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誰より優しく奪う
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「分かった。 ゆっくりするから安心して力を抜きなさい。 もっと濡れるといい」
恥ずかしい。
透子は改めて静を見上げた───それでも、この先にいくのは嫌じゃない。 改めて認めると素直に両脚から力が抜けていく。
それを認めた静は変わらず落ち着いた声で囁きを与え続けていた。
「俺の指が触れてるのはキミの入り口。 ここから溢れてきてる。 見ずとも密やかで薄い花びらが分かる……こうやって挟んで撫でられるのは気持ちいいだろう?」
「……気持ち…い…ぁ」
「ふ…素直でいい。 この辺り…」
「っ!」
「透子のクリトリスは小さいな。 今はここがキミの一番悦いところだ」
割れ目に浸された指先が上下を繰り返す。
そのたびに切なく、よりいっそう甘い喘ぎが漏れる。
「そ、そこ…ぁあ…ふ、う………あ」
タイミングと力加減がいいのだろうか。 緩く開いていた膝がふるふると揺れた。
蜜口で掬われた愛液が粘膜を濡らしながら花びらに沿って運ばれる。
「こうやってると硬く膨らむ。 もっと触れて欲しいからだ」
終点に近付くにつれその動きは緩慢になり、勃ちかけた突起を包皮越しに丁寧に撫であげた。
「ぁあ…っ」
透子の喉からは悦びをあらわす吐息が絞り出されていた。
滴っては解けていく。 溶けていく。
薄目を開けると静が時々目を逸らしながら食い入るように見詰めていた。
男性というものはこちらが気持ちいい時は苦しいものなのだろうか、ぼんやりと、そんなことを感じる。
「キミが戸惑っているのは何となく解る。 俺の母も早くからいない。 一番身近な営みに気付かずに育ったんだろう」
次々と与えられる変化についていくのが精一杯だった。
自分の体と心に侵食してくる、静の言葉と指先の動き。
「し…ずか…さ…あっ」
往復を繰り返していた蜜口に指先が潜り込み、進んできても痛みはなかった。
クルクルと膣腔に円を描き、指の腹が壁を優しく撫でては、また別の深さへとそれを繰り返す。
「あ…あ…」
秘部を晒し塗り広げ続けても、とめどなく愛液が溢れてくるのが自分でも分かる。
「はあっ……あっも、もう…ん」
腰が勝手に揺れる。 瞼から勝手に涙が滲む。
身体の細かな震えが止まらない。
そんな体の変化を自然に受け入れ始めた頃合いに、静が上体を起こした。
「やはり綺麗だ。 ふっくらとして受け入れる準備が出来てる。 自分の体が女になったのが分かるか?」
「うっ…あ!」
静がくんと指先の関節を曲げ、足の間の蜜口に顔を近付けてくる。
「だ、だめ…っ」
だが、真っ赤な顔をしてその部分を手で隠して……強ばりながら浅く早い呼吸を拾っている透子を一瞥し、静は蜜口からそっと指を抜いた。
「……この辺にしておこうか。 果てて乱れるキミも是非見てみたいが。 透子、そのまま目を閉じて」
「っん」
瞼につけられた静の唇に、透子がくすぐったそうな幼い表情を残して目を瞑る。
「おそらく父親のもあまり見たことがないキミには刺激が強いだろうと思ったんだが。 見たいなら一向に構わない」
と、薄目を開いていた透子の視界にズボンのジッパーに手をかけた静が見えたので、慌てて目に指先をあてた。
「当然きちんと避妊はする」
避妊。
そしてそう聞くと、途端に尻込みしそうになった───なぜなら今している行為の意味は結婚という手順を踏み子供を作るためではなく。
「あの」
「なんだ」
「す、するんですか?」
「は」
「お見合い相手としなきゃならないものなんですか?」
「……キミは今さらなにを言ってる?」
