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第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム
112、恋人はマッチョ騎士(前編)3
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「それじゃあジョージ、明日学校でね」
「はい。失礼いたします」
ジョージはオリビアとリアムに一礼して繁華街の方へと吸い込まれていった。その後ろ姿を見送りながら、オリビアは横目でちらりとリアムに視線を移した。
制服姿を見るのは初めてだ。濃い緑色のジャケットに白いシャツと赤いタイ。ボタンや刺繍、肩の飾りは金色。胸元に階級を示す金のバッジをつけ、腰には黒いベルトを巻き、家紋の入った剣を帯刀している。ズボンはジャケットと同じ濃い緑色だ。
体型が分かりにくい厚手の服装にも関わらず、太い首と繋がっている広い肩幅や、オリビアの足よりは確実に太い二の腕、ウエストより太いであろう脚は生地が少し張っていて、筋肉の輪郭を覗かせている。
これらを一瞬で脳内処理した変態令嬢は、心の中で「素敵」と呟いた。
もちろん隣に立つリアムがそれに気づいている気配はない。
「オリビア嬢、私たちも行こうか」
「は、はい!」
優しく声をかけながら微笑むリアムに、オリビアは急いで煩悩をかき消し笑顔を返した。
「今日は授業もあったし疲れているだろう? まずは甘いものを食べに行こうと思うんだが……」
「はい、ぜひ!」
「よし、じゃあこっちだ」
リアムに案内され、並んで先ほどジョージが消えていった繁華街方面へ歩き出す。まだ夕食どきには早い時間なせいか、人通りはまばらで歩きやすい。
長身のリアムがオリビアの歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれているのもその理由の一つだろう。
そんなことを考えていたら、なんだかふわふわと足元が軽くなったように感じた。
「着いた。ここだよ」
「ニュアージュ? なんだか可愛らしいお店ですわね」
繁華街と呼ばれる区域に入ってすぐのところに店はあった。白い壁に水色の窓枠やドアが清潔かつ鮮やかだ。オリビアはドアを開けてくれたリアムに軽く礼をして店内に進んだ。
「いらっしゃいませ。リアム様、ご無沙汰しております。どうぞこちらへ」
男性店員がリアムを見て深々と礼をした。どうやら顔見知りのようだ。店員は貴族家の執事のような格好をして、艶やかな黒髪を上げ、後ろに流していた。知的な顔立ちに眼鏡がよく似合っている。
彼とリアムの後をついていきながら、どこかで見たことがある気がする……と、オリビアは首を軽く捻った。
「お嬢様、どうぞお座りください」
「ありがとう」
店員が店内を見渡しつつ落ち着ける、入り口からほど遠い席へ案内し、まずはオリビアの椅子を引いた。席についてからもオリビアは彼を凝視している。まだ誰なのかが思い出せない。
「いい席だな、ありがとう」
「どうやらリアム様は特別な方をお連れしているようでしたので……」
「ああ。彼女はオリビア・クリスタル。私の恋人だ」
「そうでしたか。それはおめでとうございます」
>>続く
「はい。失礼いたします」
ジョージはオリビアとリアムに一礼して繁華街の方へと吸い込まれていった。その後ろ姿を見送りながら、オリビアは横目でちらりとリアムに視線を移した。
制服姿を見るのは初めてだ。濃い緑色のジャケットに白いシャツと赤いタイ。ボタンや刺繍、肩の飾りは金色。胸元に階級を示す金のバッジをつけ、腰には黒いベルトを巻き、家紋の入った剣を帯刀している。ズボンはジャケットと同じ濃い緑色だ。
体型が分かりにくい厚手の服装にも関わらず、太い首と繋がっている広い肩幅や、オリビアの足よりは確実に太い二の腕、ウエストより太いであろう脚は生地が少し張っていて、筋肉の輪郭を覗かせている。
これらを一瞬で脳内処理した変態令嬢は、心の中で「素敵」と呟いた。
もちろん隣に立つリアムがそれに気づいている気配はない。
「オリビア嬢、私たちも行こうか」
「は、はい!」
優しく声をかけながら微笑むリアムに、オリビアは急いで煩悩をかき消し笑顔を返した。
「今日は授業もあったし疲れているだろう? まずは甘いものを食べに行こうと思うんだが……」
「はい、ぜひ!」
「よし、じゃあこっちだ」
リアムに案内され、並んで先ほどジョージが消えていった繁華街方面へ歩き出す。まだ夕食どきには早い時間なせいか、人通りはまばらで歩きやすい。
長身のリアムがオリビアの歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれているのもその理由の一つだろう。
そんなことを考えていたら、なんだかふわふわと足元が軽くなったように感じた。
「着いた。ここだよ」
「ニュアージュ? なんだか可愛らしいお店ですわね」
繁華街と呼ばれる区域に入ってすぐのところに店はあった。白い壁に水色の窓枠やドアが清潔かつ鮮やかだ。オリビアはドアを開けてくれたリアムに軽く礼をして店内に進んだ。
「いらっしゃいませ。リアム様、ご無沙汰しております。どうぞこちらへ」
男性店員がリアムを見て深々と礼をした。どうやら顔見知りのようだ。店員は貴族家の執事のような格好をして、艶やかな黒髪を上げ、後ろに流していた。知的な顔立ちに眼鏡がよく似合っている。
彼とリアムの後をついていきながら、どこかで見たことがある気がする……と、オリビアは首を軽く捻った。
「お嬢様、どうぞお座りください」
「ありがとう」
店員が店内を見渡しつつ落ち着ける、入り口からほど遠い席へ案内し、まずはオリビアの椅子を引いた。席についてからもオリビアは彼を凝視している。まだ誰なのかが思い出せない。
「いい席だな、ありがとう」
「どうやらリアム様は特別な方をお連れしているようでしたので……」
「ああ。彼女はオリビア・クリスタル。私の恋人だ」
「そうでしたか。それはおめでとうございます」
>>続く
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