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第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
70、オリビアのランウェイ無双2
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「ふふふ……始まるわよ。今日待ちに待ったお買い物ランウェイの日! エントリーは済んでいるから、あとはチェックしておいた商品を買うだけ……。ふっ……ふふふ。プロテインが過去最安値……購入!」
オリビアは目にも止まらぬ速さで画面上に指を滑らせ、次から次へと商品を見たり、購入手続きをしている。
終始怪しい笑みを浮かべており、タブレットの青白い光が顔に当たって不気味さを演出していた。
「オリビア様、すごい気迫……」
「相変わらず不気味でやばい顔……」
背後からリタとジョージのげんなりとした声が聞こえたが、オリビアは気にせず買い物を続けた。
この『ハピ天お買い物ランウェイ』は定期的に異世界で行われている安売りイベントだが、自身の予定などで毎回の参加は難しかった。そのため参加できた時のオリビアは、興奮状態のまま無心に買い物を続ける。ひと段落するまで他者の声に応えることもない。
一心不乱に指を動かし買い物続け、やっとひと段落したオリビア。息を吐いて椅子の背もたれに体重を預け、両手をグッと上に伸ばした。
「仕入れ終わったわ~。今回もお得にいろいろ手に入ったわ」
「お疲れ様です、オリビア様」
「お疲れっす」
小さく頭を下げ労ってくれる部下たちに、オリビアは優しく笑いかけた。そして、ジョージにタブレットを渡す。
「私はもういいから、あとはおふたりでどうぞ。ジョージ、リタの分も操作してあげてね」
「了解っす」
「ありがとうございます」
オリビアは小部屋から出てソファでお茶を飲みながらくつろいだ。小部屋の方に視線を移すと、いつもは口喧嘩ばかりのジョージとリタが和やかな雰囲気でタブレットを眺めていた。
(実は気が合うのよね……あのふたり)
ジョージとリタが買い物を終え小部屋から出てきた。オリビアは入れ違いに小部屋に戻り、後始末をしてから姿見を元に戻し小部屋の入り口を閉じた。
「はあ、スッキリした! これで明日の訪問に集中できるわ」
「それはよかったです、オリビア様」
「俺も、今回はいい買い物ができたなあ」
リタとジョージの満足そうな笑みを見て、オリビアは頷いて微笑んだ。
「今回は本当にお得だったわ! 次回も楽しみ」
「はい。これで次回もランクはダイヤモンド……王族でもないのにダイヤモンドを名乗れるとは、何だか不思議ですね」
リタがうっとりとした表情で斜め上に視線を移している。ハピ天市場では買い物の量に合わせてランク付されるのだ。その最高位がダイヤモンドだった。
「いや、国が違うんだから価値も変わるだろうが。お前本当に脳筋……痛っ!」
ジョージが薄ら笑いでリタをからかい、腹で彼女の鉄拳を受けていた。
体がくの字に曲がる光景はお馴染みで、オリビアは生ぬるい目でその様子を眺めていた。
「リタ、もう少し手加減してね。ジョージ……あなたもいいかげんに学習したほうがいいわ。それともリタに蹴られるのが癖になっているのかしら?」
「お、お嬢様……。俺はどっちかって言うと虐めたい側です」
ジョージの言葉に、オリビアの顔から表情が消える。リタも生ゴミを見るような目つきでジョージを見ていた。
「ジョージ、もう用事は終わったし帰っていいわ。ていうか、今すぐ帰って」
ジョージはゆっくりと曲がった体を起こし、トボトボと窓から部屋を出ていった。
>>続く
オリビアは目にも止まらぬ速さで画面上に指を滑らせ、次から次へと商品を見たり、購入手続きをしている。
終始怪しい笑みを浮かべており、タブレットの青白い光が顔に当たって不気味さを演出していた。
「オリビア様、すごい気迫……」
「相変わらず不気味でやばい顔……」
背後からリタとジョージのげんなりとした声が聞こえたが、オリビアは気にせず買い物を続けた。
この『ハピ天お買い物ランウェイ』は定期的に異世界で行われている安売りイベントだが、自身の予定などで毎回の参加は難しかった。そのため参加できた時のオリビアは、興奮状態のまま無心に買い物を続ける。ひと段落するまで他者の声に応えることもない。
一心不乱に指を動かし買い物続け、やっとひと段落したオリビア。息を吐いて椅子の背もたれに体重を預け、両手をグッと上に伸ばした。
「仕入れ終わったわ~。今回もお得にいろいろ手に入ったわ」
「お疲れ様です、オリビア様」
「お疲れっす」
小さく頭を下げ労ってくれる部下たちに、オリビアは優しく笑いかけた。そして、ジョージにタブレットを渡す。
「私はもういいから、あとはおふたりでどうぞ。ジョージ、リタの分も操作してあげてね」
「了解っす」
「ありがとうございます」
オリビアは小部屋から出てソファでお茶を飲みながらくつろいだ。小部屋の方に視線を移すと、いつもは口喧嘩ばかりのジョージとリタが和やかな雰囲気でタブレットを眺めていた。
(実は気が合うのよね……あのふたり)
ジョージとリタが買い物を終え小部屋から出てきた。オリビアは入れ違いに小部屋に戻り、後始末をしてから姿見を元に戻し小部屋の入り口を閉じた。
「はあ、スッキリした! これで明日の訪問に集中できるわ」
「それはよかったです、オリビア様」
「俺も、今回はいい買い物ができたなあ」
リタとジョージの満足そうな笑みを見て、オリビアは頷いて微笑んだ。
「今回は本当にお得だったわ! 次回も楽しみ」
「はい。これで次回もランクはダイヤモンド……王族でもないのにダイヤモンドを名乗れるとは、何だか不思議ですね」
リタがうっとりとした表情で斜め上に視線を移している。ハピ天市場では買い物の量に合わせてランク付されるのだ。その最高位がダイヤモンドだった。
「いや、国が違うんだから価値も変わるだろうが。お前本当に脳筋……痛っ!」
ジョージが薄ら笑いでリタをからかい、腹で彼女の鉄拳を受けていた。
体がくの字に曲がる光景はお馴染みで、オリビアは生ぬるい目でその様子を眺めていた。
「リタ、もう少し手加減してね。ジョージ……あなたもいいかげんに学習したほうがいいわ。それともリタに蹴られるのが癖になっているのかしら?」
「お、お嬢様……。俺はどっちかって言うと虐めたい側です」
ジョージの言葉に、オリビアの顔から表情が消える。リタも生ゴミを見るような目つきでジョージを見ていた。
「ジョージ、もう用事は終わったし帰っていいわ。ていうか、今すぐ帰って」
ジョージはゆっくりと曲がった体を起こし、トボトボと窓から部屋を出ていった。
>>続く
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