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第五章 交差する陰謀
133、緊急帰省、クリスタル家にて2
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「ちょっと待ってな……お、お嬢様!」
「こんにちは、モアメッド」
カウンターの奥の机に向かって作業していた茶髪の男性が、オリビアの声に反応し入り口に顔を向けた。そして声の主を見て明るい緑色の瞳を輝かせたのち、目尻をとろりと下げて口元を緩ませている。
この工房の主、モアメッドだ。
彼はオリビアより十歳年上で以前はクリスタル家の職人の見習いをしていた。今は街で話題の美青年アクセサリー職人だ。
「手紙を見てくれたんですね?」
「ええ、それでいても立ってもいられなくて、来ちゃったの」
「早く見て欲しかったから嬉しいなあ~。すぐに用意しますね!」
「ありがとう」
モアメッドはカウンター奥の階段を駆け上がると、すぐに戻ってきた。その手には小さな箱を持っている。彼はカウンターに箱を乗せ、開封してオリビアに中身を見せた。
「お待たせいたしました。いかがでしょう?」
「……素晴らしい出来だわ。ありがとう、モアメッド」
オリビアは箱の中身を見て満足し微笑んだ。あわせてモアメッドも白い歯を見せ目を細めた。
「やった! ご満足いただけて嬉しいです。またぜひご利用くださいね!」
「そうね。早速なのだけれど、この材料でこういったデザインのものは作れるかしら?」
「ちょっと見せてくださいね……」
モアメッドに金属と石、そして一枚の絵を渡すオリビア。彼は受け取り、材料と絵を見比べて力強く頷いた。
「はい。材料も十分ですし作れますよ! 素敵なデザインですね、王都のデザイナーかなんかに頼んだのですか?」
「ありがとう。私が描いたのよ」
「なんと! そういえばお嬢様、絵はお上手でしたもんね」
オリビアは絵を褒められ上機嫌になったが、「絵は」という言葉に何やら含みを感じモアメッドを追求しようか考えた。が、自分が虚しくなるだけだと考えるだけに留まった。
「どうも。ちなみに、二ヶ月以内に完成させたいのだけれどできるかしら?」
「はい! 材料も揃っていますし、三週間もあれば完成するかと思います」
「助かるわ。完成したら屋敷のセオ宛に連絡をしてちょうだい」
「かしこまりました!」
オリビアはモアメッドに見送られながら店を出て、セオたちと屋敷への帰路についた。
>>続く
「こんにちは、モアメッド」
カウンターの奥の机に向かって作業していた茶髪の男性が、オリビアの声に反応し入り口に顔を向けた。そして声の主を見て明るい緑色の瞳を輝かせたのち、目尻をとろりと下げて口元を緩ませている。
この工房の主、モアメッドだ。
彼はオリビアより十歳年上で以前はクリスタル家の職人の見習いをしていた。今は街で話題の美青年アクセサリー職人だ。
「手紙を見てくれたんですね?」
「ええ、それでいても立ってもいられなくて、来ちゃったの」
「早く見て欲しかったから嬉しいなあ~。すぐに用意しますね!」
「ありがとう」
モアメッドはカウンター奥の階段を駆け上がると、すぐに戻ってきた。その手には小さな箱を持っている。彼はカウンターに箱を乗せ、開封してオリビアに中身を見せた。
「お待たせいたしました。いかがでしょう?」
「……素晴らしい出来だわ。ありがとう、モアメッド」
オリビアは箱の中身を見て満足し微笑んだ。あわせてモアメッドも白い歯を見せ目を細めた。
「やった! ご満足いただけて嬉しいです。またぜひご利用くださいね!」
「そうね。早速なのだけれど、この材料でこういったデザインのものは作れるかしら?」
「ちょっと見せてくださいね……」
モアメッドに金属と石、そして一枚の絵を渡すオリビア。彼は受け取り、材料と絵を見比べて力強く頷いた。
「はい。材料も十分ですし作れますよ! 素敵なデザインですね、王都のデザイナーかなんかに頼んだのですか?」
「ありがとう。私が描いたのよ」
「なんと! そういえばお嬢様、絵はお上手でしたもんね」
オリビアは絵を褒められ上機嫌になったが、「絵は」という言葉に何やら含みを感じモアメッドを追求しようか考えた。が、自分が虚しくなるだけだと考えるだけに留まった。
「どうも。ちなみに、二ヶ月以内に完成させたいのだけれどできるかしら?」
「はい! 材料も揃っていますし、三週間もあれば完成するかと思います」
「助かるわ。完成したら屋敷のセオ宛に連絡をしてちょうだい」
「かしこまりました!」
オリビアはモアメッドに見送られながら店を出て、セオたちと屋敷への帰路についた。
>>続く
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