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お見合いのち、災難
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トンネルを抜けるとそこは雪国だった。
昔の恋愛小説の冒頭を思い出す。
そして逆に、雪国から上京してきて間もない透子が今いるここはお見合いの場である。
……なぜこうなっているのか、透子は考えたくなかった。
同席している義母の話では、カフェではなくサロンというらしい。 チェーン店以外でお茶など飲んだことのない透子には、落ち着かない場所だ。
とにかく、ここはお茶や軽食を楽しむ目的である、東京は青山の洋館風の建物内。
透子の目の前に座っている男性が、おずおずといった様子で挨拶をしてきた。
「は、は、はじめ、まして。 ボクは八…神静と……いい、ます」
単語の間に不自然な区切りのある話し方だ。
透子はなんとはなしに男性を観察してみた。
張り出した耳に丸い鼻。 分厚い眼鏡のせいか細く小さな目。
頭が大きいのか肩幅が狭いのか、座っている彼のアンバランスな体型は極端な猫背のせいかもしれない。
彼の威厳や自信のなさげなその様子は、こういっては失礼だろうか。 少なくとも大企業を束ねるような、財閥の御曹司にはみえないと思う。
「ご丁寧に。 白井透子と申します」
「透子さん。 さすが名だたる家柄の方だけあって、噂どおりにとても素敵な方ですわね」
隣席から義母がいつもの余所行きの笑顔を向けてきて、透子も曖昧にそれに同意した。
「はい……お義母さん」
それにしても、向こうには付き添いの人は居ないのかな? 透子は不思議に思った。
自身の身分は別にしても、良いお家同士のお見合いの席にしては簡単なものだ───とはいえ、透子もこんな席は初めてのこと。
向かいの男性が時おり透子をちらっと見るので、その度に笑いかけようとした。 でもそうすると、すぐに目を逸らされてしまう。
彼はどことなく顔を赤らめていた。
『あたしは絶対イヤなんだからね! あんなブ男なんか!!』
『まあまあ…沙紀ちゃん。 だから透子さんを北陸の田舎から呼び出して養女にしたんだから』
義母の家で従姉とのこんな会話を耳に挟んだのは、つい二週間前のことだった。
両親を事故で亡くしてから、透子は叔母をはじめとした親戚たちと、ほぼ疎遠だった。
それが先々月の初めに突然、当時の叔母が、透子に養子縁組を申し込んできた。
『今後就職にしろ祝いごとにしろ、都会の方がいいでしょう? 親族が居ないのは不便でしょうし。姉さんが亡くなったばかりの時は……沙紀も難しい年ごろだったけど、今まで透子さんに何もしてあげられなかったのが申し訳なくて』
そんな風に優しく声をかけてもらえた肉親なんていなかった。
母の妹である叔母は母と容姿が似ていた。
熟考の末、透子は上京した。
14歳で他界した淡い母親の面影を追うように。
企業の社長宅なだけあり、都内でも立派な義母の家だ。
……しかし透子を迎えた一家の態度は変わらず冷たいものだった。
養子縁組をし、叔母の一人娘の咲希は透子の義姉となるのだろうが、やはり従姉としか思えない。
改めて目の前の華奢なティーカップを眺め、心の中でため息をつく。
それは結局……こういうこと。
いくら考えたくなくとも結論は変わらない。
つまり自分は三つ上の従姉妹の身代わりに過ぎなかった、と。
目の前の男性は義父の関連企業の息子らしい────義母は目の前のお見合い相手と、なんとしてでも親族の関係を持ちたい。
今まで見聞きした話から、それぐらいは透子にも理解できたものの。
今どき政略結婚なんて時代遅れな話だと思う。
透子は中流家庭で育ち、両親亡き後は父母の貯金や保険金で細々と暮らしてきた。
今いるこの場所さえも、どこか他人事みたいな心地なのが正直な気持ちだった。
「では私は少し外すわ。 若い人だけの方がいいわよね。 透子さん、帰りは連絡ちょうだいね。 お迎えに来るから」
バッグを手に持った義母が席を立つ。
テーブルを挟み、取り残された透子と見合い相手はしばらく無言でいた。
無理に表情を作りすぎたせいで顔の筋肉が痛かった。
ふと、ほんの少しだけ男性と目が合った。
すると透子と同じく、ぎこちなくではあるが、彼がはじめて笑いかけてくれた。
ああ、この人と私は似ているのかもしれない──不幸そうには見えない。
けれども、今をやり過ごすことに一等、時間を割いている。 それはつまり幸せじゃないということだ。
人付き合いの不得意そうな彼を眺め、なんとなく、透子はそんな風に思っていた。
◆
自宅へと向かうタクシーの中で義母が口にする。
「先方が立派で気が引けるだろうけど、お作法なんかは、のちのちね? 私もこれでやっと姉さんに恩返しが出来るわ」
「……ありがとうございます」
どうやらお相手を断るという選択肢は自分には無いらしい。
『恩返し』
義母からするとそうなのかもしれない。
裕福な家に嫁ぐ。 それは当然、幸福と同義であると義母は言いたいのだろう。
……お母さんとお父さんもそう思ってくれるんだろうか?
