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第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
51、オリビアVSレオン1
しおりを挟む「レオン殿下は物知りなのですね。生憎ですが私、ステファニー様については名前しか知らないのです。私が生まれた時にはもういらっしゃらなかったですし、王家との関係なんて外に嫁ぐ予定の娘には聞かせてはもらえませんわ」
オリビアはレオンに余裕のある笑みを返し彼の問いかけにノーと答えた。
ここで動揺してはいけない。
ジュエリトスでは家督を継げるのは男性のみで、娘たちは外に嫁ぐのが基本だ。この答えは辻褄が合っている。
先ほどまで妖艶な笑みを浮かべるレオン。オリビアがなるべく動揺するような言葉を選んでいるように話していた彼は、諦めた様子で眉を下げ微笑んだ。
「……そう。そうだよね。こんなの王家の人間か関わり合いのあった家の当主しか知り得ないことだ。ごめんねオリビア嬢、変なことを言って」
「いいえ。お気になさらないでください」
やっと諦めたかと安堵し、オリビアはレオンに対し社交辞令の通常運転を再開した。彼もいつもの様子に戻り、今度は爽やかな王子様スマイルを浮かべている。
「じゃあこの話は一旦おしまい。実は君にお願いがあったんだけど聞いてくれるかな?」
「内容によります」
「そうだよね。君のその慎重なところは好感が持てるよオリビア嬢。お願いというのはね……」
オリビアは息を呑んだ。先ほどの話や自分の魔法についての質問など、かなり突っ込んだ話ばかりなので「お願い」とは一体何なのかが気になった。レオンはオリビアに王子様スマイルを向けたまま話を続ける。
「オリビア嬢にこの古代魔法研究クラブに入ってほしいんだ。もちろんヘマタイト君にも」
全く予想していなかった「お願い」に対し、オリビアは目を丸め眉を上げ「え!」と間の抜けた返事をしてしまう。急いで気を取り直し表情を元に戻した。彼と関わるのは危険と判断したため、丁重にお断りしなければいけない。
「レオン殿下、せっかくのお誘いですが私、事業の進行等もありますのでどのクラブにも所属するつもりはないのです。申し訳ございません」
オリビアはしっかりと頭を下げ、はっきりと断りの言葉を告げた。
クラブ活動は必須ではないため、加入しない生徒もわずかではあるが存在する。事業をしているオリビアもそのうちの一人となるつもりだった。
「ああ、そうだよね。君が忙しいのはわかっているよ。だから名前だけ貸してほしいんだ」
「名前を……ですか?」
>>続く
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