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第一章 クリスタル領で再会

14、チーム・オリビアの栄光2

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「まず、残念だけどさすがに騎士団への復帰は難しいわ。その上で日常生活なら問題ない程度に歩けるようになる治療法があるの」

「お嬢様! それは本当ですか!」

「本当よ。成功したらの話になってしまうけど。あと、成功しても歩けるようになるまで時間がかかるし、筋肉が落ちるから歩くための訓練が必要になるわ。それも負担がかからない程度からだから、きっともどかしい思いもするはず——」

 自分が想像していた内容とは真逆の話に、セオはすがるような目でオリビアを見つめる。

「どんな事でもします! また歩くことができるのなら、どんな事でもできます!」

「あなたの覚悟はわかったわ。私たちも精一杯やります」

 オリビアはセオにしっかりと目を合わせ、口角を上げて頷いた。

 数分後、バンっと大きな音を立て部屋のドアが開いた。

「オリビア! 俺を呼んだのか!」

 兄エリオットとトーマス医師が部屋に入ってくる。後ろには護衛たちや従者が続いた。

「お兄様、トーマス医師も! お待ちしていました」

「お嬢様、セオ様の容態については先ほどお話ししましたが、何かありましたでしょうか?」

 トーマス医師が不安げな表情でオリビアとセオの元へ歩み寄る。オリビアはわずかに笑みを浮かべ返事をした。

「いいえ。あなたの見立てに間違いはないわ。ただ、治療法を思いついたの! それで診ていただきたいところがあって……」

「なんと! それはどのような治療でしょうか?」

「順を追って説明するわ。まずトーマス医師にはセオの足に診断魔法をお願いしたいの」

「診断魔法ですか。承知いたしました」

 トーマス医師が頷き、セオの足にそっと手のひらを置き、目を閉じる。数秒経つと目を開け、手を離した。

「どお?」

「やはり、足の骨が折れ、周りが傷つき腫れている状態です」

「そうよね。ではその折れている骨の状況を実際の寸法で描くことはできる?」

「はい、それは可能ですが……」

 なぜ必要なのか? と言いたそうな表情をしつつ、トーマス医師は指示通り骨折した箇所を描いてみせた。骨が真っ二つに折れ、骨同士の位置がずれてしまっている。もう片方の足にも診断魔法をかけ、同様の絵が仕上がり、それをオリビアに差し出した。

「やっぱり! キレイに折れているわ!」

 オリビアがやや興奮気味で絵を見ている。先ほど、タブレットで見た治療例の絵に酷似していたからだった。
 その様子を不思議そうに見ているトーマス医師たちに、これからする治療について説明する。

「セオは現在両足の骨が折れてる。けれど、骨は放っておけばそのうちくっつくわよね」

「はい。しかしながら、セオ様の骨はずれており、このままくっついてもとても歩けるような状態にはなりません」

 トーマス医師の補足に、オリビアは頷く。

「そうね。でも、もしこのずれた骨の位置を戻すことができたら?」

 そう言ってオリビアは口角を上げた。

>>続く
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