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生涯、彼は初恋の修道女を忘れる事ができない
凍えそうな眼差し①
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ミサが始まる15分前。
マリーは1つに結い上げた髪紐が切れ、頬にかかる髪にはっとした。
「マリーどうしたの?」
「すいません。髪紐が切れてしまって……」
「あら、大変。準備は私たちがしておくから早く部屋で直して来なさい」
「わかりました。失礼します……!」
マリーは先輩である秘書官にミサの準備を引き継いだ後、小走りで自室に向かった。
今日は一般開放もしている日曜日のミサだ。
一般市民にも開放し、修道院で皆で祈りを捧げ、神の言葉を聞くありがたい日。
信者にとって月曜日からの日常生活を頑張るために必要な恒例行事なので、大切な勤めである。
マリーは部屋に戻る途中、修道服を着て前が見えないくらい深いフードの被ったユートゥルナを見つけた。
ちなみにユートゥルナは男と言う事を隠すために、顔を見せないようにこのような格好をしている。
彼の側使えである秘書修道女たちも一般的には謎に包まれた者であり、市民の祭典では基本的に彼と同じ前が見えないくらい深いフードを被るのが通例だ。だからマリーもフードを被っている。
なぜそんな恰好をするのか分からないが、修道女、とくに側使えは神聖な神の女なので顔を晒さないのがここの決まりだった。
ユートゥルナは神官とミサの話をしているようでマリーには気づかなかった。
マリーは上司である彼に遅刻しそうな失態を晒さずにほっとした。
(初歩的なミスだわ。今まで紐なんて切れたことなかったのに……最近はずっと王都で髪を結ってもらっていたから腕が落ちたのかしら? それとも紐がぼろぼろだったとか?)
近頃マリーは仕事以外の時間において、知らない間に魂が抜けたように呆然としている事も多いので、もしかしたら紐の寿命に気づかなかったのかもしれない。
(秘書補佐である私が遅れるわけにはいかないわ。急がなきゃ)
マリーは部屋に戻り、フードを脱いだ。
そして窓辺に置いてある姿見の前に立った。
タンスから取り出した髪紐で手際よく髪をまとめた。
そんな時、ふと窓際に飾ってあった硝子の靴が目に入った。
それはリシャールにもらったもので、未練がましくもその靴に王都を思わせる薔薇の花を添えてある。
実は夜な夜なそれを見つめて、薔薇の香りを嗅いで、あの麗しい最愛の人を思い出しているのだ。
唯一の特技である絵も描かずに、甘い動悸がする胸を押さえて、ひたすらあの日々と最後の夜を思い出す日々。
あれほど好きだった絵は描く気になれない。
しばらく挿絵の仕事も控える予定だった。
時々気が向いて描こうとするのは風景画の下絵ばかりで、人物画は絶対描けそうになかった。
それにマリーにとって年一番のイベントだったコンクールは終わった。当分描かなくても仕事に支障もない。最近は秘書補佐で忙しい。
コンクールの結果は努力賞。
賞金はボランティアで絵を教えに行っている小学校の再建費に充てた。
「コンクールも全部終わっちゃったなぁ……」
思わず嘆息が漏れた。
そして追い討ちをかけるようなに悲しくも、鏡の中には、長くて真っ黒な髪を垂らした女が映っている。
表情は暗く、肌も乾燥し、唇の色も良くない。
瞳の色は紫で、何と言い得ない怪しい色。
「ああ、ローゼは本当にいなくなったのね」
王都に居る時は鏡を見るのが楽しかった。
マリーに魔法をかけて作られたローゼという令嬢は綺麗なエメラルドの瞳にふわふわした栗毛色の巻き毛。
華やかなドレスを着て、いつも微笑んでいた気がする。
「ローゼは確かに綺麗だったなぁ。でもあれは私じゃないし……」
目の前に映るのは、『描きのマリー』だ。
ああ、なんて地味。
真っ黒の髪に黒い修道服に、冴えない表情。
皮肉にも手に取った硝子の靴は透明感があり、ひどく美しい。地味な修道女には似合いやしない。