透子が物思いに耽っていた時。
車の横窓を、コツコツと指で打つ軽い音が聞こえた。
辺りを見回すと、透子達が乗っているタクシーは、二車線の信号機の手前で、ちょうど停車している状態だ。
(こんな道路の真ん中で……?)
透子と窓を隔て、車内を覗いているのは派手な金髪の男性のようだった。 それなのに落ち着いた雰囲気のスーツを身に着けているのが不自然にみえる。
彼に気付いたタクシーの運転手が話しかけてきた。
「ん、なんだ? お客さんのお知り合いですか」
「いえ、でも」
男性は透子の顔を見ながら、ガラス越しになにかを言っているようだった。 口がパクパクと忙しなく動いている。
「何かしら。 怖いわ、早く行ってちょうだい」
「でもお義母さん。 もしかしてなにか、事故でもあったのかも?」
透子が車のドアを細く開けた途端。 思いがけず、扉が勢いよく外側にぐいっと引っ張られた。
「え、きゃっ……!」
「白井透子だな?」
体が前のめりになり、ウエストを抱き止められた耳に男性の声が届く。
よく通る声。 咄嗟のことでその場の全員が固まっていた。
「透子さ」
「失礼、白井夫人。 無作法をお許しください。 八神様が先ほど話し足りないことがあると。 少々透子さんをお借りします」
「や、八神様が? えっ、あ、透子さん!?」
そのまま抱えられ、猫の子みたいに透子の体が高く宙に浮く。
屈んでいた際は中性的にみえたこの人は、かなり身長があるらしい。
次いで、隣に停車していた車内へと、ぽんと雑に放り込まれ、「っ??!?」なにか言うまでもなく───あっという間に透子はその場から連れ去られた。
(えええ……えっと。 ど、どうしよう??)
知らない車の中だ。 透子は身を固くして縮こまっていた。
密室の中で完全アウェイとは、思いのほか恐怖心が煽られる。
それでも最初の話の内容からは、どうやら彼は、お見合い相手である八神さんの知り合いらしい。 それなら少なくとも危険は無いと思いたい。
この車はなんというものだろう。 透子はダラダラと心の汗を流しながら周囲を分析しようとした。
映画で見たことがある。
内装が無駄に広い、おそらく外車───いわゆるリムジンとかいうやつ?