心から呆れたような静の声音に目元から手を外す。
透子の両脇に手をついた静が自分を見下ろしていた。
自分の脚を割って入る胴が、まさに今からそうするであろうことを示している。
静の胸から下を見る勇気はとてもなかった。
「だっ、て……静さん…は慣れてるんでしょう…けど」
そもそもなんで急にこんな事態に、などと経緯を反芻しようとすると、静が微大袈裟に首を横に振る。
「往生際が悪すぎるだろう……この状況と空気で」
「で、でもさっき…無理なら止めると」
「………」
「言いましたよね」
きまり悪そうに目を逸らしながら小さな声でボソボソ言う。
「……上の口も塞いでやろうか、この女」
「な、なんですか…っあ…あっや!」
静が片手で自身の昂りを握り蜜口にあてがった。
わざとグチグチ音が鳴るように表面の粘膜を掻き回し、互いの欲望を主張する。
その所業に透子の顔が真っ赤になり両手で顔を覆った。
「そ、そんなにカ、カタイの無理!」
「硬くなきゃ入らんだろう」
「だだだって私、凄くぬ、濡れてませんか!?」
「だから濡れてなきゃ入らんだろう……いや入らんことも……とにかく!」
一層ぐりぐり擦られる表面に、火照っていた体と顔がより熱くなり、チカチカッと眼前に火花が散る。
「ああ無理! そんっな…したら、ダメえ…っ」
「だからこの体で……俺をこんなにさせておいて、だ」
「ひああ、あっ!!」
ずぷんっと音でもしそうな勢いで太い先端が足の間を押し、反射的にシーツから背中を離れた。
「そのまま動くな。 辛い思いをしたくないなら……ったく。 まだ大丈夫だから、大きく息をしなさい」
得体の知れないものを迎え入れる、それをよく知りもしない他人に委ねる。 それを思うと目に新しく涙を溜めた透子が首を左右に振った。
「いっ…や…なんっ、なんで…」
「キミが鈍い…いや疎……違うな。 純粋なのは理解した。 理解しているその上で俺はこうしてる。 気の迷いならこんなに時間はかけないし、そもそも処女なんかめんど…ああ、いや。 俺は……俺を面と向かって叱る女性に初めて会った。 俺はキミをもっと知りたい。 そして出来れば堂々とそう出来る立場になりたい」
「だ、だからって」
「分かった。 今日、俺は自分の欲のためにはこれをしない」
「よ……欲……?」
静のその意味は分からなかった。
けれども静から時おり覗く真摯な内面。
今みたいに、真っ直ぐに見詰めてくる彼を今日、何度か見た。
そしてそんな異性に初めて出会った。
「俺の言いたいことは少しは伝わっているか?」
その返事の代わりに透子が目を潤ませ、すうっと息を吸い、深くそれを吐いた。
同時に上半身を倒した静がきつく抱き締めてくる。
「ッ…っ…ぁ…!!」
跳ねそうになる体を押さえ、ますます繋がってきたのが分かった。
直前でなにか悪いものに侵されそうな気がしていたのに、全く違う。
「透子。 大丈夫だから」
声をかけて髪を優しく撫でられ、強ばっていた体から力が抜ける。
痛むのか気持ちがいいのかは分からない。
ただ温かな体温に包まれ、それとは逆に、内部でゆったりとした律動を繰り返す静は焼けそうに熱かった。
「あっぁあ………あっや…あ」
目を開けても伏せてもぐらぐらと視界が揺れる。
琥珀の色を帯びた目を時折伏せ、静の唇は固く引き結ばれていた。
彫刻のような胸や肩の骨格や筋肉が僅かに形を変える。
「しっ…静さ……」
透子の目の前には圧倒的に綺麗なものしかなかった。
綺麗なものはいつも奪う権利を持っている。
景色や造形に見蕩れ、音楽に心を震わす。 それと同じく、五感を通して心が奪われるもの。
そんなものに抗えるとは思えなかった。
幾度か、頬から伝った涙がシーツを濡らした。
「ここにいる。 分かるだろう……」
「静…さ……ん」
