14 / 14
みたび水槽の部屋(完)
しおりを挟む
夏帆は部屋に上がるとまず、水槽のカクレクマノミの前にしゃがんで挨拶した。
「久しぶり、ニモ」
オレンジ色の可愛らしい海水魚は「やぁご無沙汰」と、こちらに向かってヒレを動かしているように見えた。
「このクマノミさん達、夫婦ですか?」
「うん、ペアで買ったから。そろそろ卵産む頃かもな」
夏帆は何故だか胸がドキドキした。
「先生の部屋に来るの、これで三回目ですね」
夏帆は立ち上がり、感慨深く部屋の中を見回した。
柊の部屋は、いくつもの段ボールが積み上げられているせいで雑然としている。中身が半分残された状態でクローゼットの扉は開け放たれ、床には段ボールの他に、たくさんの書類の束が紐で束ねられ置いてある。
元々狭いのにますます狭くなった部屋の中、柊はここ数日寝起きしているらしい。
が、今の二人には、部屋が窮屈でも問題ない。むしろ、狭ければ狭いほど都合が良かった。
「水槽はどうやって運ぶんですか?」
「それは業者に頼む」
柊は夏帆の部屋に引っ越す予定なのである。柊を刺そうとした男の住んでいたアパートにそのまま居続けるのを、夏帆が嫌がったのだ。とりあえず一緒に住んでから、ゆっくり新しい部屋を探すつもりだ。
「ちょっと休憩」
夏帆はまた水槽の前に座った。
「やっと二人きりになれた」
柊も夏帆の横にあぐらをかく。
夏帆は今朝退院して、柊のアパートに寄った。彼が引っ越す前になんとなく、柊が十二年間暮らし、二人が初めて肌を合わせた部屋を、記憶に留めておきたかった。
「あの日何もなかったら、本当にもう二度と会わないつもりだった?」
柊が尋ねる。
「いえ、またどこかで会えるって信じてましたよ。なんてったって先生は私の、『運命の人』ですから」
さらりと答える。そして柊の肩に頭を預けた。
「それでこそお前だよ」
柊は笑った。
柊に抱えられ、あぐらをかいた上に横向きに乗せられた。軽く抱擁される。
目を閉じると、柊が夏帆の瞼をそっと撫でた。
「実にけしからん睫毛だ。一個人の人生を左右する、とんでもない睫毛だ。俺以外には見せるなよ」
「無理です」
柊は夏帆のシャツの裾をたくし上げ、右脇腹の傷に手を這わせた。柊のしなやかで器用な指。
久々の感覚に、夏帆の身体は熱くなる。
「傷、残っちゃったな」
「名誉の負傷です」
「まだ痛む?」
「激しい運動をしない限りは」
「激しくない運動ならいいってことか」
夏帆はうなずく代わりに柊の背中に手を回した。
柊が手のひらを徐々に上へと移動させる。下着の狭い隙間から胸のふくらみを直に触られたので、夏帆は吐息と共にわずかに首をのけ反らせた。
それを合図に、
「移動しようか」
柊が布団の方に視線を投げる。
段ボールの山の中、布団だけがそのまま敷いてあるのを、夏帆は微笑ましく思う。
「隣は牢屋の中だからいくら叫んだっていいぞ。そっちは棺桶に首までつかった、耳の遠い爺さんだし」
柊が右隣と左隣を指差して言う。
「先生のそういう、ブラックな陰湿さも含めて全部好き」
二人は性急に服を脱がせあった。
夏帆の上で、柊が揺れている。
目を閉じて、苦しそうな気持ちよさそうな、でも真剣な表情だ。
夏帆は痛みも忘れて見入った。
──先生のこんな顔を見られるのは私だけ。
そう思うと、夏帆の気持ちはさらに昂った。手を伸ばし柊の頬を撫でる。
長い前髪が身体と連動して揺れるのを見て、後で切ってあげようと思い付く。
せっかく綺麗な目をしているのだから、全世界にもっとアピールすればいいのに、と。
やがて柊は呻き、夏帆に覆い被さってきた。重みが心地良い。お互い背中に手を回し、固く抱き合う。
「身体、大丈夫?」
「平気です。……先生、夏帆って呼んで」
「……夏帆」
夏帆は満足して微笑む。
「夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆」
荒い息と共に連呼された。
「呼び過ぎです」
息が整った後、夏帆は柊の下から抜け出し、横から頭を包み込んで優しく髪を撫でた。
こうすると柊が安心しきった顔になるのを知っているのだ。年上の男がふと見せる意外な表情は、夏帆の母性本能を十二分に刺激した。
柊も横を向き、夏帆の胸に舌を這わせる。夏帆は吐息を漏らし、さらに強く柊の頭を抱いた。左足の先を、柊の足の間に入れる。
「そう言えば海綿体と海綿って名前似てますね。何か関係あるんですか?」
「ぶりっ子め」
