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第六章 事件発生

169、オリビアVSレオン最終決戦〜緊迫〜1

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 レオンが目を見開いている。オリビアが放った衝撃の言葉にかなり驚いているようだ。その表情を見て、やっと彼がこちらの話を受け入れたと実感する。そして、彼はその場で周りを見渡し力無く呟いた。

「ステファニーが生きている? まさか」

「嘘のような話かもしれませんが、本当ですわ」

「では、僕はなんのためにこんなことを……」

「そんなのこちらが聞きたいですわ」

 オリビアはレオンの小さな声に耳を傾け、息を吐いた。

「それじゃあ、君はテレポートも使えないんだな」

「そうですよ。もう、どうしてくれるんですか? このままでは私たち丸焦げでございます!」

「すまない……」

 レオンがうなだれ、謝罪の言葉を口にした。その意気消沈ぶりにオリビアはまるでこちらが一方的に自分を責めているような気分になる。そんな気を晴らすために励ますような言葉をかけた。

「大丈夫です、きっとリアム様が来てくれますわ」

「リアム? ヘマタイト君ではなく?」

「はい。ジョージではなくリアム様がきっと……」

 意外な名前が出てきたと言いたげにレオンが首を傾げて瞬きした。オリビアの言葉には半分願望が混ざっていた。もうこのまま炎に包まれてしまう可能性もある命の瀬戸際。レオンの手前気丈に振舞ってはいるが怖くてしょうがない。不安でたまらず心が押しつぶされそうな今、一目会いたいと思うくらいにオリビアはリアムを想っていた。

「オリビア嬢……」

「ふふっ。ただ私が会いたいだけなのですが。レオン殿下にはそういった方はいらっしゃらないのですか?」

 オリビアはレオンとしゃがみ込んだまま今の状況に関係ない話を始め笑顔を見せた。

 室内に煙が充満していく。ドアの隙間から天井に向かっていく煙を見ながらオリビアは残された時間の少なさを悟った。

「ああ、いるよ。けれど僕は彼女も彼女の大切な人のことも傷つけてしまったから……もう合わせる顔がないな」

 レオンが少し遠くを見つめて眉と目尻を下げ、寂しげな表情を浮かべた。オリビアは気落ちする彼の頬を両手で軽く叩くように挟み込んだ。

「レオン殿下、だったら余計にその方に会わなくては。お相手を傷つけてしまったのなら会って謝らなくてはいけませんよ! ウジウジと落ち込んでいるとまた私が頭突きしますわ」

「……それは勘弁してほしいな」

「だったら元気を出して。ともにこの場を乗り越えましょう!」

「オリビア嬢、女子に言うことではないのかもしれないが君は逞しいな。かっこいいよ」

 視線をオリビアに向けたレオンがわずかに微笑む。オリビアは彼ににっこりと満面の笑みを返した。

「田舎貴族で商売人の私には褒め言葉ですわ。ありがたく頂戴いたします」

>>続く
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