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第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム

98、オリビア、怒りの咆哮(前編)3

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 そして休み明け、オリビアは週末が来るのを楽しみに毎日機嫌よく過ごした。

 時折からんでくるレオンのことも気にならなかったし、体術の講師でマッチョなシルベスタの授業も涎を垂らすことなく平和に終わることができた。

 オリビアの頭の中は、週末のデートのことでいっぱいだった。

「オリビア嬢、なんだか今週は機嫌がいいね?」

「ええ、まあ。来週にはレオン殿下にもご報告できるかと思いますわ」

「ふうん。楽しみにしているよ」

 オリビアはただただ週末が楽しみで仕方なかった。ふわふわと足元が軽く、周りの雑音なんか気にならない。自分と会話をするレオンの不敵な笑みさえも全く気にならない、気づかない。

「いよいよ明日ですね、オリビア様」

「ええ、いよいよ明日ね。そうだ、いただいた指輪はつけて行ったほうがいいのかしら?」

「そうですね。きっとリアム様はお喜びになりますよ」

「そうかしら? ああ、楽しみで仕方がないわ」

 週末休み初日の夜、リアムとのデートを翌日に控え心を躍らせていたオリビア。リタにいつもより念入りな髪の手入れをしてもらい明日に備えた。

 翌日、ついにリアムとのデートの日がやってきた。
 オリビアは朝から上機嫌でリタに髪を結ってもらい、前日から選んでいた服を纏って最後にリアムからもらったアレキサンドライトの指輪をつけた。
 部屋の姿見に向かい全身を確認し、最後ににっこりと微笑んでから部屋を後にする。

「オリビア様、もうすぐですね」

「そうね、もうすぐリアム様が迎えに来るわ」

「あのー俺、昨日もデートで眠いんで寮に戻って寝てたいんすけど」

 学院の入り口前でオリビアはリタと並んでリアムが迎えに来るのを待っていた。そして、さらに隣には休日だからといってだらしない身なりの護衛が立っている。

「ジョージ! あなた休みだからってその格好はないでしょう? リアム様に失礼よ」

「じゃあ今のうちに寮に……」

 あくびをしているジョージをオリビアが嗜めると、彼は回れ右をして寮に戻ろうと一歩踏み出した。
 引き止めるためオリビアも振り返ろうとしたその時、こちらへ向かう馬車の姿が見えた。
 その馬車を見て、オリビアは急いでジョージの服の裾を引っ張る。

「待って! ジョージ!」

「なんすかもう……。こんなだらしない姿、アレキサンドライト公に見せられないでしょうが」

「違うの、待ってジョージ」

「何が違うんですか……!」

「オリビア様……」

 近づいてくるにつれ、馬車が先週自分を迎えにきたアレキサンドライト家のものではないと気づく。
 ジョージとリタもそれに気づいた様子で、怪訝な表情を浮かべ馬車に注目している。
 そして、オリビアの目の前に馬車は停まった。それは故郷で見覚えのある、馴染みの馬車だった。

「オリビア! リタ、ジョージも久しぶりだな!」

 馬車のドアが開くのと同時に、明るい声が自分の名を呼んだ。思いがけない人物との再会に、オリビアは驚き、まばたきを繰り返した。

>>続く
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