柊が夏帆の、傷のない方の脇腹をくすぐる。
「くすぐったいです」
夏帆は身を捩らせた。
それから二人はしばらく、無言で絡み合っていた。
「夏帆……」
柊が再び夏帆の足の間に入り込んできた。何度も睫毛に口付けされる。
「ちょっと待ってください。水飲んできます」
さっきから熱くて熱くてたまらない。
「五秒で戻ってこい」
「無理です」
夏帆はタオルケットを身体に巻き付けて立ち上がる。
光の速さで段ボールの山を縫って進む。冷蔵庫を開け、ペットボトルの水を勝手にラッパ飲みした。
「あと二秒」
カウントダウンが始まった。
十三年も追い求めた「運命の人」に、こんなにも求められているのだ。
夏帆は幸福な気持ちで、再び段ボールを飛び越える。そしてその勢いのまま、柊の待つ布団にダイブした。
タオルケットがはだけた身体を、柊が受け止める。
「ナーイスキャッチ!」
二人は同時に言って抱き合い、もはや何度目かわからないキスをした。
*
太陽が高く昇り、差し込む光の線が短くなっても、段ボールの山の狭間に敷かれた布団の上に二人はいた。
柊が肘枕をして横になった隣に、夏帆は仰向けに寝転がって、スマホの画面に夢中になっている。
柊は夏帆の真剣な横顔を見つめた。
「さっきから何見てんの」
「壮大な計画を立ててるんです。先生、今日は私達の初デートですよ」
そう言えば夏帆とは短くない付き合いだが、二人きりできちんとした食事を取ったことすらない。海に行った時、軽トラックの車内でコンビニのおにぎりを頬張ったくらいだ。
柊は改めて、夏帆のことを雑に扱ってきたことを反省した。
「お昼はアーケードまで遠征します。ガッツリと丼物でいきましょう。サーモンとイクラとウニの大量に乗った、背徳的な海鮮丼が待ってます」
「初デートで丼物とは確かに壮大だな」
「病院のご飯で健康的になりすぎました。高カロリー食で明日の仕事復帰に備えます。食べ終えたらデザート目指して速やかに電車で移動します」
「デザートもアーケードで良くないか?」
「先生と巨大パフェを制覇したいんです」
夏帆はスマホの画面を柊に見せた。そこにはカラフルなフルーツやチョコレートのゴテゴテと乗った、巨大なパフェが映っている。
九割くらいの処理は夏帆に任せよう、と柊は決めた。
「その後は?」
「食べた後で考えます。空腹で頭が働きません!」
「壮大というか、ぞんざいな計画だな」
夏帆は仰向けから横向きに体勢を変えた。スマホ画面を懸命にスクロールしている。
「十二時三十二分のバスが一番早いですよ」
柊はキュロットスカートの裾から覗く夏帆の太腿を凝視した。
柊の視線に気付き、夏帆はニッコリ微笑む。
「やっぱり前髪、短い方が似合います!」
さっき夏帆の切った柊の前髪は、鏡で見ると左右で長さが違ったり、所々で唐突に数本の毛が飛び出ていたりと不揃いだったが、夏帆によるとそれは「ご愛嬌」というものらしい。
「さ、行きましょうか。先生、私達の冒険は始まったばかりですよ!」
「序盤から打ち切られてどうする」
柊は起きあがろうとする夏帆にのしかかり、抱きしめた。鼻先を胸にうずめる。
「全くお盛んですなぁ」
「それは第三者が言うセリフだろ」
腰の線をなぞる。上から覗き込むと、早くも夏帆はとろんとした目つきになっている。
柊の頭の中では、一回くらいならギリ間に合うだろ、と時間の計算がなされている。
「先生、バスに遅れちゃ──」
夏帆の発言を、柊は唇で強制終了させた。
結局この日、二人は十二時三十二分のバスに乗り遅れ、背徳的な海鮮丼にはありつけず、巨大パフェにも挑戦しなかった。
部屋でやるべきことがたくさんあって、それどころじゃなかったからだ。
一体何をしていたかというと、それは二人だけの秘密──
「久しぶり、ニモ」
オレンジ色の可愛らしい海水魚は「やぁご無沙汰」と、こちらに向かってヒレを動かしているように見えた。
「このクマノミさん達、夫婦ですか?」
「うん、ペアで買ったから。そろそろ卵産む頃かもな」
夏帆は何故だか胸がドキドキした。
「先生の部屋に来るの、これで三回目ですね」
夏帆は立ち上がり、感慨深く部屋の中を見回した。
柊の部屋は、いくつもの段ボールが積み上げられているせいで雑然としている。中身が半分残された状態でクローゼットの扉は開け放たれ、床には段ボールの他に、たくさんの書類の束が紐で束ねられ置いてある。
元々狭いのにますます狭くなった部屋の中、柊はここ数日寝起きしているらしい。
