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第六章 事件発生

156、チーム・オリビアの休日1

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 翌日、いつもよりゆっくり目が覚めたオリビアは、すでに身支度を済ませベッドの傍で挨拶するリタに視線を向けた。

「オリビア様、おはようございます」

「リタ、あなたもう平気なの?」

「はい。昨日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。先ほど控え棟にも行って挨拶してまいりました。本日よりまたいつも通り勤めさせていただきます」

 きっちりとメイド服に身を包んだリタが深々と礼をする姿を見て、オリビアは口を窄めて鼻から息を吐く。不満を表現してみたつもりだ。

「もう、今日くらい休んだらいいのに~」

「お嬢様、言ってもムダっすよ。ちなみに俺はお言葉に甘えてゆっくりさせてもらいま~す」

「ジョージ! まあ、しょうがないわね。あなたも昨日はがんばったし、いいわよ」

「あざっす~」

 室内のソファには昨夜からジョージが寝転がっており、オリビアに向かってひらひらと手を振っていた。主人への対応としてはいかがなものかと思ったが、オリビアは容認することにした。
 しかし、リタは違ったようでドスドスとわざと大きな足音を立ててジョージの前に立つ。

「おい、クソジョージ。お前いつまで居座る気だ、ここはオリビア様の部屋だぞ?」

「え~、だって学校休んじゃったから外では遊べないじゃん。だったらお嬢様の部屋でハピ天したり動画でもってね~」

「ジョージ! お前は本当に最低なやつだな! タブレットはお前の暇つぶしの道具ではないぞ!」

「リタ、そんなに怒らないで」

 オリビアは今にもジョージに殴りかかりそうだったリタを静止した。どうやら彼女はいつも以上に元気なうようだ。こちらを振り向き、眉を寄せている。

「ですがオリビア様……」

「まあいいじゃない。それにジョージはリタを見つけて帰ってきてくれたのよ。今日はみんなでゆっくり過ごしましょう」

「……わかりました。おい、ジョージ」

「なんだよ」

 リタが息を吐きジョージを見下ろすと照れくさそうに口籠ったのち、しっかりと頭を下げた。

「その、昨日はありがとう」

「え、あ……」

 彼女の予想外の状況にジョージがぽかんと目と口を開けてなんとも言えない間抜けな返事をした。そのうちにリタがくるりと身をひるがえし出入り口に向かう。

「それでは、朝食の支度をしてまいります。失礼いたします」

 リタが駆け足で部屋を出ていった。
 その様子を見てオリビアは口元を緩ませた。

「珍しい。ジョージ、あなたもずいぶん驚いたみたいね」

「そ、そりゃそうでしょ」

「ふふふ。いいものを見たわ」

 オリビアはジョージと顔を見合わせて笑い、平和な朝を満喫した。

>>続く
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