5 / 9
第0話 「女神と魔王」
第0話 ④「女神と魔王」〈カタルシス編〉
しおりを挟む
アテネは、リンネを両手で優しく包むようにして、強く抱きしめた。その姿は、泣いていた。アテネ1人では、少しパニックになっていた為、正確な判断が出来なかった。なので、呑気に空中で会話をしながら、降りてくる2人に助けを求め叫んだ。
「サタン !! アレス !! 」
何事かと驚いた2人は、即座に会話を止め、アテネの元へ降りてきた。
そして、翼を失くし、気を失っているリンネと、そのリンネを抱きしめ、泣き沈んでいるアテネを見た、アレスとサタンは、とてもショックを受けた。
アレスは、リンネに話しかけた。
「リンネくん !! 生きてるかい ? 息してる ? 」
生存確認がしたかったのだろう。
サタンは、その状況を受け入れることが出来ず、こう言った。
「リンネ ! 翼は ? … 」
アレスは、リンネからの応答がないこと、リンネの背中から血が流れていること、など、状況を判断し、把握した。
そして、現場の状況、ここに来るまでに怪しい者はいなかったか、など、冷静に1人、頭を働かせた。すると、思い出す。
「あっ ! さっきの天使たち !! 」
サタンは、目の前のリンネとアテネしか頭にない状況だったが、この言葉は耳に入り、アレスに聞き返した。
「ん ? 天使たち ? 」
天使たちを殺してしまいそうなほど、怖い表情だった。
アレスは、苛立ちや葛藤を隠せず、自分の見た者をサタンとアテネに説明する。
「さっき、この場所から、急いで立ち去る天使たちを見た ! 何が知っているかもしれない ! 聞いてくる ! 」
アレスは、近所の神 2人と、天使たち3人を捕まえ、話を聞こうと、頭に血を昇らせ、追いかけようと考えまた。だが、怒りが込み上げ顔に出る。アレスは、この顔を見られたくなく、アテネとサタンに背を向けた。急いで翼を広げ、少し宙に浮いたその時だ。誰かがアレスのズボンの裾を掴んで、引き止めた。
「まって ! … アレス 」
そうゆっくり言ったのは、目を覚ましたばかりのリンネだった。
アレスは、体を止め、振り返った。
それと同時に、 引き止められた訳を知りたい欲で、 リンネの記憶を無意識に覗いてしまった。
「あの、天使たちの仕業か !! 」
リンネの記憶を通し、真相を知ったアレスは、さらに怒り狂うような目つきになった。
だが、アテネは、そのアレスに腹を立て怒った。
「アレス ! まさか !! 記憶を覗いたの ? 」
アレスは、はっと気づき、目を下の方にむけ謝る。
「あ … うん ! … ごめん ! 覗くつもりは … 」
記憶を覗くという行為は、相手のフラッシュバックを得て、見ることができるのである。なので、アテネは、アレスに記憶を覗かれ、リンネの苦しむような表情を見た。だから、怒っていたのだった。
そうとも知らず、サタンは、近所に住む神 2人と、天使 3人に対し、腸が煮えくり返るような怒りを見せた。
「ここに住む神と天使どもが ? 、リンネをこんなにしやがったのか ?? !! 」
サタンは、強く顔を歪ませ、アレスに問うた。
アレスは、それを少し怖いと怯え、答える。
「はっ … はい ! 崩壊のエデンで【 カタルシス 】を遣って ! 」
サタンは、さらに強く顔を歪ませ、瘴気まで放ち、激怒した。
「崩壊だと !! 。【 カタルシス 】… 。許せん ! 。神と天使ども ! 、許せん !! 」
サタンは、黒い翼を広げ初め、近所の神2人と天使3人どころか大量に殺しそうな。そんな様子で、この場を去ろうとしていた。それをアテネが、止める。
「サタン ! 、サタン !! 落ち着いて !! 」
この言葉は、サタンには届かなかった。アテネはアレスに叫んだ。
「アレス ! サタンを止めて !! 」
アレスは、返事をし、素早く動いた。
サタンの前で、両手を大きく広げ、通せんぼし、言った。
「サタンさん ! 大丈夫だ ! 落ち着いて ! 」
「うるさい !! 黙れ !! アレス !! 」
と、サタンは、前にいるアレスを片手で掴んで振り落とし、もう片方の手の爪で右頬に引っかき傷を与えてしまった。が、気にとめず、サタンは、落ち着けない。今にも我を忘れ、暴れだしそうだ。そんな姿にアレスは、怯え、何も出来なくなり、固まっていた。
その時 !! 、リンネが痛みを我慢しながら、ゆっくり小さい口をあけ言った。
「おとう … さん … ! 。これはね … 、 僕が自分で … やったことだ … 。ごめんね … おとうさん … 。」
それを聞いたサタンは、怒りの顔を笑顔に変えた。
「なんだ ! 、お前がやったのか ! そうか、そうか ! 」
アレスは、口を挟む。
「んっ ? リンネくんが自分で翼を ?? 分かるよね ! 、違うよ ! 」
アテネは、俯きながら、アレスに強くあたる。
「アレス ! もういいの !! 」
アレスは、状況を呑み込めず、
「よくないよ !! 。 さっきの天使達 、 探してくる !! 」
と、混濁した表情を残し、空へ飛んで行った。
「 アッ … アレス … … まって 」
リンネは、少し焦る表情を見せた。
近所の神々・天使たちを庇おうとしていたからだ。その事に気づいていたアテネとサタン。
アテネは、リンネを再び抱きしめ言った。
「リンネ 、 大丈夫よ ! 自分のことを考えてね。 痛みはない ? 」
「あるに決まってるだろ ?! 。 こんなに血が … ! 」
サタンも、リンネのそばに寄り添い心配を示した。
アテネは、サタンに相談した。
「ねぇ、サタン ! どうにか出来ない ? 」
「んー、この世界だしな、 もう魔力は遣えない」
「そうよね ~ … … 。」
どうすることも出来ないのかとアテネは、思ったが、1つ、喜びに溢れたように閃いた。
「あっ !! パナケイア様の所へ連れていきましょう ! 」
「ん 、 だれ ? それ ? 」
「医者よ ! 医術、癒しを司る女神様なの ! あっでも … サタンは来ないで 。 」
「なぜだ ?! 」
「パナケイア様は、魔界が魔界の者が、大っ嫌いな方だから」
サタンは、何も言えず、飲み込んだ。
「あぁ、分かった ... 気をつけて ! 」
アテネは、 リンネを抱えて、 パナケイア様という女神のいる神殿へと向かって、飛んで行った。
1人残されたサタンは、家に帰って、 アレスとアテネの帰りを待つことにした。
アテネは、ものすごい速さで空を飛び、パナケイア様の神殿に到着した。ここは、ミクロスから、50000km程、離れた場所にあり、神を基準にすると、移動時間は、5時間かかる。それをアテネは今回、2時間で到着した。
アテネは、息を切らせながら、呼び叫んだ。
「パナケイア様 ! … パナケイア様 !! アテネです 。 … パナケイア様 !! 」
【続く】
「サタン !! アレス !! 」
何事かと驚いた2人は、即座に会話を止め、アテネの元へ降りてきた。
そして、翼を失くし、気を失っているリンネと、そのリンネを抱きしめ、泣き沈んでいるアテネを見た、アレスとサタンは、とてもショックを受けた。
アレスは、リンネに話しかけた。
「リンネくん !! 生きてるかい ? 息してる ? 」
生存確認がしたかったのだろう。
サタンは、その状況を受け入れることが出来ず、こう言った。
「リンネ ! 翼は ? … 」
アレスは、リンネからの応答がないこと、リンネの背中から血が流れていること、など、状況を判断し、把握した。
そして、現場の状況、ここに来るまでに怪しい者はいなかったか、など、冷静に1人、頭を働かせた。すると、思い出す。
「あっ ! さっきの天使たち !! 」
サタンは、目の前のリンネとアテネしか頭にない状況だったが、この言葉は耳に入り、アレスに聞き返した。
「ん ? 天使たち ? 」
天使たちを殺してしまいそうなほど、怖い表情だった。
アレスは、苛立ちや葛藤を隠せず、自分の見た者をサタンとアテネに説明する。
「さっき、この場所から、急いで立ち去る天使たちを見た ! 何が知っているかもしれない ! 聞いてくる ! 」
アレスは、近所の神 2人と、天使たち3人を捕まえ、話を聞こうと、頭に血を昇らせ、追いかけようと考えまた。だが、怒りが込み上げ顔に出る。アレスは、この顔を見られたくなく、アテネとサタンに背を向けた。急いで翼を広げ、少し宙に浮いたその時だ。誰かがアレスのズボンの裾を掴んで、引き止めた。
「まって ! … アレス 」
そうゆっくり言ったのは、目を覚ましたばかりのリンネだった。
アレスは、体を止め、振り返った。
それと同時に、 引き止められた訳を知りたい欲で、 リンネの記憶を無意識に覗いてしまった。
「あの、天使たちの仕業か !! 」
リンネの記憶を通し、真相を知ったアレスは、さらに怒り狂うような目つきになった。
だが、アテネは、そのアレスに腹を立て怒った。
「アレス ! まさか !! 記憶を覗いたの ? 」
アレスは、はっと気づき、目を下の方にむけ謝る。
「あ … うん ! … ごめん ! 覗くつもりは … 」
記憶を覗くという行為は、相手のフラッシュバックを得て、見ることができるのである。なので、アテネは、アレスに記憶を覗かれ、リンネの苦しむような表情を見た。だから、怒っていたのだった。
そうとも知らず、サタンは、近所に住む神 2人と、天使 3人に対し、腸が煮えくり返るような怒りを見せた。
「ここに住む神と天使どもが ? 、リンネをこんなにしやがったのか ?? !! 」
サタンは、強く顔を歪ませ、アレスに問うた。
アレスは、それを少し怖いと怯え、答える。
「はっ … はい ! 崩壊のエデンで【 カタルシス 】を遣って ! 」
サタンは、さらに強く顔を歪ませ、瘴気まで放ち、激怒した。
「崩壊だと !! 。【 カタルシス 】… 。許せん ! 。神と天使ども ! 、許せん !! 」
サタンは、黒い翼を広げ初め、近所の神2人と天使3人どころか大量に殺しそうな。そんな様子で、この場を去ろうとしていた。それをアテネが、止める。
「サタン ! 、サタン !! 落ち着いて !! 」
この言葉は、サタンには届かなかった。アテネはアレスに叫んだ。
「アレス ! サタンを止めて !! 」
アレスは、返事をし、素早く動いた。
サタンの前で、両手を大きく広げ、通せんぼし、言った。
「サタンさん ! 大丈夫だ ! 落ち着いて ! 」
「うるさい !! 黙れ !! アレス !! 」
と、サタンは、前にいるアレスを片手で掴んで振り落とし、もう片方の手の爪で右頬に引っかき傷を与えてしまった。が、気にとめず、サタンは、落ち着けない。今にも我を忘れ、暴れだしそうだ。そんな姿にアレスは、怯え、何も出来なくなり、固まっていた。
その時 !! 、リンネが痛みを我慢しながら、ゆっくり小さい口をあけ言った。
「おとう … さん … ! 。これはね … 、 僕が自分で … やったことだ … 。ごめんね … おとうさん … 。」
それを聞いたサタンは、怒りの顔を笑顔に変えた。
「なんだ ! 、お前がやったのか ! そうか、そうか ! 」
アレスは、口を挟む。
「んっ ? リンネくんが自分で翼を ?? 分かるよね ! 、違うよ ! 」
アテネは、俯きながら、アレスに強くあたる。
「アレス ! もういいの !! 」
アレスは、状況を呑み込めず、
「よくないよ !! 。 さっきの天使達 、 探してくる !! 」
と、混濁した表情を残し、空へ飛んで行った。
「 アッ … アレス … … まって 」
リンネは、少し焦る表情を見せた。
近所の神々・天使たちを庇おうとしていたからだ。その事に気づいていたアテネとサタン。
アテネは、リンネを再び抱きしめ言った。
「リンネ 、 大丈夫よ ! 自分のことを考えてね。 痛みはない ? 」
「あるに決まってるだろ ?! 。 こんなに血が … ! 」
サタンも、リンネのそばに寄り添い心配を示した。
アテネは、サタンに相談した。
「ねぇ、サタン ! どうにか出来ない ? 」
「んー、この世界だしな、 もう魔力は遣えない」
「そうよね ~ … … 。」
どうすることも出来ないのかとアテネは、思ったが、1つ、喜びに溢れたように閃いた。
「あっ !! パナケイア様の所へ連れていきましょう ! 」
「ん 、 だれ ? それ ? 」
「医者よ ! 医術、癒しを司る女神様なの ! あっでも … サタンは来ないで 。 」
「なぜだ ?! 」
「パナケイア様は、魔界が魔界の者が、大っ嫌いな方だから」
サタンは、何も言えず、飲み込んだ。
「あぁ、分かった ... 気をつけて ! 」
アテネは、 リンネを抱えて、 パナケイア様という女神のいる神殿へと向かって、飛んで行った。
1人残されたサタンは、家に帰って、 アレスとアテネの帰りを待つことにした。
アテネは、ものすごい速さで空を飛び、パナケイア様の神殿に到着した。ここは、ミクロスから、50000km程、離れた場所にあり、神を基準にすると、移動時間は、5時間かかる。それをアテネは今回、2時間で到着した。
アテネは、息を切らせながら、呼び叫んだ。
「パナケイア様 ! … パナケイア様 !! アテネです 。 … パナケイア様 !! 」
【続く】
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
亡国の系譜と神の婚約者
仁藤欣太郎
ファンタジー
二十年前に起こった世界戦争の傷跡も癒え、世界はかつてない平和を享受していた。
最果ての島イールに暮らす漁師の息子ジャンは、外の世界への好奇心から幼馴染のニコラ、シェリーを巻き込んで自分探しの旅に出る。
ジャンは旅の中で多くの出会いを経て大人へと成長していく。そして渦巻く陰謀、社会の暗部、知られざる両親の過去……。彼は自らの意思と無関係に大きな運命に巻き込まれていく。
☆本作は小説家になろう、マグネットでも公開しています。
☆挿絵はみずきさん(ツイッター: @Mizuki_hana93)にお願いしています。
☆ノベルアッププラスで最新の改稿版の投稿をはじめました。間違いの修正なども多かったので、気になる方はノベプラ版をご覧ください。こちらもプロの挿絵付き。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる