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修道女、姫の護衛をする
彼の秘密②
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先ほどからのリシャールの総出血量はどれくらいだろうか。
マリーは焦っていた。
上衣の上からでは傷の状態も見えないし、一度脱がせて確認しなければいけない。
しっかりとした医師に入念な治療を頼みたいところだが、今は状況がそれを許さないので、マリーが対処するしかない。
あとどれくらいならば、リシャールはもうだろうか。
しかし、リシャールは相変わらずの無表情を装って、平気だと言わんばかりの態度だ。
こんな時でも、リシャールはマリーを頼ることはない。
(こんなに血が出て言うのに相変わらずいつも通りを装うのね……)
リシャールは怪我の辛さを隠してこんな風に装っているのだろう。
失礼な言い方は変わりなく、腹ただしいが、多分それは、マリーたちに心配させまいという、彼なりの優しさなのだろう。
リシャールは血抜き事件も、テオフィルにリシャールが犯人だと疑われていると言われても、「どうでもいい」というような人だ。
マリーの事は過保護なくらい心配して、ひとつの任務もさせてくれないくせに、自分は血抜き事件の疑惑も、国のために戦った王家の罪も、すべて素知らぬ顔で背負っていくような人だ。
(ほんとうに困った方だ。どうしてそんな風にしか言えないんだろう。
さっきは素直にありがとうって言えばよかったのに。怪我をしていて、痛いしつらいって言えばいいのに)
本心は素直に教えてはくれない。
リシャールにとってマリーは取るに取らない庇護対象の存在かもしれないけれど、こんな時くらい頼ってほしかった。
マリーは切なくなりながらも、リシャールの目をのぞき込んだ。
その瞳は、マリーの好きな深い青。緑のようにも見える深くて、落ち着く色だ。いつも変わらない、出会った時から好きな色。
「あの術。王都に来てから考えたんです。……いつも殿下は頭を使えと言ってたでしょう?」
「……そうだったな」
リシャールは彼らしくなく、すこし懐かしむように優しく笑った。
マリーはリシャールに出会って、半ば諦めていた自分の魔法を今一度見つめ直し、練習してきたのだ。
王都に来なかったらきっと修道院の家事だけして、催し用の蝶魔法から進歩なく、自分を静観しながら生きていただろう。
全てはリシャールのおかげだ。
リシャールはマリーに修道女が向いていないと言いながら、アドバイスもくれるし、いつも助けてくれたのだ。
「もう、無理に話さなくて大丈夫ですから」
「……」
「こんなに血が出てつらいでしょう? いくら殿下でも不死身じゃないんですよ。変な強がりやめてください」
リシャールは一瞬マリーを見たが、それ以上何も言わず、目を伏せた。
「今日は変な日だな。……貴様に諭されるなんて」
こんな時でもリシャールはいつも通りのいいようだった。
憎らしいくらい、高い鼻や唇の横顔は綺麗で、物憂げで、余裕すらあるように、佇んでいる。
マリーは一刻も早くリシャールを医者に見せたかった。
(もう、時間がない……!)
