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第三章 アレキサンドライト領にて
77、感動の再会2
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セオとのあいさつが一段落すると、入り口に立っていたアンドレが礼をして静かに部屋を去った。
「それでは皆様、私は一旦失礼いたします。また後ほど呼びに参ります」
その後、室内に控えていたリタは近くにあったティーセットでお茶の準備を始める。
「昼食までまだ時間が空いておりますね。ただいま、お茶の準備をいたします」
「ありがとうリタ。あ、四人分用意してちょうだい。みんなで少し休みましょう。リアム様、よろしいでしょうか?」
リタに指示すると、オリビアがすぐにリアムに上目遣いでお伺いを立てた。
もちろん彼女は心優しい彼が快諾するのはわかっていて聞いているはずだ。
可愛らしい想い人のお願いに頬を染めるリアムを見て、リタは他のみんなには気づかれないようにそっと笑みを浮かべた。
「ああ、もちろんだ。セオ、こっちに来て座るといい。リタも準備ができたら休んでくれ」
「ありがとうございます、リアム様! さあセオ、こちらへ」
リアムが笑顔で頷いたので、リタの主人はソファに座ってからセオを向かいのソファへ招き寄せた。
貴族の中には従者と一緒にくつろぐなどもってのほかという者も少なくない。
しかし、リアムは身分の差別をせず人と接する人間だった。自分の側近は家族同然のオリビアにとっては、彼の分け隔てない性格はとても好ましいものだろう。
彼女の笑顔がそれを物語っている。
「それではお言葉に甘えて、失礼いたします」
「では私も。オリビア嬢、隣に座っても?」
セオが促されるままにオリビアの向かいのソファにゆっくりと腰掛けた。そしてリアムがオリビアの隣をしっかりと確保する。
「も、もちろんかまいませんわ! どうぞ!」
自宅だからか積極的な主人の婚約者と、まだそれに慣れない彼女を見て、リタは微笑ましく思った。
三人が座って一息ついたところでお茶が入ったので、リタは四人分のティーセットをトレイに乗せソファの前のテーブルまで運ぶ。そしてリアムから順にそれを配った。
「お待たせいたしました」
「ありがとう、リタ」
「では、私はこちらに失礼いたします」
リタは全員分のお茶を配り終え一礼し、自分もソファに座った。以前の自分では主人と同じテーブルにつくなど、領地の視察のとき以外は恐れ多くてできなかっただろう。
ましてや主人の婚約者で身分の高い人間がいたらなおさらだ。申し訳なくて恐縮してしまっていただろう。
こうして自然に彼らの厚意を受け止めることができるのは、数日前の休日にエルと話したからだった。彼の「自分を卑下することは、自分を大切に思ってくれている人間のことも卑下するのと同じこと」という言葉があったからだ。
彼の言葉を思い出し、リタはお茶を一口飲んでわずかに口角を上げた。カップをソーサーの上に下ろすと、リアムがお茶を飲んで一番に口を開いた。
「セオ、退団の書類が届いていたから、てっきり実家に戻ったものだと思っていたよ」
「はい。私もそのつもりだったのですが……。オリビア様、これまでのことを隊長にお話ししてもよろしいでしょうか?」
リアムの疑問に答えるべく、セオがオリビアを伺った。
リタ自身をはじめ、オリビアの従者たちは経営についてや主人の魔法など、許可なく他人に話してはいけない決まりだからだ。
「もちろん、かまわないわ」
「ありがとうございます」
>>続く
「それでは皆様、私は一旦失礼いたします。また後ほど呼びに参ります」
その後、室内に控えていたリタは近くにあったティーセットでお茶の準備を始める。
「昼食までまだ時間が空いておりますね。ただいま、お茶の準備をいたします」
「ありがとうリタ。あ、四人分用意してちょうだい。みんなで少し休みましょう。リアム様、よろしいでしょうか?」
リタに指示すると、オリビアがすぐにリアムに上目遣いでお伺いを立てた。
もちろん彼女は心優しい彼が快諾するのはわかっていて聞いているはずだ。
可愛らしい想い人のお願いに頬を染めるリアムを見て、リタは他のみんなには気づかれないようにそっと笑みを浮かべた。
「ああ、もちろんだ。セオ、こっちに来て座るといい。リタも準備ができたら休んでくれ」
「ありがとうございます、リアム様! さあセオ、こちらへ」
リアムが笑顔で頷いたので、リタの主人はソファに座ってからセオを向かいのソファへ招き寄せた。
貴族の中には従者と一緒にくつろぐなどもってのほかという者も少なくない。
しかし、リアムは身分の差別をせず人と接する人間だった。自分の側近は家族同然のオリビアにとっては、彼の分け隔てない性格はとても好ましいものだろう。
彼女の笑顔がそれを物語っている。
「それではお言葉に甘えて、失礼いたします」
「では私も。オリビア嬢、隣に座っても?」
セオが促されるままにオリビアの向かいのソファにゆっくりと腰掛けた。そしてリアムがオリビアの隣をしっかりと確保する。
「も、もちろんかまいませんわ! どうぞ!」
自宅だからか積極的な主人の婚約者と、まだそれに慣れない彼女を見て、リタは微笑ましく思った。
三人が座って一息ついたところでお茶が入ったので、リタは四人分のティーセットをトレイに乗せソファの前のテーブルまで運ぶ。そしてリアムから順にそれを配った。
「お待たせいたしました」
「ありがとう、リタ」
「では、私はこちらに失礼いたします」
リタは全員分のお茶を配り終え一礼し、自分もソファに座った。以前の自分では主人と同じテーブルにつくなど、領地の視察のとき以外は恐れ多くてできなかっただろう。
ましてや主人の婚約者で身分の高い人間がいたらなおさらだ。申し訳なくて恐縮してしまっていただろう。
こうして自然に彼らの厚意を受け止めることができるのは、数日前の休日にエルと話したからだった。彼の「自分を卑下することは、自分を大切に思ってくれている人間のことも卑下するのと同じこと」という言葉があったからだ。
彼の言葉を思い出し、リタはお茶を一口飲んでわずかに口角を上げた。カップをソーサーの上に下ろすと、リアムがお茶を飲んで一番に口を開いた。
「セオ、退団の書類が届いていたから、てっきり実家に戻ったものだと思っていたよ」
「はい。私もそのつもりだったのですが……。オリビア様、これまでのことを隊長にお話ししてもよろしいでしょうか?」
リアムの疑問に答えるべく、セオがオリビアを伺った。
リタ自身をはじめ、オリビアの従者たちは経営についてや主人の魔法など、許可なく他人に話してはいけない決まりだからだ。
「もちろん、かまわないわ」
「ありがとうございます」
>>続く
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