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4月
3−1彼の日記3
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※※四月最後の平日、彼の日記より抜粋
彼女と言葉を交わした翌日、彼はアラームが鳴る前に起きてカーテンを開け、朝日を浴びていた。数年ぶりにこんなに清々しい朝を迎えた。
空はよく晴れており、いつもの彼なら眩しくて耐えられない程の日差しも、ずいぶんと心地が良かった。
そして、ほんの少し回想する。
以前ステージ上で浴びていた照明の光。あの場において彼は主役だった。
いつのまにか彼は人目を避け、脇役、いや小道具ほどの存在になりたいと思って過ごしていた。
背中を丸め、髪を伸ばし、眼鏡をかける。最近は自分の顔を鏡で見ることもなくなっていた。
しかし、今日は違う。
「っよし」
アラームが鳴り、現実へ戻った彼が、歯を磨き顔を洗い、身だしなみを整える。そして、鏡の向こうの自分と目を合わせた。
相変わらず背は丸く、前髪と眼鏡でよくわからないが、いつもより瞳に力がある気がする。
彼は主役として、彼の人生に帰ってきた。
彼女と言葉を交わした翌日、彼はアラームが鳴る前に起きてカーテンを開け、朝日を浴びていた。数年ぶりにこんなに清々しい朝を迎えた。
空はよく晴れており、いつもの彼なら眩しくて耐えられない程の日差しも、ずいぶんと心地が良かった。
そして、ほんの少し回想する。
以前ステージ上で浴びていた照明の光。あの場において彼は主役だった。
いつのまにか彼は人目を避け、脇役、いや小道具ほどの存在になりたいと思って過ごしていた。
背中を丸め、髪を伸ばし、眼鏡をかける。最近は自分の顔を鏡で見ることもなくなっていた。
しかし、今日は違う。
「っよし」
アラームが鳴り、現実へ戻った彼が、歯を磨き顔を洗い、身だしなみを整える。そして、鏡の向こうの自分と目を合わせた。
相変わらず背は丸く、前髪と眼鏡でよくわからないが、いつもより瞳に力がある気がする。
彼は主役として、彼の人生に帰ってきた。
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