マリーには、もう治癒魔法しか手はなかった。
多少の犠牲はあれど、リシャールが助かるならば、それが一番確実だ。
意を決してマリーはリシャールに言う。
先ほどからずっとリシャールに手を握られたままなのだ。
これでは魔法が使えない。
「しばらく魔法を使うので手を離して下さい、殿下」
「嫌だ」
「殿下?……治癒魔法で止血するので、離して下さい」
マリーは出血量から一晩は危ういと判断し、リシャールに手を離すように言い、治癒魔法を使おうとしたが、リシャールが「治癒魔法なんてする必要ない」頑なに嫌がった。
「何言っているんです、私だって、医療班もしてましたし、これくらい」
「大丈夫だと言っているだろう。聞こえなかったのか? これくらいで魔法なんて使うな。貴様が私にそうする価値がない」
確かに治癒魔法を使えば、重症な分、マリーも痛手を負うかもしれない。
下手すれば数日は使い物にならなくなる。
治癒魔法は同じだけ痛みを伴うし、魔力の消費が激しい。
重症であればあるほど、魔力とマリーの寿命を使って治すのが治癒魔法なのだ。
術者に負担が大きい術のため、リシャールは心配しているのだろう。
護衛帰らせてしまったし、離宮に助けてくれる人はいない。
運が悪いことに教会関係者で頼りになるジャンも非番、フレッドも教会に報告に帰っている。
現在、応援はまだ来ない。
「血ならあとで自分で傷口縫うから大丈夫だ」
リシャールは傷口を後で縫うと言っているが、ニコルから逃げ切れるか分からない状況で、後もなにもない。
(出たわね、無茶苦茶な痩せ我慢病。この場に及んで何が偉そうに。ふざけているわ)
この状況下で、マリーが治癒魔法を使うしか方法がないのは目に見えている。
「私が治癒魔法をする価値がないって、どう言う意味ですか? そんなに私が信じられないっていうですか!」
流石のマリーも堪忍袋が切れた。
マリーはものすごい形相でリシャールに詰め寄るが、リシャールは落ち着いていた。
リシャールは呆れた声音で言った。
「……あのな、ローゼ。話を聞け。貴様だってタダじゃ済まないんだ」
「だからって、このまま何にもしなくて殿下が死んじゃったらどうするんですか……!」
「私は死なない」
「雨に打たれたくらいで誰か分からないくらい声が枯れて風邪引くような人が言っても説得力に欠けます!」
何が大丈夫だ。
あの日だって、肌寒い春の土砂降りの中、上衣も着ずに飛び出して、ひどい風邪だったくせに。
今度は死ぬかもしれないのに。
リシャールはマリーの発言を意外そうな顔をして聞いてから、ため息をついた。
「貴様が犠牲になる必要はないだろう? 治癒魔法は負担が大きい。あれだったら、サラ姫を連れて貴様らだけで逃げろ。あとは私がなんとかする」
リシャールは当然のように犠牲になると言った。
マリーは俯き、数秒後、わなわなと怒りで震える。
(もう、限界だわ。この王子様……)
リシャールはマリーが彼を任務ために犠牲にできると思っているのだろうか?
リシャールはマリーが彼の命をそんなにも軽く見ていると思っているんだろうか?
(冗談じゃない。私がどんなに殿下の事を大切に思っているか知りもしないで)
リシャールはマリーにとっては身分の違いにより身を引くくらい大切な人だ。
リシャールの全部は知らないけど、嫌いになれる気がしないし、彼には幸せになってほしいと心から思っている。
リシャールとの日々は、驚くことも多いけど、毎日が色鮮やかで全部覚えているくらい大切な思い出ばかりだ。
自分だけ犠牲になればいいなんて、そんな話は間違っている。
もう二度と、そんな風に言わないでほしかった。
しかし、マリーの気持ちを知ってか、知らずかリシャールは無情にも淡々と言う。
「貴様、この傷を見れば分かるだろう? 治癒魔法は完璧な魔法じゃないんだ。術者の代償が大きい。……下手すれば10年、いや20年くらい寿命縮むぞ。やめておけ」
リシャールの言う通り、治癒魔法は術者の命を削り助ける魔法だ。
医学が発達する前の、一番管理がゆるい禁術。
リシャールの怪我は重症な分、マリーの負担も大きい。
「そんな事、私だって知ってます! でも、医師もいない中、それしか方法がないんですよ。私の寿命の10年、20年がなんだって言うんですか?」
「あのなぁ……」
リシャールが自分だけマリーを好きだと思い込んでいるのは構わない。
しかし、最低限、勝手に死なないでほしい。
お願いだから。
「私は……こんな事で、貴様に早く死なれたら困る」
「私は早死にしても殿下を治します!」
「……貴様は馬鹿だ。話にならない」
リシャールは心底迷惑そうに視線をそらし、ため息をついた。
マリーにとってはその態度ほど腹立つものはない。
