147 / 169
生涯、彼は初恋の修道女を忘れる事ができない
御伽話の王子様①
しおりを挟む
太陽が昇る前の青い薄明りの時間。
辺りは静寂に包まれ、まだ誰もが寝静まる中。
(さようなら。愛おしい、御伽話の王子様)
マリーは横で規則正しい寝息を立てて眠るリシャールを一瞥した後、気だるい身体に鞭を打ち、寝台から出た。
そして、音を立てない様に部屋から出て、今朝フレッドと約束していた待ち合わせ場所に向かった。
フレッドは王都の塀付近で、馬車を用意して待っていた。
マリーは躊躇なく馬車の中に乗り込み、御者に「直ぐに馬車を走らせて下さい」と頼んだ。
「フレッド、ありがとう」
「思ったより早かったね。というか、来ないかと思ったよ」
フレッドは意外そうな顔をしてマリーに問いかける。
「本当によかったの? 今ならまだ引き返せるよ。おれだけ修道院に戻って報告すれば済むんだし……」
「もういいの。フレッド。私は……修道女でも務まらないんだから。今回はたまたま昇進できたけれど……。殿下、いえ、リシャール様の隣に居るのは私じゃあ、難しいことなの」
「マリー……?」
マリーは乱れた髪を結いなおした。
飾り気のない一つ結びをする。
馬車の窓硝子から見える自分は目に涙を溜めて、今にも泣き出しそうなほど悲しげだった。
まるで、世界の終わりのような顔をしている。
すると横に座るフレッドがマリーの頭を優しく撫でた。
「フレッド……?」
「よく頑張ったね。試験とはいえ、知らない土地に来て、怖い思いもつらい思いもあっただろう? もう終わったんだから、泣いてもいいよ。マリーは、うちのマリーはよく頑張ったよ。……マリアちゃんにもちゃんと言っておくよ。マリーはすごかったって。ね。だから、今ぐらい泣いてもいいんだよ」
「うっ……」
フレッドの言葉にマリーは緊張が解け、思わず声を上げて泣いた。
「私には王妃になれないから」と何度か繰り返し、しばらく訳が分からないくらい泣いた。
フレッドはむやみに抱きしめることなく、背中をさすってくれた。
恋を知ったマリーには抱きしめられたい相手は1人しかいないからだ。
フレッドは日頃からむやみに抱き着いて来るくせに、こういう時は普段の軽い言動の割に友達の線引きをしてくれる、そういうところが好きだった。
マリーは、修道院では同期でもあり、ムードメーカーで兄の様な存在でもあるフレッドがいてくれてよかったと思った。
マリーが落ち着いた頃はすっかり朝日が当たりを照らしていた。
窓から見える風景は、見慣れない田舎の田園で、農民たちが畑仕事にいそしんでいた。
「ちょっとだけ聞いて。フレッド」
「なんだい。何でも聞くよ」
「私は自分を静観しているとずっと思っていたの」
「静観?」
「そう。静観。自分は落ちこぼれだから、雑務だけは頑張ればいい。出来る事だけすればそれでいいって」
「マリーは落ちこぼれなんかじゃないよ」
フレッドは若干むっとして、はっきり言った。
そう言えば今回の昇進試験はフレッドが推薦してくれたのだ。
しかもフレッドは自ら執事としてマリーの側にいてくれた。
「いいの。ありがとう。でもね、やっぱりそれは現状から逃げているだけで、何も進歩がなかったってリシャール様に会って気づいたの」
「あの殿下が……?」
「そうなの。ほら、私の絵の魔法だって結婚式の宴会芸くらいにしか使えないって思っていたけど、応用すれば羽を生やして空も少しなら飛べるじゃない。リシャール様ははじめから私の能力を評価してくれたの。そんな人ははじめてだったわ。……要は私は自分で自分を一番見捨てていたの。可能性をつぶしてね。それを気付かされたの」
「……」
「でも、今回はいくら前向きに自分をとらえようとしたけど、ダメだったみたい。王妃になるなんて、私には無理だったわ。結局、逃げたの。静観して。もっと言うなら、何もかも投げ出したの」