まるで振り落とされそうに混沌とした感覚の中だった。 透子は必死に静の体にしがみつき、何度も彼の名前を呼び続けた。
恥ずかしい。
透子は改めて静を見上げた───それでも、この先にいくのは嫌じゃない。 改めて認めると素直に両脚から力が抜けていく。
それを認めた静は変わらず落ち着いた声で囁きを与え続けていた。
「俺の指が触れてるのはキミの入り口。 ここから溢れてきてる。 見ずとも密やかで薄い花びらが分かる……こうやって挟んで撫でられるのは気持ちいいだろう?」
「……気持ち…い…ぁ」
「ふ…素直でいい。 この辺り…」
「っ!」
「透子のクリトリスは小さいな。 今はここがキミの一番悦いところだ」
割れ目に浸された指先が上下を繰り返す。
そのたびに切なく、よりいっそう甘い喘ぎが漏れる。
「そ、そこ…ぁあ…ふ、う………あ」
タイミングと力加減がいいのだろうか。 緩く開いていた膝がふるふると揺れた。
蜜口で掬われた愛液が粘膜を濡らしながら花びらに沿って運ばれる。
「こうやってると硬く膨らむ。 もっと触れて欲しいからだ」
終点に近付くにつれその動きは緩慢になり、勃ちかけた突起を包皮越しに丁寧に撫であげた。
「ぁあ…っ」
透子の喉からは悦びをあらわす吐息が絞り出されていた。
滴っては解けていく。 溶けていく。
薄目を開けると静が時々目を逸らしながら食い入るように見詰めていた。
男性というものはこちらが気持ちいい時は苦しいものなのだろうか、ぼんやりと、そんなことを感じる。
「キミが戸惑っているのは何となく解る。 俺の母も早くからいない。 一番身近な営みに気付かずに育ったんだろう」
次々と与えられる変化についていくのが精一杯だった。
自分の体と心に侵食してくる、静の言葉と指先の動き。
「し…ずか…さ…あっ」
往復を繰り返していた蜜口に指先が潜り込み、進んできても痛みはなかった。
クルクルと膣腔に円を描き、指の腹が壁を優しく撫でては、また別の深さへとそれを繰り返す。
「あ…あ…」
秘部を晒し塗り広げ続けても、とめどなく愛液が溢れてくるのが自分でも分かる。
「はあっ……あっも、もう…ん」
腰が勝手に揺れる。 瞼から勝手に涙が滲む。
身体の細かな震えが止まらない。
そんな体の変化を自然に受け入れ始めた頃合いに、静が上体を起こした。
「やはり綺麗だ。 ふっくらとして受け入れる準備が出来てる。 自分の体が女になったのが分かるか?」
「うっ…あ!」
静がくんと指先の関節を曲げ、足の間の蜜口に顔を近付けてくる。
「だ、だめ…っ」
だが、真っ赤な顔をしてその部分を手で隠して……強ばりながら浅く早い呼吸を拾っている透子を一瞥し、静は蜜口からそっと指を抜いた。
「……この辺にしておこうか。 果てて乱れるキミも是非見てみたいが。 透子、そのまま目を閉じて」
「っん」
瞼につけられた静の唇に、透子がくすぐったそうな幼い表情を残して目を瞑る。
「おそらく父親のもあまり見たことがないキミには刺激が強いだろうと思ったんだが。 見たいなら一向に構わない」
と、薄目を開いていた透子の視界にズボンのジッパーに手をかけた静が見えたので、慌てて目に指先をあてた。
「当然きちんと避妊はする」
避妊。
そしてそう聞くと、途端に尻込みしそうになった───なぜなら今している行為の意味は結婚という手順を踏み子供を作るためではなく。
「あの」
「なんだ」
「す、するんですか?」
「は」
「お見合い相手としなきゃならないものなんですか?」
「……キミは今さらなにを言ってる?」
心から呆れたような静の声音に目元から手を外す。
透子の両脇に手をついた静が自分を見下ろしていた。
自分の脚を割って入る胴が、まさに今からそうするであろうことを示している。
静の胸から下を見る勇気はとてもなかった。