足を伸ばせそうな広いシートを覆うカバーは毛皮のごとく感触。
後部座席に掛けているのは先ほどの男性のみだった。
そして前方は仕切りになっていて見えない。
彼が透子の左隣から声をかけてきた。
「手荒な真似をした。済まない」
斜め前の窓を眺めている。 目を合わせないよう、その人をそっと盗み見た。
……なぜだか偉そうにゆったりと腕を組んでいる。
金髪というか、彼の髪はよく見ると赤みのない薄い茶色に近い。
彫りが深く、ナチュラルにハーフの人かなと想像する。
年の頃は、従姉ともそう変わらない二十代中半だろうか。
思ったよりも早く気持ちが落ち着いたのは、その人物の雰囲気がやたら品が良いせいだった。 冷たそうな印象と取っつきにくさ。 身にまとうオーラのようなものも感じる。
「まあ、寛ぎたまえよ」
あとどうもいいが、喋りが変だ。
昔の恋愛小説の冒頭を思い出す。
そして逆に、雪国から上京してきて間もない透子が今いるここはお見合いの場である。
……なぜこうなっているのか、透子は考えたくなかった。
同席している義母の話では、カフェではなくサロンというらしい。 チェーン店以外でお茶など飲んだことのない透子には、落ち着かない場所だ。
とにかく、ここはお茶や軽食を楽しむ目的である、東京は青山の洋館風の建物内。
透子の目の前に座っている男性が、おずおずといった様子で挨拶をしてきた。
「は、は、はじめ、まして。 ボクは八…神静と……いい、ます」
単語の間に不自然な区切りのある話し方だ。
透子はなんとはなしに男性を観察してみた。
張り出した耳に丸い鼻。 分厚い眼鏡のせいか細く小さな目。
頭が大きいのか肩幅が狭いのか、座っている彼のアンバランスな体型は極端な猫背のせいかもしれない。
彼の威厳や自信のなさげなその様子は、こういっては失礼だろうか。 少なくとも大企業を束ねるような、財閥の御曹司にはみえないと思う。
「ご丁寧に。 白井透子と申します」
「透子さん。 さすが名だたる家柄の方だけあって、噂どおりにとても素敵な方ですわね」
隣席から義母がいつもの余所行きの笑顔を向けてきて、透子も曖昧にそれに同意した。
「はい……お義母さん」
それにしても、向こうには付き添いの人は居ないのかな? 透子は不思議に思った。
自身の身分は別にしても、良いお家同士のお見合いの席にしては簡単なものだ───とはいえ、透子もこんな席は初めてのこと。
向かいの男性が時おり透子をちらっと見るので、その度に笑いかけようとした。 でもそうすると、すぐに目を逸らされてしまう。
彼はどことなく顔を赤らめていた。
『あたしは絶対イヤなんだからね! あんなブ男なんか!!』
『まあまあ…沙紀ちゃん。 だから透子さんを北陸の田舎から呼び出して養女にしたんだから』
義母の家で従姉とのこんな会話を耳に挟んだのは、つい二週間前のことだった。
両親を事故で亡くしてから、透子は叔母をはじめとした親戚たちと、ほぼ疎遠だった。
それが先々月の初めに突然、当時の叔母が、透子に養子縁組を申し込んできた。
『今後就職にしろ祝いごとにしろ、都会の方がいいでしょう? 親族が居ないのは不便でしょうし。姉さんが亡くなったばかりの時は……沙紀も難しい年ごろだったけど、今まで透子さんに何もしてあげられなかったのが申し訳なくて』
そんな風に優しく声をかけてもらえた肉親なんていなかった。
母の妹である叔母は母と容姿が似ていた。
熟考の末、透子は上京した。
14歳で他界した淡い母親の面影を追うように。
企業の社長宅なだけあり、都内でも立派な義母の家だ。
……しかし透子を迎えた一家の態度は変わらず冷たいものだった。
養子縁組をし、叔母の一人娘の咲希は透子の義姉となるのだろうが、やはり従姉としか思えない。
改めて目の前の華奢なティーカップを眺め、心の中でため息をつく。
それは結局……こういうこと。
いくら考えたくなくとも結論は変わらない。
つまり自分は三つ上の従姉妹の身代わりに過ぎなかった、と。
目の前の男性は義父の関連企業の息子らしい────義母は目の前のお見合い相手と、なんとしてでも親族の関係を持ちたい。
今まで見聞きした話から、それぐらいは透子にも理解できたものの。
今どき政略結婚なんて時代遅れな話だと思う。
透子は中流家庭で育ち、両親亡き後は父母の貯金や保険金で細々と暮らしてきた。
今いるこの場所さえも、どこか他人事みたいな心地なのが正直な気持ちだった。
「では私は少し外すわ。 若い人だけの方がいいわよね。 透子さん、帰りは連絡ちょうだいね。 お迎えに来るから」
バッグを手に持った義母が席を立つ。
テーブルを挟み、取り残された透子と見合い相手はしばらく無言でいた。
無理に表情を作りすぎたせいで顔の筋肉が痛かった。
ふと、ほんの少しだけ男性と目が合った。
すると透子と同じく、ぎこちなくではあるが、彼がはじめて笑いかけてくれた。
ああ、この人と私は似ているのかもしれない──不幸そうには見えない。
けれども、今をやり過ごすことに一等、時間を割いている。 それはつまり幸せじゃないということだ。
人付き合いの不得意そうな彼を眺め、なんとなく、透子はそんな風に思っていた。
◆
自宅へと向かうタクシーの中で義母が口にする。
「先方が立派で気が引けるだろうけど、お作法なんかは、のちのちね? 私もこれでやっと姉さんに恩返しが出来るわ」
「……ありがとうございます」
どうやらお相手を断るという選択肢は自分には無いらしい。
『恩返し』
義母からするとそうなのかもしれない。
裕福な家に嫁ぐ。 それは当然、幸福と同義であると義母は言いたいのだろう。
……お母さんとお父さんもそう思ってくれるんだろうか?
透子が物思いに耽っていた時。
車の横窓を、コツコツと指で打つ軽い音が聞こえた。
辺りを見回すと、透子達が乗っているタクシーは、二車線の信号機の手前で、ちょうど停車している状態だ。
(こんな道路の真ん中で……?)
透子と窓を隔て、車内を覗いているのは派手な金髪の男性のようだった。 それなのに落ち着いた雰囲気のスーツを身に着けているのが不自然にみえる。
彼に気付いたタクシーの運転手が話しかけてきた。
「ん、なんだ? お客さんのお知り合いですか」
「いえ、でも」
男性は透子の顔を見ながら、ガラス越しになにかを言っているようだった。 口がパクパクと忙しなく動いている。
「何かしら。 怖いわ、早く行ってちょうだい」
「でもお義母さん。 もしかしてなにか、事故でもあったのかも?」
透子が車のドアを細く開けた途端。 思いがけず、扉が勢いよく外側にぐいっと引っ張られた。
「え、きゃっ……!」
「白井透子だな?」
体が前のめりになり、ウエストを抱き止められた耳に男性の声が届く。
よく通る声。 咄嗟のことでその場の全員が固まっていた。
「透子さ」
「失礼、白井夫人。 無作法をお許しください。 八神様が先ほど話し足りないことがあると。 少々透子さんをお借りします」
「や、八神様が? えっ、あ、透子さん!?」
そのまま抱えられ、猫の子みたいに透子の体が高く宙に浮く。
屈んでいた際は中性的にみえたこの人は、かなり身長があるらしい。
次いで、隣に停車していた車内へと、ぽんと雑に放り込まれ、「っ??!?」なにか言うまでもなく───あっという間に透子はその場から連れ去られた。
(えええ……えっと。 ど、どうしよう??)
知らない車の中だ。 透子は身を固くして縮こまっていた。
密室の中で完全アウェイとは、思いのほか恐怖心が煽られる。
それでも最初の話の内容からは、どうやら彼は、お見合い相手である八神さんの知り合いらしい。 それなら少なくとも危険は無いと思いたい。
この車はなんというものだろう。 透子はダラダラと心の汗を流しながら周囲を分析しようとした。
映画で見たことがある。
内装が無駄に広い、おそらく外車───いわゆるリムジンとかいうやつ?
足を伸ばせそうな広いシートを覆うカバーは毛皮のごとく感触。
後部座席に掛けているのは先ほどの男性のみだった。
そして前方は仕切りになっていて見えない。
彼が透子の左隣から声をかけてきた。
「手荒な真似をした。済まない」
斜め前の窓を眺めている。 目を合わせないよう、その人をそっと盗み見た。
……なぜだか偉そうにゆったりと腕を組んでいる。
金髪というか、彼の髪はよく見ると赤みのない薄い茶色に近い。
彫りが深く、ナチュラルにハーフの人かなと想像する。
年の頃は、従姉ともそう変わらない二十代中半だろうか。
思ったよりも早く気持ちが落ち着いたのは、その人物の雰囲気がやたら品が良いせいだった。 冷たそうな印象と取っつきにくさ。 身にまとうオーラのようなものも感じる。
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