45 / 230
第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
46、絢爛豪華なランチタイム1
しおりを挟む
(何この状況……)
オリビアは目の前に広がる光景を前に心の中で呟いた。
レオンに連れてこられ辿り着いたのは学院内の食堂……の中の一角だった。
ただでさえ貴族向けのこの学院は一般生徒用のエリアも充分豪華だが、案内された一角はそれ以上に絢爛豪華で、オリビアは行ったことはないがまるで王宮のようではないかと着席するのを尻込みしたくらいだ。
しかし、遠慮のない護衛が女子たちを引き連れさっさと席についたので、自分も仕方なく席についた。
「いやあ、ここめっちゃ豪華っすね!」
「そう? 王族専用エリアなんだ。今年は僕しか使わないから、こうして君たちと賑やかに過ごしたいなと思ってね」
エリア内をキョロキョロと見回すジョージと女子たちに、レオンが爽やかに微笑みオリビアの隣の席に座った。
オリビアはほんの少し、ごくごくわずかに体をレオンのいない方へ逸らした。本当なら席を立ち、一般エリアへ駆け込みたい気持ちだった。
「オリビア嬢、緊張しているみたいだね? ここは気に入らなかった?」
ほんの数ミリの動きを察知したのか、レオンの口調には何か含みがありそうだった。オリビアは慌てて社交辞令の笑顔を貼り付け「いいえ」と答えた。
「そう、よかった。ここの調度は全て王宮と同じものを使っているんだ。気にってもらえて嬉しいよ」
「まあ、王宮と同じものを? なんだかここで過ごすのが恐れ多くなってしまいましたわ」
オリビアは明日以降は誘わないでくれという意味を言葉に込めた。しかし、レオンは微笑むだけで返事をしなかった。
そして、彼はジョージの両隣の女子に声をかけた。
「君たちも気に入ってくれたかな?」
「「は、はい!」」
女子たちは頬を赤らめ声を揃えた。それを見たレオンは満足そうに目を細め、今度はジョージに話しかける。
「気に入ってもらえてよかった。ヘマタイト君、初日に誘うということは、彼女たちは君のお気に入りかな?」
ジョージは「はい」と答え、左右を向いて女子たちに目配せをした。
「彼女はマイラ・ハウライト伯爵家令嬢、んで彼女がソフィー・トルマリン男爵家令嬢。昨日パーティーで知り合ったばかりですがお二人とも可愛らしくて優しい素敵な女性ですよ」
紹介された二人は、レオンとオリビアに一礼して改めて自己紹介を始めた。
「マイラ・ハウライトと申します。殿下、クリスタル様、どうぞよろしくお願いいたします」
「ソフィー・トルマリンと申します。殿下、クリスタル様、男爵家の身分でありながらこのような場にご招待いただき、感謝いたします。どうぞよろしくお願いいたします」
「マイラ嬢、ソフィー嬢、僕たちは同じクラスの仲間だ。そんなにかしこまらずに気軽にしてくれてかまわないよ」
自己紹介をしたマイラとソフィーがレオンの気さくな対応に嬉々としている間、オリビアは笑顔を貼り付け頷きながら、考え込んでいた。
(最近、貿易商として名を上げているトルマリン男爵家と、貴族院で王都の店の出店許可などの権限を持っているハウライト伯爵家の令嬢……。やるじゃない、ジョージ)
王都での商売をするにあたり、縁があると都合のいい家の令嬢。二人を連れてきた部下を心の中で褒めた。だがオリビアは彼女たちのある態度が気になり眉尻がピクリと引きつった。
(……待てよ。今、私、レオン殿下と連名で挨拶されてない? まずいんじゃない?)