が、今の二人には、部屋が窮屈でも問題ない。むしろ、狭ければ狭いほど都合が良かった。
「水槽はどうやって運ぶんですか?」
「それは業者に頼む」
柊は夏帆の部屋に引っ越す予定なのである。柊を刺そうとした男の住んでいたアパートにそのまま居続けるのを、夏帆が嫌がったのだ。とりあえず一緒に住んでから、ゆっくり新しい部屋を探すつもりだ。
「ちょっと休憩」
夏帆はまた水槽の前に座った。
「やっと二人きりになれた」
柊も夏帆の横にあぐらをかく。
夏帆は今朝退院して、柊のアパートに寄った。彼が引っ越す前になんとなく、柊が十二年間暮らし、二人が初めて肌を合わせた部屋を、記憶に留めておきたかった。
「あの日何もなかったら、本当にもう二度と会わないつもりだった?」
柊が尋ねる。
「いえ、またどこかで会えるって信じてましたよ。なんてったって先生は私の、『運命の人』ですから」
さらりと答える。そして柊の肩に頭を預けた。
「それでこそお前だよ」
柊は笑った。
柊に抱えられ、あぐらをかいた上に横向きに乗せられた。軽く抱擁される。
目を閉じると、柊が夏帆の瞼をそっと撫でた。
「実にけしからん睫毛だ。一個人の人生を左右する、とんでもない睫毛だ。俺以外には見せるなよ」
「無理です」
柊は夏帆のシャツの裾をたくし上げ、右脇腹の傷に手を這わせた。柊のしなやかで器用な指。
久々の感覚に、夏帆の身体は熱くなる。
「傷、残っちゃったな」
「名誉の負傷です」
「まだ痛む?」
「激しい運動をしない限りは」
「激しくない運動ならいいってことか」
夏帆はうなずく代わりに柊の背中に手を回した。
柊が手のひらを徐々に上へと移動させる。下着の狭い隙間から胸のふくらみを直に触られたので、夏帆は吐息と共にわずかに首をのけ反らせた。
それを合図に、
「移動しようか」
柊が布団の方に視線を投げる。
段ボールの山の中、布団だけがそのまま敷いてあるのを、夏帆は微笑ましく思う。
「隣は牢屋の中だからいくら叫んだっていいぞ。そっちは棺桶に首までつかった、耳の遠い爺さんだし」
柊が右隣と左隣を指差して言う。
「先生のそういう、ブラックな陰湿さも含めて全部好き」
二人は性急に服を脱がせあった。
夏帆の上で、柊が揺れている。
目を閉じて、苦しそうな気持ちよさそうな、でも真剣な表情だ。
夏帆は痛みも忘れて見入った。
──先生のこんな顔を見られるのは私だけ。
そう思うと、夏帆の気持ちはさらに昂った。手を伸ばし柊の頬を撫でる。
長い前髪が身体と連動して揺れるのを見て、後で切ってあげようと思い付く。
せっかく綺麗な目をしているのだから、全世界にもっとアピールすればいいのに、と。
やがて柊は呻き、夏帆に覆い被さってきた。重みが心地良い。お互い背中に手を回し、固く抱き合う。
「身体、大丈夫?」
「平気です。……先生、夏帆って呼んで」
「……夏帆」
夏帆は満足して微笑む。
「夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆夏帆」
荒い息と共に連呼された。
「呼び過ぎです」
息が整った後、夏帆は柊の下から抜け出し、横から頭を包み込んで優しく髪を撫でた。
こうすると柊が安心しきった顔になるのを知っているのだ。年上の男がふと見せる意外な表情は、夏帆の母性本能を十二分に刺激した。
柊も横を向き、夏帆の胸に舌を這わせる。夏帆は吐息を漏らし、さらに強く柊の頭を抱いた。左足の先を、柊の足の間に入れる。
「そう言えば海綿体と海綿って名前似てますね。何か関係あるんですか?」
「ぶりっ子め」
柊が夏帆の、傷のない方の脇腹をくすぐる。
「くすぐったいです」
夏帆は身を捩らせた。
それから二人はしばらく、無言で絡み合っていた。
「夏帆……」
柊が再び夏帆の足の間に入り込んできた。何度も睫毛に口付けされる。
「ちょっと待ってください。水飲んできます」
さっきから熱くて熱くてたまらない。
「五秒で戻ってこい」
「無理です」
夏帆はタオルケットを身体に巻き付けて立ち上がる。
光の速さで段ボールの山を縫って進む。冷蔵庫を開け、ペットボトルの水を勝手にラッパ飲みした。
「あと二秒」
カウントダウンが始まった。
十三年も追い求めた「運命の人」に、こんなにも求められているのだ。
夏帆は幸福な気持ちで、再び段ボールを飛び越える。そしてその勢いのまま、柊の待つ布団にダイブした。
タオルケットがはだけた身体を、柊が受け止める。