当初の予定通り、結局リシャールからとんずらしたのだ。
散々恋人のようなふりをして。
マリーは自分の能力のなさと不甲斐なさを悔いていた。
こんなにつらい思いをするなら身分不相応でもリシャールの側にいて、役立たずなりに頑張ればよかったのかもしれないとすら無責任にも思うくらいだ。
フレッドは首を傾げた。
「そうかな? マリー。君の判断は、悪くなかったと思うけど」
「え」
フレッドから帰って来たのは意外な言葉だった。
「だって今も昔もよくあるだろ。身分差。それを乗り越えて無理やり結婚して、知識も能力もそぐわないのにいきなり身分階級の義務をこなさなきゃならない。だから、苦労したり、現実とのギャップに失望したり、頓珍漢な行動で周りに迷惑かけるやつ。物語なら結婚すればそこでハッピーエンドだけど、現実はその先、棺桶まで人生は続いて行くからね。マリーは自分だけのことを考えたら、任務やおれの事、殿下の事を考えないで、躊躇なく結婚していただろうね。でもそれを君はしなかった。君は他人の事を考えすぎているからだよ。だからこれは君の言う静観なんかじゃない」
「フレッド……?」
フレッドは優しい目つきだった。
「殿下は君のそういうとこを好きだったと思うよ。マリー。こんなこと言うのはあれだけど、王妃になるとか考えなくてもよかったのにな。マリーが結婚しないって言ったらあの人一生独身な気もするし、この際軽い気持ちで結婚すればよかったのに」
「フレッド、言っている事が無茶苦茶だよ」
まさに支離滅裂なフレッドは、マリーの選択が間違っていると言いたいわけではないだろうが腑に落ちない言いようだった。
「まぁ、生きているとね、つらいことって生身に響くよね。おれ死人だから何もないけど、生きていると8割型辛いことばっかだよ。今回のことも、今は辛いけどいつかは『あの頃は精一杯生きた』と思えるんだ。いい思い出になる。出会ったことや恋したことは後からすれば絶対後悔にはならないよ。人を愛した事はいつか生きてきた誇りになる。その経験が未来の自分や自分の人生を作っていくんだ。それに君は、十分頑張ったよ。何も間違っていない」
フレッドはマリーを励ましてくれた。
彼は気休めかもしれないけど、と言うけれど、そうやって気遣ってくれることが嬉しかった。
今はただマリーは、リシャールとの出会いが美しい思い出になることを信じるしかなかった。
そう思うと救われる気がしたのだ。
「おれみたいにゾンビになったら何も感じないんだよ? 修道女だって恋愛は禁止じゃないんだから、今のうちに気持ちいいことしておかなきゃ、ね」
マリーはその真意に気づかないが、彼に首元の痕を指さされて赤くなる。
「フレッドは相変わらずそんな話ばかりなんだから!」
「落ち着いたら昨日の夜の……主に行為の内容を聞きたいなぁ。マリーの初体験」
「もう!」
「おれの話も聞きたい? えっと初恋と初体験は別の人なんだけど近所に住んでた人で名前はーー」
「もう、そんな話ばっかりじゃない。もっとなんか良い話はないの?」
「いや、下ネタ以外ないや。ごめんね」
マリーはあっけらかんとするフレッドに少し笑ったあと、お礼を言った。
「ありがとう。フレッド」
「こちらこそマリーにお礼を言わなきゃならないよ」
「私、何か感謝されるようなことしたっけ?」
この所のマリーはなかなか修道院に帰らないせいでフレッドに迷惑をかけたことはあったが、感謝される覚えはない。
フレッドは何も言わないで、「マリアちゃんがマリーに会いたがっていたよ。おれ、約束したから今度みんなで食事に行こう? おごるよ」と話題を変えた。
マリーは頷いた後、急に眠気が襲ってきて、馬車に揺られて眠った。
フレッドはマリーの寝顔を見つめて、呟いた。
「あの子を好きになってくれてありがとう」
フレッドは随分昔に自分を甦らせた強がりで一人ぼっちの可哀想な王子様を思い出していた。
