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交わされる獣愛
1話
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今朝家を出る前、行ってらっしゃいのキスの時に気付いた。
玄関の段差のせいかな、なんて思ったけど改めて並んでも肩の位置に違和感。
「琥牙、なんか目線の位置が少し違う。 もしかして背が伸びた?」
「そうかな? 少し」
「ふうん……なんか、凄いね」
私も中学の時に16センチ位伸びたから、彼が数ヶ月で成長するのも有り得る事なのかも知れない。
マンションの扉を開けた途端、蝉が疎らに鳴く声が耳に入る。
朝の空気に頭をリセットさせるために大きく息を吸い込んでから、歩きはじめる。
駅に近付くにつれ人の波に紛れる。
琥牙のお父さんは大きな人狼だったという。
もう止まってる私と、まだ成長してる琥牙。
そんな事を思ったらなぜだか少し寂しいような不思議な気分になった。
元々都心の中でも中心部に職場があるので文句は言えない。
とはいえ、引越しで通勤経路が変わった新しい路線は、以前よりも電車が混んでいるのが難点だ。
出入口に潰されるように立っている私に、すみません、そう困ったみたいに私に密着していたサラリーマンの男性は謝って来たけど、どうしようも無いものね。
そう思い、良いですよ。 と応じたが腰の辺りには朝っぱらからしっかり反応した男性のソレが当たってた。
そんな事よりも私はその次の瞬間に琥牙の事を思い出して寒気がした。
シチュエーションはさておき彼にバレた時の事を想像して。
私の可愛い彼氏は恐ろしく鼻が利く上に大変なヤキモチ焼き。
帰ったら怒られてしまうかな、そう思うと朝から憂鬱である。
それとも毎朝一緒に会社に付いてくる様になるかも。
「……有り得る」
引越しをしたから高遠さんとはもう出会う事もないんだろう。
時々彼から入るメッセージは特にやましい内容じゃない。
けれど返事を返そうとして、躊躇う。
元々嘘をつくのは得意な方ではないから(というかぶっちゃけ面倒臭い)、揉め事があっても私は通り過ぎるまで黙ってるタイプで。
琥牙はそんな私とは真逆で、良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐに嫉妬や男女のもやもやをぶつける人間でもある。
私はそんな彼を嫌いではないのだけど、たまにもっと「上手く」やればいいのに。 なんて事も思う。
別に大人ぶりたい訳じゃない。
ただそう歳が変わらないといっても育ってきた環境が私と彼では違いすぎる。
美味しいものでも食べながら楽しい事を考えて、一晩すぎたらなんて事ない、そんな風に思える事は世の中にいっぱいある。
流れる車窓から緑の色や空が減り、その小さな枠に切り取られるのは無機質なオフィスビル群。
一晩すぎたらなんて事ない。
そう思わないとやっていけない事なんてウンザリするほどいっぱいあるのだ。
◆
その日仕事から帰ってから。
琥牙から軽く貰い風邪をひいてしまっている事に気付いた。
喉の痛みを感じて、最近お天気続きで今日は妙に埃っぽいなあとか思って、念の為熱を測ってみたら微熱だった。
気を付けていたつもりだったんだけど。
逆にすっかり回復した琥牙がそんな私を気にかけてくれる。
その日の夕食を以前私が作ってあげたみたいに消化の良いものに変えてくれた。
「ごめんね。 おれのせいで」
謝る事ない。
無いのだけれど、今のこの状況に限っては謝って貰うべきなのだろうか。
確かに最近はお預け過ぎた。
お預け、は厳密に言うと違うとはいえ、そもそも私たちはまだまともにしてない。
「ん、ダメ……だめ……」
「だって真弥、色っぽい。 そんな顔赤くして、目とか感じてるみたいにトロンてしてる」
それは風邪のせいなんだってば。
そう言うも、ベッドに手をついた私を後ろから抱きしめ、琥牙が首筋に舌を這わせてくる。
あとはこれのせいもあるかも知れない。
暑くって、シャワーのあとに開襟のシャツを一枚羽織っただけの私をみた途端に襲ってきた。
たくし上げられた衣服の中で裸の胸を包む彼の手を、今の私に抗う力は無い。
熱のせいなのか肌が過敏になり過ぎていて、触れられる箇所がピリピリと痛む。
「お願い……待っ、て」
若干朦朧とした頭で紡ぐ言葉は余りにも無力。
一方体力を完全に取り戻した琥牙はもう我慢が限界、といった様子だった。
それにしてもいつになく彼は強引で、私が戸惑いを隠せないのは確か。
それに気を取られて忘れていたけど、今朝の電車での事が頭にひらめいた。
「せめて、優し……く」
「無理だよ」
そう短くだけ答える彼はやはり気付いてたんだろう。
「琥牙、違うよ。 何も無い。 今朝は電車が混んでて……体がくっついてしまっただけで」
荒い息を吐きながら私の下着を乱暴に引き下ろす。
刹那の瞬間にまだ触れられてもないというのに、狙いを定められてる事が解った。
好きな人に犯されてしまうの?
「や……やだっ」
こんな風に、気持ちも体調も無視されて?
「んッ!!」
彼の先が押し付けられて、私のやわな粘膜がひきつってるのが分かる。
もちろんそこは濡れてなんかない。
「痛っ、や。 やあっ!」
「……真弥は分かってない」
腰を捻ってそこから逃げ出そうとする私の下半身に体重をかけてくる。
せめてもの抵抗で、私は下腹部に力を入れてその侵入を拒んだ。
玄関の段差のせいかな、なんて思ったけど改めて並んでも肩の位置に違和感。
「琥牙、なんか目線の位置が少し違う。 もしかして背が伸びた?」
「そうかな? 少し」
「ふうん……なんか、凄いね」
私も中学の時に16センチ位伸びたから、彼が数ヶ月で成長するのも有り得る事なのかも知れない。
マンションの扉を開けた途端、蝉が疎らに鳴く声が耳に入る。
朝の空気に頭をリセットさせるために大きく息を吸い込んでから、歩きはじめる。
駅に近付くにつれ人の波に紛れる。
琥牙のお父さんは大きな人狼だったという。
もう止まってる私と、まだ成長してる琥牙。
そんな事を思ったらなぜだか少し寂しいような不思議な気分になった。
元々都心の中でも中心部に職場があるので文句は言えない。
とはいえ、引越しで通勤経路が変わった新しい路線は、以前よりも電車が混んでいるのが難点だ。
出入口に潰されるように立っている私に、すみません、そう困ったみたいに私に密着していたサラリーマンの男性は謝って来たけど、どうしようも無いものね。
そう思い、良いですよ。 と応じたが腰の辺りには朝っぱらからしっかり反応した男性のソレが当たってた。
そんな事よりも私はその次の瞬間に琥牙の事を思い出して寒気がした。
シチュエーションはさておき彼にバレた時の事を想像して。
私の可愛い彼氏は恐ろしく鼻が利く上に大変なヤキモチ焼き。
帰ったら怒られてしまうかな、そう思うと朝から憂鬱である。
それとも毎朝一緒に会社に付いてくる様になるかも。
「……有り得る」
引越しをしたから高遠さんとはもう出会う事もないんだろう。
時々彼から入るメッセージは特にやましい内容じゃない。
けれど返事を返そうとして、躊躇う。
元々嘘をつくのは得意な方ではないから(というかぶっちゃけ面倒臭い)、揉め事があっても私は通り過ぎるまで黙ってるタイプで。
琥牙はそんな私とは真逆で、良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐに嫉妬や男女のもやもやをぶつける人間でもある。
私はそんな彼を嫌いではないのだけど、たまにもっと「上手く」やればいいのに。 なんて事も思う。
別に大人ぶりたい訳じゃない。
ただそう歳が変わらないといっても育ってきた環境が私と彼では違いすぎる。
美味しいものでも食べながら楽しい事を考えて、一晩すぎたらなんて事ない、そんな風に思える事は世の中にいっぱいある。
流れる車窓から緑の色や空が減り、その小さな枠に切り取られるのは無機質なオフィスビル群。
一晩すぎたらなんて事ない。
そう思わないとやっていけない事なんてウンザリするほどいっぱいあるのだ。
◆
その日仕事から帰ってから。
琥牙から軽く貰い風邪をひいてしまっている事に気付いた。
喉の痛みを感じて、最近お天気続きで今日は妙に埃っぽいなあとか思って、念の為熱を測ってみたら微熱だった。
気を付けていたつもりだったんだけど。
逆にすっかり回復した琥牙がそんな私を気にかけてくれる。
その日の夕食を以前私が作ってあげたみたいに消化の良いものに変えてくれた。
「ごめんね。 おれのせいで」
謝る事ない。
無いのだけれど、今のこの状況に限っては謝って貰うべきなのだろうか。
確かに最近はお預け過ぎた。
お預け、は厳密に言うと違うとはいえ、そもそも私たちはまだまともにしてない。
「ん、ダメ……だめ……」
「だって真弥、色っぽい。 そんな顔赤くして、目とか感じてるみたいにトロンてしてる」
それは風邪のせいなんだってば。
そう言うも、ベッドに手をついた私を後ろから抱きしめ、琥牙が首筋に舌を這わせてくる。
あとはこれのせいもあるかも知れない。
暑くって、シャワーのあとに開襟のシャツを一枚羽織っただけの私をみた途端に襲ってきた。
たくし上げられた衣服の中で裸の胸を包む彼の手を、今の私に抗う力は無い。
熱のせいなのか肌が過敏になり過ぎていて、触れられる箇所がピリピリと痛む。
「お願い……待っ、て」
若干朦朧とした頭で紡ぐ言葉は余りにも無力。
一方体力を完全に取り戻した琥牙はもう我慢が限界、といった様子だった。
それにしてもいつになく彼は強引で、私が戸惑いを隠せないのは確か。
それに気を取られて忘れていたけど、今朝の電車での事が頭にひらめいた。
「せめて、優し……く」
「無理だよ」
そう短くだけ答える彼はやはり気付いてたんだろう。
「琥牙、違うよ。 何も無い。 今朝は電車が混んでて……体がくっついてしまっただけで」
荒い息を吐きながら私の下着を乱暴に引き下ろす。
刹那の瞬間にまだ触れられてもないというのに、狙いを定められてる事が解った。
好きな人に犯されてしまうの?
「や……やだっ」
こんな風に、気持ちも体調も無視されて?
「んッ!!」
彼の先が押し付けられて、私のやわな粘膜がひきつってるのが分かる。
もちろんそこは濡れてなんかない。
「痛っ、や。 やあっ!」
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