「ナーイスキャッチ!」
二人は同時に言って抱き合い、もはや何度目かわからないキスをした。
*
太陽が高く昇り、差し込む光の線が短くなっても、段ボールの山の狭間に敷かれた布団の上に二人はいた。
柊が肘枕をして横になった隣に、夏帆は仰向けに寝転がって、スマホの画面に夢中になっている。
柊は夏帆の真剣な横顔を見つめた。
「さっきから何見てんの」
「壮大な計画を立ててるんです。先生、今日は私達の初デートですよ」
そう言えば夏帆とは短くない付き合いだが、二人きりできちんとした食事を取ったことすらない。海に行った時、軽トラックの車内でコンビニのおにぎりを頬張ったくらいだ。
柊は改めて、夏帆のことを雑に扱ってきたことを反省した。
「お昼はアーケードまで遠征します。ガッツリと丼物でいきましょう。サーモンとイクラとウニの大量に乗った、背徳的な海鮮丼が待ってます」
「初デートで丼物とは確かに壮大だな」
「病院のご飯で健康的になりすぎました。高カロリー食で明日の仕事復帰に備えます。食べ終えたらデザート目指して速やかに電車で移動します」
「デザートもアーケードで良くないか?」
「先生と巨大パフェを制覇したいんです」
夏帆はスマホの画面を柊に見せた。そこにはカラフルなフルーツやチョコレートのゴテゴテと乗った、巨大なパフェが映っている。
九割くらいの処理は夏帆に任せよう、と柊は決めた。
「その後は?」
「食べた後で考えます。空腹で頭が働きません!」
「壮大というか、ぞんざいな計画だな」
夏帆は仰向けから横向きに体勢を変えた。スマホ画面を懸命にスクロールしている。
「十二時三十二分のバスが一番早いですよ」
柊はキュロットスカートの裾から覗く夏帆の太腿を凝視した。
柊の視線に気付き、夏帆はニッコリ微笑む。
「やっぱり前髪、短い方が似合います!」
さっき夏帆の切った柊の前髪は、鏡で見ると左右で長さが違ったり、所々で唐突に数本の毛が飛び出ていたりと不揃いだったが、夏帆によるとそれは「ご愛嬌」というものらしい。
「さ、行きましょうか。先生、私達の冒険は始まったばかりですよ!」
「序盤から打ち切られてどうする」
柊は起きあがろうとする夏帆にのしかかり、抱きしめた。鼻先を胸にうずめる。
「全くお盛んですなぁ」
「それは第三者が言うセリフだろ」
腰の線をなぞる。上から覗き込むと、早くも夏帆はとろんとした目つきになっている。
柊の頭の中では、一回くらいならギリ間に合うだろ、と時間の計算がなされている。
「先生、バスに遅れちゃ──」
夏帆の発言を、柊は唇で強制終了させた。
結局この日、二人は十二時三十二分のバスに乗り遅れ、背徳的な海鮮丼にはありつけず、巨大パフェにも挑戦しなかった。
部屋でやるべきことがたくさんあって、それどころじゃなかったからだ。
一体何をしていたかというと、それは二人だけの秘密──
0
お気に入りに追加
5
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!



甘い温度でふれて満たして
春密まつり
恋愛
過去に発行した同人誌のWEB再録です。
主人公 安部深雪には悩みがふたつあった。
それは、会社の温度が寒いことと、好きな人のことだった。
好きな人はまさに会社の温度を下げている三ツ橋涼。
彼は深雪のことを気軽に「好きだ」という。冗談めかした言葉に深雪は傷つき悩んでいた。
けれどある会社の飲み会の帰り、ふたりきりになった時に抱きしめられてしまう。
それも冗談だと笑う涼に深雪は翻弄されて――。

スパルタ上司と甘くとろけるチョコレートキス
散りぬるを
恋愛
2月14日バレンタインデー。その日、大園紗和(26)は朝から頭を悩ませていた。
物腰柔らかな口調とは裏腹に、妥協を許さないスパルタ上司ーー米山将彦(34)にチョコを渡すかどうかで。
それは「日頃のお礼として」用意したチョコだったのだが、米山に対して苦手意識を持つ紗和は、昼休みになっても渡せずにいた。しかし、ふいに訪れた2人きりの時間。そしてまさかの、米山からの告白。
会社では見せることのない米山の意外な一面に、紗和はドキドキしてしまって……?
最初から最後まで甘い、バレンタインデーをテーマにした短編です。
※ムーンライトノベルズからの転載です。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる