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第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
39、狡猾な王子と無骨な騎士3
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レオンの問いに、オリビアはリアムと顔を見合わせる。リアムが小さく頷き、オリビアも頷き返す。
「はい! オリビア嬢とは彼女の兄、エリオット・クリスタルと友人関係にあり、数年前に知り合いました」
「そう。あとは?」
「はい! 先日、我が部隊が襲撃された際に、彼女の領地で数日療養させて貰いました」
「うんうん。それだけ? 僕が彼女と仲良くなっても問題ないかな?」
首を傾げにっこりと微笑むレオン。突然の発言に、驚いたオリビアが思わず口を挟む。
「レオン殿下! それはどういうことでしょうか?」
「そのままの意味だよ。ほら僕、婚約者もいないし、君のような人なら楽しく過ごせるかもって思って。どうかな?」
「お、お待ちください! レオン殿下!」
「リアム? どうした?」
手の拳をさらに硬く握り締め、リアムが声を張る。一瞬、近くで休んでいた来賓たちの視線が集まり、彼は大きな体をできる限り小さく丸めた。眉を軽く上げ、驚いたような表情を見せるレオンの問いに、今度はできる限りの小声で話し始める。
「オリビア嬢は、私が婚約を申し込んでおりまして、良い返事もいただいております」
「え、そうなの? オリビア嬢」
「はい……。リアム様の仰る通りでございます」
「なので、後日陛下には書簡をお送りし受理されましたら、学院の長期休暇中に開かれる王宮の夜会でお披露目をさせていただく予定でございます」
オリビアはリアムと同じように頬を染め、緊張の面持ちでレオンを見つめていた。彼は肩をすくめ、僅かに眉を下げて寂しそうな笑顔を作る。
「なあんだ、残念。まあいいさ、それじゃあ同じクラスの友人として仲良くするならいいかな? 僕も経営に興味があるんだ。ぜひ話を聞きたくてね」
「それは是非! レオン殿下、どうかオリビア嬢をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、明日からよろしくね。オリビア嬢」
「はい! どうかよろしくお願いいたします。レオン殿下」
「それじゃあ、僕は少し挨拶回りに行ってくるよ。リアムはここで少し彼女の話し相手になってあげてね。命令だよ」
レオンは立ち上がると護衛を連れて二階席の反対側へ歩いていった。リアムも立って腰を直角に折り曲げる。
「かしこまりました! ありがとうございます!」
彼の姿が小さくなってから、リアムが大きく息を吐いた。相当緊張していたようで、額には汗が浮いている。
「お疲れ様です。リアム様」
「いや……ムキになって、恥ずかしいところを見せてしまったね」
「いいえ、婚約の件、お話ししていただいて助かりました」
「あのまま誤魔化すと、彼の場合は本当に君を婚約者にしかねないから、正直必死だったよ」
「殿下とは普段から交流があるのですか?」
「まあ、私の姉が彼の兄、アイザック殿下と婚約しているからね」
「なるほど……。あ、あの、髪飾り、ありがとうございました。すごく素敵で、気に入りましたわ」
オリビアは髪飾りの礼に軽く頭下げる。そういえば、場内ではリアムを探す余裕がないまま、レオンとのダンスが始まってしまっていた。
一体いつから自分の存在に気づいていたのだろう。
壁際で一人でいる貴族の娘としては恥ずかしいシーンも見られてしまっていたかが気になった。
「ああ、気に入ってもらえて良かった。そのドレスにも似合っているし、ダンス中も照明を反射して君がより美しく見えた」
>>続く
「はい! オリビア嬢とは彼女の兄、エリオット・クリスタルと友人関係にあり、数年前に知り合いました」
「そう。あとは?」
「はい! 先日、我が部隊が襲撃された際に、彼女の領地で数日療養させて貰いました」
「うんうん。それだけ? 僕が彼女と仲良くなっても問題ないかな?」
首を傾げにっこりと微笑むレオン。突然の発言に、驚いたオリビアが思わず口を挟む。
「レオン殿下! それはどういうことでしょうか?」
「そのままの意味だよ。ほら僕、婚約者もいないし、君のような人なら楽しく過ごせるかもって思って。どうかな?」
「お、お待ちください! レオン殿下!」
「リアム? どうした?」
手の拳をさらに硬く握り締め、リアムが声を張る。一瞬、近くで休んでいた来賓たちの視線が集まり、彼は大きな体をできる限り小さく丸めた。眉を軽く上げ、驚いたような表情を見せるレオンの問いに、今度はできる限りの小声で話し始める。
「オリビア嬢は、私が婚約を申し込んでおりまして、良い返事もいただいております」
「え、そうなの? オリビア嬢」
「はい……。リアム様の仰る通りでございます」
「なので、後日陛下には書簡をお送りし受理されましたら、学院の長期休暇中に開かれる王宮の夜会でお披露目をさせていただく予定でございます」
オリビアはリアムと同じように頬を染め、緊張の面持ちでレオンを見つめていた。彼は肩をすくめ、僅かに眉を下げて寂しそうな笑顔を作る。
「なあんだ、残念。まあいいさ、それじゃあ同じクラスの友人として仲良くするならいいかな? 僕も経営に興味があるんだ。ぜひ話を聞きたくてね」
「それは是非! レオン殿下、どうかオリビア嬢をよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、明日からよろしくね。オリビア嬢」
「はい! どうかよろしくお願いいたします。レオン殿下」
「それじゃあ、僕は少し挨拶回りに行ってくるよ。リアムはここで少し彼女の話し相手になってあげてね。命令だよ」
レオンは立ち上がると護衛を連れて二階席の反対側へ歩いていった。リアムも立って腰を直角に折り曲げる。
「かしこまりました! ありがとうございます!」
彼の姿が小さくなってから、リアムが大きく息を吐いた。相当緊張していたようで、額には汗が浮いている。
「お疲れ様です。リアム様」
「いや……ムキになって、恥ずかしいところを見せてしまったね」
「いいえ、婚約の件、お話ししていただいて助かりました」
「あのまま誤魔化すと、彼の場合は本当に君を婚約者にしかねないから、正直必死だったよ」
「殿下とは普段から交流があるのですか?」
「まあ、私の姉が彼の兄、アイザック殿下と婚約しているからね」
「なるほど……。あ、あの、髪飾り、ありがとうございました。すごく素敵で、気に入りましたわ」
オリビアは髪飾りの礼に軽く頭下げる。そういえば、場内ではリアムを探す余裕がないまま、レオンとのダンスが始まってしまっていた。
一体いつから自分の存在に気づいていたのだろう。
壁際で一人でいる貴族の娘としては恥ずかしいシーンも見られてしまっていたかが気になった。
「ああ、気に入ってもらえて良かった。そのドレスにも似合っているし、ダンス中も照明を反射して君がより美しく見えた」
>>続く
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