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第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム
118、恋人はマッチョ騎士(後編)1
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夕方、陽は傾き空は茜色に染まっていた。
オリビアはデートの最後、夕食とリタとの待ち合わせも兼ねてリアムをエルの店に案内することにした。
先日、店主のエルに自分がリアムやレオンと繋がりのある人間ということは知られているため、込み入った話もしやすいはずだ。
「それでは、夕食は私の行きつけのお店にご案内いたしますわ。ちなみに、店で私のことはリビーと呼んでください。一応お忍びということで……」
「君の行きつけならきっと素敵なところなんだろうな。楽しみだよ、リビー」
「ふふっ。一番の常連はリタなのですが……。さあ、こちらです」
オリビアはまた繁華街を目指してリアムと腕を組み歩いた。奥に進んでいくにつれ立ち並んでいた店の数が減り、脇にある小道は薄暗い。リアムの腕がピクリと動いた。彼は治安の悪さに若干警戒してるようだった。
「ずいぶん奥まで来るんだな……。君はいつもこの道を歩いて通っているのか?」
「徒歩ですが、リタとジョージが必ずついています。心配しないでください」
数分歩いていると、エルの店の看板に明かりが灯っているのが見えた。オリビアは指をさして組んだ腕を引っ張り、歩くスピードを早めた。
「あそこです! あの看板がついているところ!」
「わかったわかった。急ぐと危ないよ」
「すみません、つい……」
「とっても可愛らしいけど、怪我はさせたくないからね」
リアムが眉を下げ苦笑している。オリビアは彼の口から自然に飛び出した「可愛らしい」という言葉に照れ、すぐに店の入り口の方に視線を移した。
そして、店の前についたオリビアは、リアムを引き連れて店の中に入った。
「いらっしゃいませ、あ、リビー様! リタさん、リビー様がきましたよ!」
「こんばんは、エル」
「お好きな席へどうぞ!」
見目麗しくどこか儚げなマスターエルに迎えられ、オリビアは奥のテーブル席を選んでリアムを案内した。
「いらっしゃいませ! リビー様、もしかしてこの方が……」
「そう、リアム・アレキサンドライト卿。私の恋人よ」
「うわあ、どうりでリビー様がご機嫌だと思いました。初めまして、僕はエル。この店の店主をしております。以後お見知り置きを」
「リアムだ。よろしく。いつもリビーが世話になっているようだな」
「いえいえ! 僕の方がいつも贔屓にしてもらって助かっています。あ、夕食をここでと聞いておりますがいかがいたしましょうか?」
「そうね、先ほどデザートをいただいてきたから、まずは飲み物を……」
「かしこまりました。リタさんがおいしいと言ってくれたハーブティーなんていかがでしょう?」
「いいわね。リアム様はいかがいたしますか?」
「私も同じものを頼む」
「はい! かしこまりました!」
エルは勢いよく頭を振って頷くと、カウンターの奥へ消えて行った。入れ違いでカウンター席に座っていたリタがやってくる。オリビアたちの席につくと体をしっかり折って挨拶をした。
「アレキサンドライト公、本日はリビー様の護衛も兼ねていただきありがとうございます。おかげでジョージも私もゆっくり休むことができました。リビー様も学校お疲れ様でした」
「リタ、私こそ彼女と二人きりになれて楽しい時間を過ごせた。私を信じて大事な主人を預けてくれたこと、礼を言うよ」
「もったいないお言葉でございます」
「あなたは楽しい一日だったのかしら? リタさん」
「っ……リビー様! からかわないでください!」
>>続く
オリビアはデートの最後、夕食とリタとの待ち合わせも兼ねてリアムをエルの店に案内することにした。
先日、店主のエルに自分がリアムやレオンと繋がりのある人間ということは知られているため、込み入った話もしやすいはずだ。
「それでは、夕食は私の行きつけのお店にご案内いたしますわ。ちなみに、店で私のことはリビーと呼んでください。一応お忍びということで……」
「君の行きつけならきっと素敵なところなんだろうな。楽しみだよ、リビー」
「ふふっ。一番の常連はリタなのですが……。さあ、こちらです」
オリビアはまた繁華街を目指してリアムと腕を組み歩いた。奥に進んでいくにつれ立ち並んでいた店の数が減り、脇にある小道は薄暗い。リアムの腕がピクリと動いた。彼は治安の悪さに若干警戒してるようだった。
「ずいぶん奥まで来るんだな……。君はいつもこの道を歩いて通っているのか?」
「徒歩ですが、リタとジョージが必ずついています。心配しないでください」
数分歩いていると、エルの店の看板に明かりが灯っているのが見えた。オリビアは指をさして組んだ腕を引っ張り、歩くスピードを早めた。
「あそこです! あの看板がついているところ!」
「わかったわかった。急ぐと危ないよ」
「すみません、つい……」
「とっても可愛らしいけど、怪我はさせたくないからね」
リアムが眉を下げ苦笑している。オリビアは彼の口から自然に飛び出した「可愛らしい」という言葉に照れ、すぐに店の入り口の方に視線を移した。
そして、店の前についたオリビアは、リアムを引き連れて店の中に入った。
「いらっしゃいませ、あ、リビー様! リタさん、リビー様がきましたよ!」
「こんばんは、エル」
「お好きな席へどうぞ!」
見目麗しくどこか儚げなマスターエルに迎えられ、オリビアは奥のテーブル席を選んでリアムを案内した。
「いらっしゃいませ! リビー様、もしかしてこの方が……」
「そう、リアム・アレキサンドライト卿。私の恋人よ」
「うわあ、どうりでリビー様がご機嫌だと思いました。初めまして、僕はエル。この店の店主をしております。以後お見知り置きを」
「リアムだ。よろしく。いつもリビーが世話になっているようだな」
「いえいえ! 僕の方がいつも贔屓にしてもらって助かっています。あ、夕食をここでと聞いておりますがいかがいたしましょうか?」
「そうね、先ほどデザートをいただいてきたから、まずは飲み物を……」
「かしこまりました。リタさんがおいしいと言ってくれたハーブティーなんていかがでしょう?」
「いいわね。リアム様はいかがいたしますか?」
「私も同じものを頼む」
「はい! かしこまりました!」
エルは勢いよく頭を振って頷くと、カウンターの奥へ消えて行った。入れ違いでカウンター席に座っていたリタがやってくる。オリビアたちの席につくと体をしっかり折って挨拶をした。
「アレキサンドライト公、本日はリビー様の護衛も兼ねていただきありがとうございます。おかげでジョージも私もゆっくり休むことができました。リビー様も学校お疲れ様でした」
「リタ、私こそ彼女と二人きりになれて楽しい時間を過ごせた。私を信じて大事な主人を預けてくれたこと、礼を言うよ」
「もったいないお言葉でございます」
「あなたは楽しい一日だったのかしら? リタさん」
「っ……リビー様! からかわないでください!」
>>続く
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