカちゃんが、まぶしそうに結果を見上げた。
エリカちゃんは同じクラスで、低学年からの仲良しさん。
くるんくるんの長い髪を、いつも赤いリボンで結ってる。
見た目はお嬢様みたいな子だけど、庶民的なおもしろい子なんだ。
魔法特進科の所を見ると、一番上に(ミレイ・オーシュラン)って書かれてる。
私はその名前をキッとにらんで、目をそらした。
「私、アイツ、大キライ」
「あー……セアラはそうだったね」
エリカちゃんが困ったように笑う。
ミレイ・オーシュランはその名のとおり、オーシュラン魔法道具店の跡継ぎ息子。
魔法特進科の中でも、いつも成績はトップ。
おまけに高身長できれいな顔立ちをしているから、女子から大人気。
お金持ちで、顔もよくて成績も優秀。
天は二物も三物も与えるんだ。不公平極まりないよ。
しかも、オーシュラン店の息子だなんて、完全に私の天敵!
私たちからお父さんを奪ったオーシュランは、一生恨んでやるんだから!
「はー。そうだ。かっこいいと言えば、ハクトさんはお元気?」
「フツーに元気だよ。うるさいくらい」
半目で言うと、エリカちゃんが目を輝かせた。
エリカちゃんはかっこいい、きれいな人が好きだ。
どうやら、お兄ちゃんもエリカちゃんの好みにバッチリ入るらしい。
まぁ、私はミレイとお兄ちゃんが好みなんて、趣味悪いなって思うけど。
「ハクトさんとミレイくん。推しが二人もいるなんて、エリカはなんて幸せ者なの。はー……でも。一度でいいからミレイくんとお話してみたいなぁ。ミレイく……」
エリカちゃんがバッと口を押えた。
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