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第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
47、絢爛豪華なランチタイム2
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マイラが首を傾げ、ソフィーは質問に同意をしているらしく激しく首を縦に振っていた。オリビアは負けじと首を横に振り二人からの恐ろしい問いかけに全力で否定した。
「とんでもない! 婚約なんてしていません!」
途端にソフィーの首の動きがぴたりと止まり、振り乱れていた赤みがかかった茶髪も重力に従い彼女の肩についた。マイラは首を傾げたまま「まあ」と言ってかから首を元の位置に戻し、頭を下げた。
「失礼いたしました。昨日のパーティーですっかりその噂が持ちきりとなっておりましたのでつい……」
「ええ、あまりに息ぴったりのダンスだったので、日頃からお二人はお会いしてダンスをするような仲だと思っておりました」
ソフィーもマイラに合わせて頭を下げている。
「二人とも、顔を上げて。僕たちは気にしないから」
「「殿下……」」
二人はレオンの言葉で顔を上げ、うっとりとした表情で彼を見つめた。オリビアは「僕たち」という言葉に思わず眉をひそめてしまう。
(なんなの、さっきからこのバカ王子……。嫌がらせかしら)
「オリビア嬢、何か不満なことでもあったかい?」
オリビアの考えを見透かすかのように、レオンの視線が刺さる。
「いいえ! ただ、レオン殿下との事実無根の噂が広まってしまっていることを申し訳なく思いまして」
「気にすることないのに。君たち、この通りオリビア嬢は真面目なんだ。噂話はほどほどにしてあげてね。話したのもダンスをしたのも昨日が初めてさ」
レオンはマイラとソフィーに微笑みかけた後、オリビアに「ね」と言って王子様スマイルを炸裂した。
オリビアは改めて作り笑いで「ええ」と応戦する。
すると、彼は少し細めていた目を開き、さらに口角を上げて毒のある笑顔をオリビアにだけ向けた。
「これからのことはわからないけどね。数ある噂のうち、どれかは本当になるかもしれない……なんてね」
マイラとソフィーが「キャア」と揃ってレオンの言葉に今後の展開をおそらく自分達の都合のいいように予想し歓喜している。オリビアは不快感を伴う寒気が止まらなかった。
「僕たち王族や貴族は、何かが決まれば公に発表することになっている。だからそれまでは噂として話半分でいてくれるかな? 僕のことに限らず、どんな話でも……ね」
>>続く
「とんでもない! 婚約なんてしていません!」
途端にソフィーの首の動きがぴたりと止まり、振り乱れていた赤みがかかった茶髪も重力に従い彼女の肩についた。マイラは首を傾げたまま「まあ」と言ってかから首を元の位置に戻し、頭を下げた。
「失礼いたしました。昨日のパーティーですっかりその噂が持ちきりとなっておりましたのでつい……」
「ええ、あまりに息ぴったりのダンスだったので、日頃からお二人はお会いしてダンスをするような仲だと思っておりました」
ソフィーもマイラに合わせて頭を下げている。
「二人とも、顔を上げて。僕たちは気にしないから」
「「殿下……」」
二人はレオンの言葉で顔を上げ、うっとりとした表情で彼を見つめた。オリビアは「僕たち」という言葉に思わず眉をひそめてしまう。
(なんなの、さっきからこのバカ王子……。嫌がらせかしら)
「オリビア嬢、何か不満なことでもあったかい?」
オリビアの考えを見透かすかのように、レオンの視線が刺さる。
「いいえ! ただ、レオン殿下との事実無根の噂が広まってしまっていることを申し訳なく思いまして」
「気にすることないのに。君たち、この通りオリビア嬢は真面目なんだ。噂話はほどほどにしてあげてね。話したのもダンスをしたのも昨日が初めてさ」
レオンはマイラとソフィーに微笑みかけた後、オリビアに「ね」と言って王子様スマイルを炸裂した。
オリビアは改めて作り笑いで「ええ」と応戦する。
すると、彼は少し細めていた目を開き、さらに口角を上げて毒のある笑顔をオリビアにだけ向けた。
「これからのことはわからないけどね。数ある噂のうち、どれかは本当になるかもしれない……なんてね」
マイラとソフィーが「キャア」と揃ってレオンの言葉に今後の展開をおそらく自分達の都合のいいように予想し歓喜している。オリビアは不快感を伴う寒気が止まらなかった。
「僕たち王族や貴族は、何かが決まれば公に発表することになっている。だからそれまでは噂として話半分でいてくれるかな? 僕のことに限らず、どんな話でも……ね」
>>続く
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