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第七章 オリビアの魔法
180、ステファニー・クリスタル2
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「は? 私はクリスタルの人間ですけど、ステファニーなんて名前聞いたこともありませんわ」
『はあ? 嘘でしょう?』
オリビアは驚き、眉を釣り上げた。ステファニー・クリスタルという名に全く心当たりがなかった。そして相手もオリビアの返事が予想外だったのか、返事をする声が裏返っている。
「いえ、私は本当に知りません」
『クリスタルを……いいえ、ジュエリトス人を名乗って私を知らないなんておかしいわ。あなた本当にジュエリトス人? クリスタル家の人間? 私も名乗ったのだから、自分と親兄弟の名前を言ってみてくれない?』
オリビアは彼女のふてぶてしい口調と自分を疑うような言葉に腹を立てた。語気を強めて言葉を返す。
「私の名はオリビア。正真正銘ジュエリトスのクリスタル伯爵家長女ですわ。兄の名はエリオット、父はジョセフ、母はキャサリンよ!」
『全員知らないし。しかもクリスタル伯爵家? クリスタルは公爵家よ。あなたやっぱり偽物ね!』
この言葉で、オリビアは怒り心頭となった。さらに捲し立てる。
「はあ? そんなこと言うならあなたの方が怪しいでしょう? そっちこそ、親兄弟の名前を言ってみなさいよ!」
『失礼ね……いいわ、教えてあげる! 私はステファニー。クリスタル公爵家の長女よ。父はエドワード、母はクロエ、兄はイーサン。ついでに兄の奥さんはエマ、甥っ子はルーカスとハリソンよっ!!』
売り言葉に買い言葉で白熱していたオリビアは、彼女の言葉に目を見開いた。知っている人間の名前が出てきたからだ。
「ルーカスは……私のお祖父様の名前だわ」
『え? ルーカスが?』
「それに、ハリソンはお祖父様の弟で、私の大叔父にあたる人よ」
『あなたが……ルーカスの孫?』
わけがわからなかった。オリビアは言葉を失い、状況を理解しようとその場で必死に考えたが混乱するばかりだった。自分の知らない情報が多すぎる。すると、先に彼女が話を始めた。
『ねえ、あなた……オリビア。今はジュエリトス新暦何年?』
「一〇七七年ですけど……」
『うそ! あれから八十年近く経ってる! じゃあオリビアは本当にルーカスの孫なのね!』
「そうですけど……あ! そういえば、お祖父様は昔、叔母と私が似ていると言っていたわ」
『それ、私のことよ!』
それからオリビアはステファニーに彼女が前国王と婚約破棄し、恋人ノアと異世界にいることやその経緯を聞いた。到底信じ難くはあったが、父がなんとなく社交界で肩身が狭そうにしていたこともあり納得できた。
「なるほど。いろいろ理解ができましたわ」
『そっか~。だからあなたも時空系の魔法が使えるのね。すごいじゃない!』
「いいえ、私は母譲りの契約魔法が使えるだけですよ」
『いやいや、タブレットがそっちにあるのも、今こうして話ができているのも、私の魔法じゃないわ。あなたのはず。まあ、二つ以上の魔法に目覚める人間もいるから、一度教会で確認してみるといいわ』
「はあ……」
こうして、オリビアは第二の魔法に目覚め、以後ステファニーや異世界と繋がり領地の発展に貢献することとなった。
>>次話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ついに登場ステファニーさんでした。
コメントなどいただけたら嬉しいです✨
引き続きよろしくお願いします🎶
『はあ? 嘘でしょう?』
オリビアは驚き、眉を釣り上げた。ステファニー・クリスタルという名に全く心当たりがなかった。そして相手もオリビアの返事が予想外だったのか、返事をする声が裏返っている。
「いえ、私は本当に知りません」
『クリスタルを……いいえ、ジュエリトス人を名乗って私を知らないなんておかしいわ。あなた本当にジュエリトス人? クリスタル家の人間? 私も名乗ったのだから、自分と親兄弟の名前を言ってみてくれない?』
オリビアは彼女のふてぶてしい口調と自分を疑うような言葉に腹を立てた。語気を強めて言葉を返す。
「私の名はオリビア。正真正銘ジュエリトスのクリスタル伯爵家長女ですわ。兄の名はエリオット、父はジョセフ、母はキャサリンよ!」
『全員知らないし。しかもクリスタル伯爵家? クリスタルは公爵家よ。あなたやっぱり偽物ね!』
この言葉で、オリビアは怒り心頭となった。さらに捲し立てる。
「はあ? そんなこと言うならあなたの方が怪しいでしょう? そっちこそ、親兄弟の名前を言ってみなさいよ!」
『失礼ね……いいわ、教えてあげる! 私はステファニー。クリスタル公爵家の長女よ。父はエドワード、母はクロエ、兄はイーサン。ついでに兄の奥さんはエマ、甥っ子はルーカスとハリソンよっ!!』
売り言葉に買い言葉で白熱していたオリビアは、彼女の言葉に目を見開いた。知っている人間の名前が出てきたからだ。
「ルーカスは……私のお祖父様の名前だわ」
『え? ルーカスが?』
「それに、ハリソンはお祖父様の弟で、私の大叔父にあたる人よ」
『あなたが……ルーカスの孫?』
わけがわからなかった。オリビアは言葉を失い、状況を理解しようとその場で必死に考えたが混乱するばかりだった。自分の知らない情報が多すぎる。すると、先に彼女が話を始めた。
『ねえ、あなた……オリビア。今はジュエリトス新暦何年?』
「一〇七七年ですけど……」
『うそ! あれから八十年近く経ってる! じゃあオリビアは本当にルーカスの孫なのね!』
「そうですけど……あ! そういえば、お祖父様は昔、叔母と私が似ていると言っていたわ」
『それ、私のことよ!』
それからオリビアはステファニーに彼女が前国王と婚約破棄し、恋人ノアと異世界にいることやその経緯を聞いた。到底信じ難くはあったが、父がなんとなく社交界で肩身が狭そうにしていたこともあり納得できた。
「なるほど。いろいろ理解ができましたわ」
『そっか~。だからあなたも時空系の魔法が使えるのね。すごいじゃない!』
「いいえ、私は母譲りの契約魔法が使えるだけですよ」
『いやいや、タブレットがそっちにあるのも、今こうして話ができているのも、私の魔法じゃないわ。あなたのはず。まあ、二つ以上の魔法に目覚める人間もいるから、一度教会で確認してみるといいわ』
「はあ……」
こうして、オリビアは第二の魔法に目覚め、以後ステファニーや異世界と繋がり領地の発展に貢献することとなった。
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