辺りは静寂に包まれ、まだ誰もが寝静まる中。
(さようなら。愛おしい、御伽話の王子様)
マリーは横で規則正しい寝息を立てて眠るリシャールを一瞥した後、気だるい身体に鞭を打ち、寝台から出た。
そして、音を立てない様に部屋から出て、今朝フレッドと約束していた待ち合わせ場所に向かった。
フレッドは王都の塀付近で、馬車を用意して待っていた。
マリーは躊躇なく馬車の中に乗り込み、御者に「直ぐに馬車を走らせて下さい」と頼んだ。
「フレッド、ありがとう」
「思ったより早かったね。というか、来ないかと思ったよ」
フレッドは意外そうな顔をしてマリーに問いかける。
「本当によかったの? 今ならまだ引き返せるよ。おれだけ修道院に戻って報告すれば済むんだし……」
「もういいの。フレッド。私は……修道女でも務まらないんだから。今回はたまたま昇進できたけれど……。殿下、いえ、リシャール様の隣に居るのは私じゃあ、難しいことなの」
「マリー……?」
マリーは乱れた髪を結いなおした。
飾り気のない一つ結びをする。
馬車の窓硝子から見える自分は目に涙を溜めて、今にも泣き出しそうなほど悲しげだった。
まるで、世界の終わりのような顔をしている。
すると横に座るフレッドがマリーの頭を優しく撫でた。
「フレッド……?」
「よく頑張ったね。試験とはいえ、知らない土地に来て、怖い思いもつらい思いもあっただろう? もう終わったんだから、泣いてもいいよ。マリーは、うちのマリーはよく頑張ったよ。……マリアちゃんにもちゃんと言っておくよ。マリーはすごかったって。ね。だから、今ぐらい泣いてもいいんだよ」
「うっ……」
フレッドの言葉にマリーは緊張が解け、思わず声を上げて泣いた。
「私には王妃になれないから」と何度か繰り返し、しばらく訳が分からないくらい泣いた。
フレッドはむやみに抱きしめることなく、背中をさすってくれた。
恋を知ったマリーには抱きしめられたい相手は1人しかいないからだ。
フレッドは日頃からむやみに抱き着いて来るくせに、こういう時は普段の軽い言動の割に友達の線引きをしてくれる、そういうところが好きだった。
マリーは、修道院では同期でもあり、ムードメーカーで兄の様な存在でもあるフレッドがいてくれてよかったと思った。
マリーが落ち着いた頃はすっかり朝日が当たりを照らしていた。
窓から見える風景は、見慣れない田舎の田園で、農民たちが畑仕事にいそしんでいた。
「ちょっとだけ聞いて。フレッド」
「なんだい。何でも聞くよ」
「私は自分を静観しているとずっと思っていたの」
「静観?」
「そう。静観。自分は落ちこぼれだから、雑務だけは頑張ればいい。出来る事だけすればそれでいいって」
「マリーは落ちこぼれなんかじゃないよ」
フレッドは若干むっとして、はっきり言った。
そう言えば今回の昇進試験はフレッドが推薦してくれたのだ。
しかもフレッドは自ら執事としてマリーの側にいてくれた。
「いいの。ありがとう。でもね、やっぱりそれは現状から逃げているだけで、何も進歩がなかったってリシャール様に会って気づいたの」
「あの殿下が……?」
「そうなの。ほら、私の絵の魔法だって結婚式の宴会芸くらいにしか使えないって思っていたけど、応用すれば羽を生やして空も少しなら飛べるじゃない。リシャール様ははじめから私の能力を評価してくれたの。そんな人ははじめてだったわ。……要は私は自分で自分を一番見捨てていたの。可能性をつぶしてね。それを気付かされたの」
「……」
「でも、今回はいくら前向きに自分をとらえようとしたけど、ダメだったみたい。王妃になるなんて、私には無理だったわ。結局、逃げたの。静観して。もっと言うなら、何もかも投げ出したの」
当初の予定通り、結局リシャールからとんずらしたのだ。
散々恋人のようなふりをして。
マリーは自分の能力のなさと不甲斐なさを悔いていた。