「だっ、て……静さん…は慣れてるんでしょう…けど」
そもそもなんで急にこんな事態に、などと経緯を反芻しようとすると、静が微大袈裟に首を横に振る。
「往生際が悪すぎるだろう……この状況と空気で」
「で、でもさっき…無理なら止めると」
「………」
「言いましたよね」
きまり悪そうに目を逸らしながら小さな声でボソボソ言う。
「……上の口も塞いでやろうか、この女」
「な、なんですか…っあ…あっや!」
静が片手で自身の昂りを握り蜜口にあてがった。
わざとグチグチ音が鳴るように表面の粘膜を掻き回し、互いの欲望を主張する。
その所業に透子の顔が真っ赤になり両手で顔を覆った。
「そ、そんなにカ、カタイの無理!」
「硬くなきゃ入らんだろう」
「だだだって私、凄くぬ、濡れてませんか!?」
「だから濡れてなきゃ入らんだろう……いや入らんことも……とにかく!」
一層ぐりぐり擦られる表面に、火照っていた体と顔がより熱くなり、チカチカッと眼前に火花が散る。
「ああ無理! そんっな…したら、ダメえ…っ」
「だからこの体で……俺をこんなにさせておいて、だ」
「ひああ、あっ!!」
ずぷんっと音でもしそうな勢いで太い先端が足の間を押し、反射的にシーツから背中を離れた。
「そのまま動くな。 辛い思いをしたくないなら……ったく。 まだ大丈夫だから、大きく息をしなさい」
得体の知れないものを迎え入れる、それをよく知りもしない他人に委ねる。 それを思うと目に新しく涙を溜めた透子が首を左右に振った。
「いっ…や…なんっ、なんで…」
「キミが鈍い…いや疎……違うな。 純粋なのは理解した。 理解しているその上で俺はこうしてる。 気の迷いならこんなに時間はかけないし、そもそも処女なんかめんど…ああ、いや。 俺は……俺を面と向かって叱る女性に初めて会った。 俺はキミをもっと知りたい。 そして出来れば堂々とそう出来る立場になりたい」
「だ、だからって」
「分かった。 今日、俺は自分の欲のためにはこれをしない」
「よ……欲……?」
静のその意味は分からなかった。
けれども静から時おり覗く真摯な内面。
今みたいに、真っ直ぐに見詰めてくる彼を今日、何度か見た。
そしてそんな異性に初めて出会った。
「俺の言いたいことは少しは伝わっているか?」
その返事の代わりに透子が目を潤ませ、すうっと息を吸い、深くそれを吐いた。
同時に上半身を倒した静がきつく抱き締めてくる。
「ッ…っ…ぁ…!!」
跳ねそうになる体を押さえ、ますます繋がってきたのが分かった。
直前でなにか悪いものに侵されそうな気がしていたのに、全く違う。
「透子。 大丈夫だから」
声をかけて髪を優しく撫でられ、強ばっていた体から力が抜ける。
痛むのか気持ちがいいのかは分からない。
ただ温かな体温に包まれ、それとは逆に、内部でゆったりとした律動を繰り返す静は焼けそうに熱かった。
「あっぁあ………あっや…あ」
目を開けても伏せてもぐらぐらと視界が揺れる。
琥珀の色を帯びた目を時折伏せ、静の唇は固く引き結ばれていた。
彫刻のような胸や肩の骨格や筋肉が僅かに形を変える。
「しっ…静さ……」
透子の目の前には圧倒的に綺麗なものしかなかった。
綺麗なものはいつも奪う権利を持っている。
景色や造形に見蕩れ、音楽に心を震わす。 それと同じく、五感を通して心が奪われるもの。
そんなものに抗えるとは思えなかった。
幾度か、頬から伝った涙がシーツを濡らした。
「ここにいる。 分かるだろう……」
「静…さ……ん」
まるで振り落とされそうに混沌とした感覚の中だった。 透子は必死に静の体にしがみつき、何度も彼の名前を呼び続けた。
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