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第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
49、古代魔術研究クラブ2
しおりを挟む一通り校舎の施設を見て回ったあと、一同はクラブ棟の前に集合していた。それは校舎よりはもちろん規模は小さいが、個人の屋敷にしては大きな四角い建物だった。
「では、これからクラブ棟の見学をします。上級生が各教室に待機していますので、先ほど作ったグループで自由に回ってください。終業のベルが鳴ったら教室に戻るように」
担任のジョンは生徒たちをクラブ棟の中へ誘導し、自分は校舎へと戻っていった。ここからはほぼ自由時間だ。
クラスメイトたちは各々「さ、行きましょう」や「楽しみね」と自分達でグループを組んだメンバーと笑顔を見せながら各教室へ向かっていた。彼らの足取りは軽そうだった。きっとこれからの学院での生活が楽しみで仕方ないのだろう。オリビアは和気藹々としているクラスメイトたちが羨ましくなった。
「僕たちも行こうか」
楽しそうなクラスメイトたちの背中を下唇を噛み締めながら見送るオリビアに、レオンが王子様スマイルで声をかけた。「案内したいところがあるんだ」と三階建てのクラブ棟の最上階の一室へオリビアとジョージを誘導する。
そこには通りすがりに見た教室とは全く違う、紫に塗られところどころに金色の装飾が施されていて、重厚感のある両開きのドアが出迎えていた。
「ここは……?」
レオンが持っていた鍵で解錠し、ドアを開く。長期間使われていなかったのか、中は少し埃っぽく、オリビアは口に手を当て顔を外側に背けた。
「すまないね。しばらく使っていなかったから。オリバー、ハリー」
「「はい」」
レオンが護衛たちに声をかけると、二人はすぐに窓を開け空気の入れ替えをしながら魔法を使って掃除を始めた。みるみるうちに室内は見違えるように空気が澄み、床や調度品に輝きが戻る。
改めて見ると室内は昼休みに招待された食堂の王族専用エリアに匹敵する豪華さだ。
「レオン殿下、お待たせいたしました」
護衛のオリバーとハリーが掃除を終え入り口で待っていたレオンに頭を下げた。「ご苦労様」とレオンが彼らを労い、オリビアとジョージを室内へ通した。
「さあ、お待たせ。入って」
「失礼いたします」
「お邪魔しまーす」
室内に入ると前方に大きな窓があり、外の日差しが床や調度を照らしていた。教室の真ん中には大きな机と机があり、やはり装飾は豪華だった。その他には黒板や魔石などが用意されており、この部屋では何か魔法に関連することを行っていた形跡がある。
「これは……」
ふと、オリビアが窓に向かって左側にある床を見ると、そこには本来この国では見かけるはずのない文字と幾何学的な絵のようなものが書いてあった。
なぜこの文字がジュエリトス王国に存在しているのか。オリビアはその場で唇に指を当て思案する。
「気になる?」
レオンがオリビアの顔を覗き込んだ。彼は何か知ってるような顔をしているが、ここで自分までそれにつられてはいけないと、動揺し崩れかけていた表情を持ち直した。
「ええ、見たことのない文字だと思いまして……。一体これは何ですの?」
「……引っ掛からなかったか。これはね、古代魔法で使う魔法陣さ」
>>続く
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