こんなにつらい思いをするなら身分不相応でもリシャールの側にいて、役立たずなりに頑張ればよかったのかもしれないとすら無責任にも思うくらいだ。
フレッドは首を傾げた。
「そうかな? マリー。君の判断は、悪くなかったと思うけど」
「え」
フレッドから帰って来たのは意外な言葉だった。
「だって今も昔もよくあるだろ。身分差。それを乗り越えて無理やり結婚して、知識も能力もそぐわないのにいきなり身分階級の義務をこなさなきゃならない。だから、苦労したり、現実とのギャップに失望したり、頓珍漢な行動で周りに迷惑かけるやつ。物語なら結婚すればそこでハッピーエンドだけど、現実はその先、棺桶まで人生は続いて行くからね。マリーは自分だけのことを考えたら、任務やおれの事、殿下の事を考えないで、躊躇なく結婚していただろうね。でもそれを君はしなかった。君は他人の事を考えすぎているからだよ。だからこれは君の言う静観なんかじゃない」
「フレッド……?」
フレッドは優しい目つきだった。
「殿下は君のそういうとこを好きだったと思うよ。マリー。こんなこと言うのはあれだけど、王妃になるとか考えなくてもよかったのにな。マリーが結婚しないって言ったらあの人一生独身な気もするし、この際軽い気持ちで結婚すればよかったのに」
「フレッド、言っている事が無茶苦茶だよ」
まさに支離滅裂なフレッドは、マリーの選択が間違っていると言いたいわけではないだろうが腑に落ちない言いようだった。
「まぁ、生きているとね、つらいことって生身に響くよね。おれ死人だから何もないけど、生きていると8割型辛いことばっかだよ。今回のことも、今は辛いけどいつかは『あの頃は精一杯生きた』と思えるんだ。いい思い出になる。出会ったことや恋したことは後からすれば絶対後悔にはならないよ。人を愛した事はいつか生きてきた誇りになる。その経験が未来の自分や自分の人生を作っていくんだ。それに君は、十分頑張ったよ。何も間違っていない」
フレッドはマリーを励ましてくれた。
彼は気休めかもしれないけど、と言うけれど、そうやって気遣ってくれることが嬉しかった。
今はただマリーは、リシャールとの出会いが美しい思い出になることを信じるしかなかった。
そう思うと救われる気がしたのだ。
「おれみたいにゾンビになったら何も感じないんだよ? 修道女だって恋愛は禁止じゃないんだから、今のうちに気持ちいいことしておかなきゃ、ね」
マリーはその真意に気づかないが、彼に首元の痕を指さされて赤くなる。
「フレッドは相変わらずそんな話ばかりなんだから!」
「落ち着いたら昨日の夜の……主に行為の内容を聞きたいなぁ。マリーの初体験」
「もう!」
「おれの話も聞きたい? えっと初恋と初体験は別の人なんだけど近所に住んでた人で名前はーー」
「もう、そんな話ばっかりじゃない。もっとなんか良い話はないの?」
「いや、下ネタ以外ないや。ごめんね」
マリーはあっけらかんとするフレッドに少し笑ったあと、お礼を言った。
「ありがとう。フレッド」
「こちらこそマリーにお礼を言わなきゃならないよ」
「私、何か感謝されるようなことしたっけ?」
この所のマリーはなかなか修道院に帰らないせいでフレッドに迷惑をかけたことはあったが、感謝される覚えはない。
フレッドは何も言わないで、「マリアちゃんがマリーに会いたがっていたよ。おれ、約束したから今度みんなで食事に行こう? おごるよ」と話題を変えた。
マリーは頷いた後、急に眠気が襲ってきて、馬車に揺られて眠った。
フレッドはマリーの寝顔を見つめて、呟いた。
「あの子を好きになってくれてありがとう」
フレッドは随分昔に自分を甦らせた強がりで一人ぼっちの可哀想な王子様を思い出していた。
0
お気に入りに追加
312
あなたにおすすめの小説

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる