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修道女と王都と、花と、死者
薔薇の街12
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リシャールは相変わらず愛しいくらい抜けている彼女を見て、ため息をついた。
彼女はあの頃と姿かたちは違えど、中身は全く変わっていなかった。
リシャールは彼女が好きだと言う香りの香水と、人気の化粧水を買ってから、彼女の手を引き、店を出た。
「殿下は本当に何も香りをつけてないんですか?」
「まったく付けてない」
「おかしいなぁ……。いつも殿下から物凄く私の好きな香りがするのですが。ああ、もしかして、洗濯洗剤の香りなんですかね?」
「……」
リシャールは先ほども言ったように、香水類は全く付けてない。
男であるリシャールが、香る洗濯洗剤など使用するはずもない。実際は、無臭のはずだ。
なのに、彼女はリシャールの香りが好きだとか、恐ろしく可愛い事を言う。
それは、つまり、無臭であるはずのリシャールに対して、彼女が『いい香り』と好ましく感じるということは、遺伝子的な、生物的な問題なのだ。
(しかし、さすがに『私の体臭を好むと言う事は、私たちは動物的に相性がいいのだ』と正面から言うのは躊躇われるから言わないが、これはもう結婚した方がいいとしか思えないな)
リシャールはこんなにも彼女との身体の相性もいいのなら、一刻も早く結婚するべきだと思った。
だから、切実に、彼女にうだうだ「私は修道院に戻る!」とか「修道女だから結婚できません!」とか、聞き飽きたくだらない話はもうやめてほしかった。
もう、戻るも戻らないも、どっちにせよ、結婚はするのだから。遅かれ早かれ、子供も作るのだから、とリシャールは心に決めていた。
「殿下」
「何だ?」
リシャールの計画を知らない哀れな彼女は、身長差のある彼に視線を合わせるために頭を健気に上に向けて、見上げてきた。
そして、律儀に「あの……ありがとうございます。化粧水まで頂いてしまって……」という。
あの程度の店位、他の支店も含めて買収出来るリシャールにとって、1つや2つのプレゼントくらい容易い物なのに。
リシャールは彼女のこういう礼儀正しいところも好きだった。
というか、おかしなことに、リシャールは気づけば彼女の嫌いなとことは今や何もなかった。
それにしても、昔話の後だからか、リシャールはふと、彼女はあの頃と比べて随分小さいな、と思う。
今繋いでいるこの手も、潰れてしまいそうなくらい小さい。可愛い。
リシャールが、『エマ』だった頃は、今ほど身長差もなく、目線も近かった。
当時小柄で折れそうなくらい細い青年だったリシャールと、比較的はや太りで身長があった彼女の体格は、情けない事にそれほど差がなかった。
二人並べば、女の子2人だと誰も疑わない組み合わせだった。
多少、くっついていても、抱きしめても、手を繋いでも、自転車を二人乗りしても、なかよしさんで済まされたはずだ。
しかし、今の2人の距離は、誰が見ても、小柄な女と背の高い男なわけで、こうやって手を繋げば恋人に見えるだろう。
事実、誰が見ても今のリシャールは男であり、彼女はか弱き女であり、私は少し力をくわえれば簡単に彼女を押し倒せるし、彼女を抱えて連れ去ることも簡単だ(犯罪だが)。
だから、時の流れを感じずにはいられなかった。
リシャールは今から11年前の夏の日に、マリーローゼリーの愛称である『ローゼ』と言う名前で、目の前にいる修道女マリーを呼んでいた頃を思い出した。
そして、彼女の昔話を聞き、ひどく、懐かしい気分になった。
あの時、彼女の名前は修道女マリーではなく、マリーローゼリー・ミュレーだった。
彼は第一王子リシャール・スウルス・メイルアンテリュールではなく、巡回神父の娘である、修道女エマだった。
リシャールはこの機会に今一度、これまでの長い道のりを、次の「目的地」に行くまでに、思い返す事にことにした。
********
リシャールは、ミュレー侯爵邸の火事後、ローゼの体に傷を残してしまったことを深く後悔しつつも、彼女の退院を待つより前に国王陛下より至急帰還命令が下り、町から去った。
あの時、リシャールは、本来あの辺境地である田舎町に居てはいけない人物であった。