明らかに誤解されていることを悟り、オリビアは慌てて彼女たちの誤解を解くべく挨拶する。
「マイラ様、ソフィー様、私は辺境の伯爵家の者です。殿下と連名なんて恐れ多いですわ。どうか私のことは気軽にオリビアと呼んでくださいませ」
オリビアが深々と礼をしてから顔を上げると、マイラとソフィーは揃って目を丸くして驚いているような表情を、オリビアと隣にいるレオンに向けていた。
「え? お二人は婚約されているのではないのですか?」
オリビアは目の前に広がる光景を前に心の中で呟いた。
レオンに連れてこられ辿り着いたのは学院内の食堂……の中の一角だった。
ただでさえ貴族向けのこの学院は一般生徒用のエリアも充分豪華だが、案内された一角はそれ以上に絢爛豪華で、オリビアは行ったことはないがまるで王宮のようではないかと着席するのを尻込みしたくらいだ。
しかし、遠慮のない護衛が女子たちを引き連れさっさと席についたので、自分も仕方なく席についた。
「いやあ、ここめっちゃ豪華っすね!」
「そう? 王族専用エリアなんだ。今年は僕しか使わないから、こうして君たちと賑やかに過ごしたいなと思ってね」
エリア内をキョロキョロと見回すジョージと女子たちに、レオンが爽やかに微笑みオリビアの隣の席に座った。
オリビアはほんの少し、ごくごくわずかに体をレオンのいない方へ逸らした。本当なら席を立ち、一般エリアへ駆け込みたい気持ちだった。
「オリビア嬢、緊張しているみたいだね? ここは気に入らなかった?」
ほんの数ミリの動きを察知したのか、レオンの口調には何か含みがありそうだった。オリビアは慌てて社交辞令の笑顔を貼り付け「いいえ」と答えた。
「そう、よかった。ここの調度は全て王宮と同じものを使っているんだ。気にってもらえて嬉しいよ」
「まあ、王宮と同じものを? なんだかここで過ごすのが恐れ多くなってしまいましたわ」
オリビアは明日以降は誘わないでくれという意味を言葉に込めた。しかし、レオンは微笑むだけで返事をしなかった。
そして、彼はジョージの両隣の女子に声をかけた。
「君たちも気に入ってくれたかな?」
「「は、はい!」」
女子たちは頬を赤らめ声を揃えた。それを見たレオンは満足そうに目を細め、今度はジョージに話しかける。
「気に入ってもらえてよかった。ヘマタイト君、初日に誘うということは、彼女たちは君のお気に入りかな?」
ジョージは「はい」と答え、左右を向いて女子たちに目配せをした。
「彼女はマイラ・ハウライト伯爵家令嬢、んで彼女がソフィー・トルマリン男爵家令嬢。昨日パーティーで知り合ったばかりですがお二人とも可愛らしくて優しい素敵な女性ですよ」
紹介された二人は、レオンとオリビアに一礼して改めて自己紹介を始めた。
「マイラ・ハウライトと申します。殿下、クリスタル様、どうぞよろしくお願いいたします」
「ソフィー・トルマリンと申します。殿下、クリスタル様、男爵家の身分でありながらこのような場にご招待いただき、感謝いたします。どうぞよろしくお願いいたします」
「マイラ嬢、ソフィー嬢、僕たちは同じクラスの仲間だ。そんなにかしこまらずに気軽にしてくれてかまわないよ」
自己紹介をしたマイラとソフィーがレオンの気さくな対応に嬉々としている間、オリビアは笑顔を貼り付け頷きながら、考え込んでいた。
(最近、貿易商として名を上げているトルマリン男爵家と、貴族院で王都の店の出店許可などの権限を持っているハウライト伯爵家の令嬢……。やるじゃない、ジョージ)
王都での商売をするにあたり、縁があると都合のいい家の令嬢。二人を連れてきた部下を心の中で褒めた。だがオリビアは彼女たちのある態度が気になり眉尻がピクリと引きつった。
(……待てよ。今、私、レオン殿下と連名で挨拶されてない? まずいんじゃない?)
明らかに誤解されていることを悟り、オリビアは慌てて彼女たちの誤解を解くべく挨拶する。
「マイラ様、ソフィー様、私は辺境の伯爵家の者です。殿下と連名なんて恐れ多いですわ。どうか私のことは気軽にオリビアと呼んでくださいませ」
オリビアが深々と礼をしてから顔を上げると、マイラとソフィーは揃って目を丸くして驚いているような表情を、オリビアと隣にいるレオンに向けていた。
「え? お二人は婚約されているのではないのですか?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
65
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる