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それからも林は由衣子につきまとった。用もないのに病院を訪れ、窓口から由衣子を冷やかしたり、帰りを執念深く待って後をつけたりした。
由衣子の住むアパートの前で声を掛けられた事もある。完全に家を特定されていた。
上司や警察に相談する事も考えた。しかしそうすると返って逆効果になるかもしれず、そもそも対応してくれるかも分からない。頼れる上司もいなかった。
薬局の外の部署、例えば看護部長や事務長に相談する事も出来たが話すのが面倒だったのと、薬局を空けて仕事がどんどんたまるよりは相談せずに仕事をやる方を選んだ。由衣子は人に頼るのが苦手だったし、何でも話せる友人もいなかった。
ある日由衣子がアパートを出るとまた林がいた。由衣子は無視して歩き出す。
「生理中だからって冷たいのな」
今日も今日とて彼はキレッキレのセクハラトークを開始した。彼はもうギプスも外れて通院も終わっていた。
彼は由衣子の横を歩きながら、彼女の使用するナプキンのメーカーと商品名を口にした。
彼女の買い物を見ていたのだ。
……彼女の中の何かが、プツン、とキレた瞬間だった。
由衣子の住むアパートの前で声を掛けられた事もある。完全に家を特定されていた。
上司や警察に相談する事も考えた。しかしそうすると返って逆効果になるかもしれず、そもそも対応してくれるかも分からない。頼れる上司もいなかった。
薬局の外の部署、例えば看護部長や事務長に相談する事も出来たが話すのが面倒だったのと、薬局を空けて仕事がどんどんたまるよりは相談せずに仕事をやる方を選んだ。由衣子は人に頼るのが苦手だったし、何でも話せる友人もいなかった。
ある日由衣子がアパートを出るとまた林がいた。由衣子は無視して歩き出す。
「生理中だからって冷たいのな」
今日も今日とて彼はキレッキレのセクハラトークを開始した。彼はもうギプスも外れて通院も終わっていた。
彼は由衣子の横を歩きながら、彼女の使用するナプキンのメーカーと商品名を口にした。
彼女の買い物を見ていたのだ。
……彼女の中の何かが、プツン、とキレた瞬間だった。
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