あの頃は、とある罪により、宗教裁判にかけられそうになっていたリシャールは、ポールと2人、協力者のもとを転々と逃亡していたのだ。
しかし、逃亡生活というのは実に不安定なものでいつ見つかるか分からないし、どこから足がつくか分からず、怯えるような暮らしだった。
だから、毎回のごとく、ポールは、逃亡に関わったすべての『教会関係者』及び『政治的支援者』たちに得意の催眠術をかけ、口止めをして、痕跡を抹消していた。そしてリシャールたちは、次の逃亡地に行く、という生活を繰り返していた。
「欺くのは味方から」という事が世の中で一番安全だという用心深いポールによって、『エマ』という少女の存在は各地で完璧に消されてきたのだった。
そう、今までの逃亡は、出来るだけ外に出ず目立たないで生活してきたから、それで事足りたのだ。
いくらポールが『エマの記憶』を催眠魔法で消そうとも、目立ってしまえば、町中の人間に術はかけられないからだ。
しかし、『エマ』は田舎町で、火事の日に恐ろしく目立ってしまった。
『エマ』は侯爵令嬢マリーローゼリーを燃え盛る炎の中から助けて、超人的な回復魔法をかけ救命した。弟も瀕死の状態から、無傷まで回復させた。
さぞ目立ったのである。
しかも、最悪な事に、急いで火事に駆けつけたので、フードもなければ、変装もなし。
だから、すべての人々の記憶から『エマ』を消すなんて無理だった。
ただ、その日は、恐ろしい火事であったため、皆、気が動転していた。
すべてが慌しく過ぎていった。
だから、誰も『エマ』の身元をしっかり確認もせずに、超人的な魔法を見て、教会関係者だと思ったのか、誰かが勝手に勘違いして『聖女様!』と私をそう呼んだ。そしたら、他の人々も、『聖女』と呼び出したのだ。
そして、まもなく教会の救急隊がやってきて、運ばれていく2人を見送ったのだ。
ポール曰く、「いい感じにあやふやになったんで、このまま聖女と言う事にしておきましょう。その方があなたも私も都合がいいです」と町中に催眠魔法をかけることは不可能だったので、そういうことにすることにしたのだ。
あの時は王都に無事に帰って国王陛下の顔を見るまでは、いつ、寝首をかかれてもおかしくなかったから、混乱に乗じて、あやふやにするのが一番だったのだ。
その誤った事実が、後のリシャールを10年以上もの間、苦しめるとは知らずに。
彼女はあの頃と姿かたちは違えど、中身は全く変わっていなかった。
リシャールは彼女が好きだと言う香りの香水と、人気の化粧水を買ってから、彼女の手を引き、店を出た。
「殿下は本当に何も香りをつけてないんですか?」
「まったく付けてない」
「おかしいなぁ……。いつも殿下から物凄く私の好きな香りがするのですが。ああ、もしかして、洗濯洗剤の香りなんですかね?」
「……」
リシャールは先ほども言ったように、香水類は全く付けてない。
男であるリシャールが、香る洗濯洗剤など使用するはずもない。実際は、無臭のはずだ。
なのに、彼女はリシャールの香りが好きだとか、恐ろしく可愛い事を言う。
それは、つまり、無臭であるはずのリシャールに対して、彼女が『いい香り』と好ましく感じるということは、遺伝子的な、生物的な問題なのだ。
(しかし、さすがに『私の体臭を好むと言う事は、私たちは動物的に相性がいいのだ』と正面から言うのは躊躇われるから言わないが、これはもう結婚した方がいいとしか思えないな)
リシャールはこんなにも彼女との身体の相性もいいのなら、一刻も早く結婚するべきだと思った。
だから、切実に、彼女にうだうだ「私は修道院に戻る!」とか「修道女だから結婚できません!」とか、聞き飽きたくだらない話はもうやめてほしかった。
もう、戻るも戻らないも、どっちにせよ、結婚はするのだから。遅かれ早かれ、子供も作るのだから、とリシャールは心に決めていた。
「殿下」
「何だ?」
リシャールの計画を知らない哀れな彼女は、身長差のある彼に視線を合わせるために頭を健気に上に向けて、見上げてきた。
そして、律儀に「あの……ありがとうございます。化粧水まで頂いてしまって……」という。
あの程度の店位、他の支店も含めて買収出来るリシャールにとって、1つや2つのプレゼントくらい容易い物なのに。
リシャールは彼女のこういう礼儀正しいところも好きだった。
というか、おかしなことに、リシャールは気づけば彼女の嫌いなとことは今や何もなかった。
それにしても、昔話の後だからか、リシャールはふと、彼女はあの頃と比べて随分小さいな、と思う。
今繋いでいるこの手も、潰れてしまいそうなくらい小さい。可愛い。
リシャールが、『エマ』だった頃は、今ほど身長差もなく、目線も近かった。
当時小柄で折れそうなくらい細い青年だったリシャールと、比較的はや太りで身長があった彼女の体格は、情けない事にそれほど差がなかった。
二人並べば、女の子2人だと誰も疑わない組み合わせだった。
多少、くっついていても、抱きしめても、手を繋いでも、自転車を二人乗りしても、なかよしさんで済まされたはずだ。
しかし、今の2人の距離は、誰が見ても、小柄な女と背の高い男なわけで、こうやって手を繋げば恋人に見えるだろう。
事実、誰が見ても今のリシャールは男であり、彼女はか弱き女であり、私は少し力をくわえれば簡単に彼女を押し倒せるし、彼女を抱えて連れ去ることも簡単だ(犯罪だが)。
だから、時の流れを感じずにはいられなかった。
リシャールは今から11年前の夏の日に、マリーローゼリーの愛称である『ローゼ』と言う名前で、目の前にいる修道女マリーを呼んでいた頃を思い出した。
そして、彼女の昔話を聞き、ひどく、懐かしい気分になった。
あの時、彼女の名前は修道女マリーではなく、マリーローゼリー・ミュレーだった。
彼は第一王子リシャール・スウルス・メイルアンテリュールではなく、巡回神父の娘である、修道女エマだった。
リシャールはこの機会に今一度、これまでの長い道のりを、次の「目的地」に行くまでに、思い返す事にことにした。
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リシャールは、ミュレー侯爵邸の火事後、ローゼの体に傷を残してしまったことを深く後悔しつつも、彼女の退院を待つより前に国王陛下より至急帰還命令が下り、町から去った。
あの時、リシャールは、本来あの辺境地である田舎町に居てはいけない人物であった。
あの頃は、とある罪により、宗教裁判にかけられそうになっていたリシャールは、ポールと2人、協力者のもとを転々と逃亡していたのだ。
しかし、逃亡生活というのは実に不安定なものでいつ見つかるか分からないし、どこから足がつくか分からず、怯えるような暮らしだった。
だから、毎回のごとく、ポールは、逃亡に関わったすべての『教会関係者』及び『政治的支援者』たちに得意の催眠術をかけ、口止めをして、痕跡を抹消していた。そしてリシャールたちは、次の逃亡地に行く、という生活を繰り返していた。
「欺くのは味方から」という事が世の中で一番安全だという用心深いポールによって、『エマ』という少女の存在は各地で完璧に消されてきたのだった。
そう、今までの逃亡は、出来るだけ外に出ず目立たないで生活してきたから、それで事足りたのだ。
いくらポールが『エマの記憶』を催眠魔法で消そうとも、目立ってしまえば、町中の人間に術はかけられないからだ。
しかし、『エマ』は田舎町で、火事の日に恐ろしく目立ってしまった。
『エマ』は侯爵令嬢マリーローゼリーを燃え盛る炎の中から助けて、超人的な回復魔法をかけ救命した。弟も瀕死の状態から、無傷まで回復させた。
さぞ目立ったのである。
しかも、最悪な事に、急いで火事に駆けつけたので、フードもなければ、変装もなし。
だから、すべての人々の記憶から『エマ』を消すなんて無理だった。
ただ、その日は、恐ろしい火事であったため、皆、気が動転していた。
すべてが慌しく過ぎていった。
だから、誰も『エマ』の身元をしっかり確認もせずに、超人的な魔法を見て、教会関係者だと思ったのか、誰かが勝手に勘違いして『聖女様!』と私をそう呼んだ。そしたら、他の人々も、『聖女』と呼び出したのだ。
そして、まもなく教会の救急隊がやってきて、運ばれていく2人を見送ったのだ。
ポール曰く、「いい感じにあやふやになったんで、このまま聖女と言う事にしておきましょう。その方があなたも私も都合がいいです」と町中に催眠魔法をかけることは不可能だったので、そういうことにすることにしたのだ。
あの時は王都に無事に帰って国王陛下の顔を見るまでは、いつ、寝首をかかれてもおかしくなかったから、混乱に乗じて、あやふやにするのが一番だったのだ。
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