それでもマリーは恐る恐るそれを履いてみた。
そして思い出すのは、古びた教会に佇む端正な顔をした色素の薄い王子様だ。
硝子のひんやりとした感触が、彼の澄ました横顔の記憶を呼び起こした。
(何も後悔はしていない)
リシャールはマリーに何も要求せず、別れ際に抱いた。
マリーも生涯誰とも情を交わすつもりもなかったし、最後で最高の恋のつもりだったから思い残す事はない。
しかし、今でも急に会いたくなって涙が出て来るから困るのだ。
(いつになったら慣れるんだろう。リシャール様が思い出になるんだろう)
マリーはいつまでもめそめそしていてはだめだと言い聞かせた。
御伽噺の王子様は修道女なんか迎えに来てくれないのだ。
万が一、来たとしても彼はマリーを別人である見つけられない。
それなら、綺麗だったころの思い出のまま彼の中に生き続けたいと思う。
(もう1か月も経ったのだからしっかりしなきゃ。リシャール様から手紙も訪問申請もないのだから、彼の中でこの恋はあの夜に完璧に終わっているのよ。私も早く終わらせなきゃ)
マリーは甘い夢から我に帰り、時計を見上げて驚いた。
「そろそろ行かなきゃ……」
視線の先にあるのは机上のリシャールに向けた手紙だ。
それは今や何通にもなり、この先出す予定がない。
レオナルドにもらった薔薇の便箋は修道院に帰ってから書いた。
マリーは思わずその手紙を手に取った。
その内容は、心からの告白だ。
マリーは修道女になってからどこか世界に馴染めないところがあって、一人でいる時間が好きだった。だから、絵を描いている時が一番楽しかったが、リシャールに出会い日常は全く変わり、味気ない日々が素晴らしく変化した事。
本当はもうリシャールの見かけなんてどうでもよくて、許されるなら深い皺が顔を刻む時まで隣で何気なく語り合う穏やかな日々を夢見ていた事。
願いが叶うなら、休日にふたりで好きな茶葉を買いに行って、近くの公園で花を見ながら時間を気にする事なく話をして、一緒にサンドイッチを食べたかった事。
欲を言えば、ずっと一緒にいれる家族になって、朝を、夜を、寒い日を、温かい日を季節を味わいながら共に生きたかった事。
彼の周りの穏やかな空気を沢山吸って、時には博識の彼に教えを請い、そのやさしさの中で命を削っていきたかった、と。
日常ひとつひとつがどんな絵画よりも清らかで輝かしく、絵なんてその素晴らしい日々勝てはしない、と。
そんな終わった恋を綴った手紙だった。
マリーはそれを空っぽのゴミ箱に捨てた。
マリーは1つに結い上げた髪紐が切れ、頬にかかる髪にはっとした。
「マリーどうしたの?」
「すいません。髪紐が切れてしまって……」
「あら、大変。準備は私たちがしておくから早く部屋で直して来なさい」
「わかりました。失礼します……!」
マリーは先輩である秘書官にミサの準備を引き継いだ後、小走りで自室に向かった。
今日は一般開放もしている日曜日のミサだ。
一般市民にも開放し、修道院で皆で祈りを捧げ、神の言葉を聞くありがたい日。
信者にとって月曜日からの日常生活を頑張るために必要な恒例行事なので、大切な勤めである。
マリーは部屋に戻る途中、修道服を着て前が見えないくらい深いフードの被ったユートゥルナを見つけた。
ちなみにユートゥルナは男と言う事を隠すために、顔を見せないようにこのような格好をしている。
彼の側使えである秘書修道女たちも一般的には謎に包まれた者であり、市民の祭典では基本的に彼と同じ前が見えないくらい深いフードを被るのが通例だ。だからマリーもフードを被っている。
なぜそんな恰好をするのか分からないが、修道女、とくに側使えは神聖な神の女なので顔を晒さないのがここの決まりだった。
ユートゥルナは神官とミサの話をしているようでマリーには気づかなかった。
マリーは上司である彼に遅刻しそうな失態を晒さずにほっとした。
(初歩的なミスだわ。今まで紐なんて切れたことなかったのに……最近はずっと王都で髪を結ってもらっていたから腕が落ちたのかしら? それとも紐がぼろぼろだったとか?)
近頃マリーは仕事以外の時間において、知らない間に魂が抜けたように呆然としている事も多いので、もしかしたら紐の寿命に気づかなかったのかもしれない。
(秘書補佐である私が遅れるわけにはいかないわ。急がなきゃ)
マリーは部屋に戻り、フードを脱いだ。
そして窓辺に置いてある姿見の前に立った。
タンスから取り出した髪紐で手際よく髪をまとめた。
そんな時、ふと窓際に飾ってあった硝子の靴が目に入った。
それはリシャールにもらったもので、未練がましくもその靴に王都を思わせる薔薇の花を添えてある。
実は夜な夜なそれを見つめて、薔薇の香りを嗅いで、あの麗しい最愛の人を思い出しているのだ。
唯一の特技である絵も描かずに、甘い動悸がする胸を押さえて、ひたすらあの日々と最後の夜を思い出す日々。
あれほど好きだった絵は描く気になれない。
しばらく挿絵の仕事も控える予定だった。
時々気が向いて描こうとするのは風景画の下絵ばかりで、人物画は絶対描けそうになかった。
それにマリーにとって年一番のイベントだったコンクールは終わった。当分描かなくても仕事に支障もない。最近は秘書補佐で忙しい。
コンクールの結果は努力賞。
賞金はボランティアで絵を教えに行っている小学校の再建費に充てた。
「コンクールも全部終わっちゃったなぁ……」
思わず嘆息が漏れた。
そして追い討ちをかけるようなに悲しくも、鏡の中には、長くて真っ黒な髪を垂らした女が映っている。
表情は暗く、肌も乾燥し、唇の色も良くない。
瞳の色は紫で、何と言い得ない怪しい色。
「ああ、ローゼは本当にいなくなったのね」
王都に居る時は鏡を見るのが楽しかった。
マリーに魔法をかけて作られたローゼという令嬢は綺麗なエメラルドの瞳にふわふわした栗毛色の巻き毛。
華やかなドレスを着て、いつも微笑んでいた気がする。
「ローゼは確かに綺麗だったなぁ。でもあれは私じゃないし……」
目の前に映るのは、『描きのマリー』だ。
ああ、なんて地味。
真っ黒の髪に黒い修道服に、冴えない表情。
皮肉にも手に取った硝子の靴は透明感があり、ひどく美しい。地味な修道女には似合いやしない。
それでもマリーは恐る恐るそれを履いてみた。
そして思い出すのは、古びた教会に佇む端正な顔をした色素の薄い王子様だ。
硝子のひんやりとした感触が、彼の澄ました横顔の記憶を呼び起こした。
(何も後悔はしていない)
リシャールはマリーに何も要求せず、別れ際に抱いた。
マリーも生涯誰とも情を交わすつもりもなかったし、最後で最高の恋のつもりだったから思い残す事はない。
しかし、今でも急に会いたくなって涙が出て来るから困るのだ。
(いつになったら慣れるんだろう。リシャール様が思い出になるんだろう)
マリーはいつまでもめそめそしていてはだめだと言い聞かせた。
御伽噺の王子様は修道女なんか迎えに来てくれないのだ。
万が一、来たとしても彼はマリーを別人である見つけられない。
それなら、綺麗だったころの思い出のまま彼の中に生き続けたいと思う。
(もう1か月も経ったのだからしっかりしなきゃ。リシャール様から手紙も訪問申請もないのだから、彼の中でこの恋はあの夜に完璧に終わっているのよ。私も早く終わらせなきゃ)
マリーは甘い夢から我に帰り、時計を見上げて驚いた。
「そろそろ行かなきゃ……」
視線の先にあるのは机上のリシャールに向けた手紙だ。
それは今や何通にもなり、この先出す予定がない。
レオナルドにもらった薔薇の便箋は修道院に帰ってから書いた。
マリーは思わずその手紙を手に取った。
その内容は、心からの告白だ。
マリーは修道女になってからどこか世界に馴染めないところがあって、一人でいる時間が好きだった。だから、絵を描いている時が一番楽しかったが、リシャールに出会い日常は全く変わり、味気ない日々が素晴らしく変化した事。
本当はもうリシャールの見かけなんてどうでもよくて、許されるなら深い皺が顔を刻む時まで隣で何気なく語り合う穏やかな日々を夢見ていた事。
願いが叶うなら、休日にふたりで好きな茶葉を買いに行って、近くの公園で花を見ながら時間を気にする事なく話をして、一緒にサンドイッチを食べたかった事。
欲を言えば、ずっと一緒にいれる家族になって、朝を、夜を、寒い日を、温かい日を季節を味わいながら共に生きたかった事。
彼の周りの穏やかな空気を沢山吸って、時には博識の彼に教えを請い、そのやさしさの中で命を削っていきたかった、と。
日常ひとつひとつがどんな絵画よりも清らかで輝かしく、絵なんてその素晴らしい日々勝てはしない、と。
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