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第六章 事件発生
160、チーム・オリビア新メンバー加入のお知らせ1
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翌日、オリビアは朝食や朝の支度を済ませ、昼前にリタとジョージを連れ学院の敷地を出た。
馬車に乗り、リアムが待つアレキサンドライト家のタウンハウスに向かう。門をくぐり大きな屋敷のドアをノックすると、開いたドアから出迎えたのは執事ではなくリアム本人だった。
「オリビア嬢、来てくれてありがとう」
「こちらこそお時間をいただきありがとうございます」
「会いたかったよ。さあ、昼食の支度ができている。みんなで一緒に食べよう」
「はい……」
オリビアはさらりと飛び出したリアムの言葉に不意をつかれ顔が火照ってしまい、俯きながら彼の後ろをついて歩いた。自分の後ろを歩いているリタとジョージの表情も想像できるので振り向くこともできない。
「それではみんな、元気そうでよかった。遠慮せず好きなだけ食べてくれ」
「いただきます」
「ご馳走になりま~す」
食堂に着くとすでに豪華なランチの準備が済んでいた。リアムがオリビア一行を全員ゲストとして扱い、同じテーブルに向かうことになった。
ジョージはまるで飲食店の給仕のようなセリフを吐き気負ってはいないようだが、リタは申し訳なさそうに肩を縮めている。オリビアはそんな彼女を笑顔で激励する。
「リタ、今日はあなたもお客様よ。堂々としましょう」
「はい、オリビア様。あの、アレキサンドライト公」
「どうしたリタ?」
リタがリアムの方を向き、意を決したように一度小さく頷いてから彼を見据えていた。
「先日はご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。私のようなものに貴重な魔法を使っていただきましたこと、感謝申し上げます」
リアムがその場でしっかりと首を垂れるリタに優しい笑顔を向けている。もしも彼女があまりにも自分を卑下し、リアムを困らせるような事態になったら間に入ろう。そう思っていたオリビアは静かに微笑み、この場を見守ることにした。
「リタ、頭を上げなさい」
「はい、アレキサンドライト公」
「君は大勢の人間から見れば、ただの伯爵家の侍女だ。けれど、オリビア嬢やジョージにとっては違う。家族同然の大切な人間だ。恋人の家族を助けるのは当たり前だよ。迷惑なんかじゃない」
「そんな、めっそうもございません」
恐縮し再び頭を下げたリタに、リアムが優しい声色で語りかける。
「リタ、こういうときは一言『ありがとう』でいいんだ」
リタが顔を上げ不安げにこちらを見たので、オリビアは微笑みを絶やさず頷いた。
「あ、ありがとうございます。アレキサンドライト公……」
「どういたしまして。さあ、冷めないうちに料理を……ジョージはずいぶん気に入ってくれているみたいだな」
「ご馳走になってま~す」
オリビアがリアムの視線の先にいるジョージを見ると、彼はすでにひとりもぐもぐと料理を口に運んで葡萄酒が入ったグラスに手を伸ばしているところだった。
吹き出すように笑うリアムに恥ずかしくなったオリビアは顔を真っ赤にしてジョージを叱りつける。
「ちょっとジョージ! 今は遠慮する空気でしょう。恥ずかしいじゃない」
「ははは。やはり君たちを見ているのは面白いな」
「いつでも混ざっていただいて構いませんからね、アレキサンドライト公」
「こら、ク……ジョージ! オリビア様に恥をかかせるな!」
この日、食堂からはしばらく賑やかな話し声や笑い声が響いた。
>>続く
馬車に乗り、リアムが待つアレキサンドライト家のタウンハウスに向かう。門をくぐり大きな屋敷のドアをノックすると、開いたドアから出迎えたのは執事ではなくリアム本人だった。
「オリビア嬢、来てくれてありがとう」
「こちらこそお時間をいただきありがとうございます」
「会いたかったよ。さあ、昼食の支度ができている。みんなで一緒に食べよう」
「はい……」
オリビアはさらりと飛び出したリアムの言葉に不意をつかれ顔が火照ってしまい、俯きながら彼の後ろをついて歩いた。自分の後ろを歩いているリタとジョージの表情も想像できるので振り向くこともできない。
「それではみんな、元気そうでよかった。遠慮せず好きなだけ食べてくれ」
「いただきます」
「ご馳走になりま~す」
食堂に着くとすでに豪華なランチの準備が済んでいた。リアムがオリビア一行を全員ゲストとして扱い、同じテーブルに向かうことになった。
ジョージはまるで飲食店の給仕のようなセリフを吐き気負ってはいないようだが、リタは申し訳なさそうに肩を縮めている。オリビアはそんな彼女を笑顔で激励する。
「リタ、今日はあなたもお客様よ。堂々としましょう」
「はい、オリビア様。あの、アレキサンドライト公」
「どうしたリタ?」
リタがリアムの方を向き、意を決したように一度小さく頷いてから彼を見据えていた。
「先日はご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。私のようなものに貴重な魔法を使っていただきましたこと、感謝申し上げます」
リアムがその場でしっかりと首を垂れるリタに優しい笑顔を向けている。もしも彼女があまりにも自分を卑下し、リアムを困らせるような事態になったら間に入ろう。そう思っていたオリビアは静かに微笑み、この場を見守ることにした。
「リタ、頭を上げなさい」
「はい、アレキサンドライト公」
「君は大勢の人間から見れば、ただの伯爵家の侍女だ。けれど、オリビア嬢やジョージにとっては違う。家族同然の大切な人間だ。恋人の家族を助けるのは当たり前だよ。迷惑なんかじゃない」
「そんな、めっそうもございません」
恐縮し再び頭を下げたリタに、リアムが優しい声色で語りかける。
「リタ、こういうときは一言『ありがとう』でいいんだ」
リタが顔を上げ不安げにこちらを見たので、オリビアは微笑みを絶やさず頷いた。
「あ、ありがとうございます。アレキサンドライト公……」
「どういたしまして。さあ、冷めないうちに料理を……ジョージはずいぶん気に入ってくれているみたいだな」
「ご馳走になってま~す」
オリビアがリアムの視線の先にいるジョージを見ると、彼はすでにひとりもぐもぐと料理を口に運んで葡萄酒が入ったグラスに手を伸ばしているところだった。
吹き出すように笑うリアムに恥ずかしくなったオリビアは顔を真っ赤にしてジョージを叱りつける。
「ちょっとジョージ! 今は遠慮する空気でしょう。恥ずかしいじゃない」
「ははは。やはり君たちを見ているのは面白いな」
「いつでも混ざっていただいて構いませんからね、アレキサンドライト公」
「こら、ク……ジョージ! オリビア様に恥をかかせるな!」
この日、食堂からはしばらく賑やかな話し声や笑い声が響いた。
>>続く
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