普段穏やかで温和なマリーの心の中の何か珍しくこれでもかっと言う具合に、ぶちん! と切れた。
「殿下こそ意味分かりません。いえ、いつも理解はできませんが、今日は一段と分かりません。だいたい、私を何だと思ってるんです? 見殺しにしろといいたいのですか? それこそ、馬鹿にしてます。そういうところが嫌いなんです!」
「……」
マリーは思わずカッとなって言ってしまったのだ。
マリーは焦っていた。
上衣の上からでは傷の状態も見えないし、一度脱がせて確認しなければいけない。
しっかりとした医師に入念な治療を頼みたいところだが、今は状況がそれを許さないので、マリーが対処するしかない。
あとどれくらいならば、リシャールはもうだろうか。
しかし、リシャールは相変わらずの無表情を装って、平気だと言わんばかりの態度だ。
こんな時でも、リシャールはマリーを頼ることはない。
(こんなに血が出て言うのに相変わらずいつも通りを装うのね……)
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失礼な言い方は変わりなく、腹ただしいが、多分それは、マリーたちに心配させまいという、彼なりの優しさなのだろう。
リシャールは血抜き事件も、テオフィルにリシャールが犯人だと疑われていると言われても、「どうでもいい」というような人だ。
マリーの事は過保護なくらい心配して、ひとつの任務もさせてくれないくせに、自分は血抜き事件の疑惑も、国のために戦った王家の罪も、すべて素知らぬ顔で背負っていくような人だ。
(ほんとうに困った方だ。どうしてそんな風にしか言えないんだろう。
さっきは素直にありがとうって言えばよかったのに。怪我をしていて、痛いしつらいって言えばいいのに)
本心は素直に教えてはくれない。
リシャールにとってマリーは取るに取らない庇護対象の存在かもしれないけれど、こんな時くらい頼ってほしかった。
マリーは切なくなりながらも、リシャールの目をのぞき込んだ。
その瞳は、マリーの好きな深い青。緑のようにも見える深くて、落ち着く色だ。いつも変わらない、出会った時から好きな色。
「あの術。王都に来てから考えたんです。……いつも殿下は頭を使えと言ってたでしょう?」
「……そうだったな」
リシャールは彼らしくなく、すこし懐かしむように優しく笑った。
マリーはリシャールに出会って、半ば諦めていた自分の魔法を今一度見つめ直し、練習してきたのだ。
王都に来なかったらきっと修道院の家事だけして、催し用の蝶魔法から進歩なく、自分を静観しながら生きていただろう。
全てはリシャールのおかげだ。
リシャールはマリーに修道女が向いていないと言いながら、アドバイスもくれるし、いつも助けてくれたのだ。
「もう、無理に話さなくて大丈夫ですから」
「……」
「こんなに血が出てつらいでしょう? いくら殿下でも不死身じゃないんですよ。変な強がりやめてください」
リシャールは一瞬マリーを見たが、それ以上何も言わず、目を伏せた。
「今日は変な日だな。……貴様に諭されるなんて」
こんな時でもリシャールはいつも通りのいいようだった。
憎らしいくらい、高い鼻や唇の横顔は綺麗で、物憂げで、余裕すらあるように、佇んでいる。
マリーは一刻も早くリシャールを医者に見せたかった。
(もう、時間がない……!)
マリーには、もう治癒魔法しか手はなかった。
多少の犠牲はあれど、リシャールが助かるならば、それが一番確実だ。
意を決してマリーはリシャールに言う。
先ほどからずっとリシャールに手を握られたままなのだ。
これでは魔法が使えない。
「しばらく魔法を使うので手を離して下さい、殿下」
「嫌だ」
「殿下?……治癒魔法で止血するので、離して下さい」
マリーは出血量から一晩は危ういと判断し、リシャールに手を離すように言い、治癒魔法を使おうとしたが、リシャールが「治癒魔法なんてする必要ない」頑なに嫌がった。
「何言っているんです、私だって、医療班もしてましたし、これくらい」
「大丈夫だと言っているだろう。聞こえなかったのか? これくらいで魔法なんて使うな。貴様が私にそうする価値がない」
確かに治癒魔法を使えば、重症な分、マリーも痛手を負うかもしれない。
下手すれば数日は使い物にならなくなる。
治癒魔法は同じだけ痛みを伴うし、魔力の消費が激しい。
重症であればあるほど、魔力とマリーの寿命を使って治すのが治癒魔法なのだ。
術者に負担が大きい術のため、リシャールは心配しているのだろう。
護衛帰らせてしまったし、離宮に助けてくれる人はいない。
運が悪いことに教会関係者で頼りになるジャンも非番、フレッドも教会に報告に帰っている。
現在、応援はまだ来ない。
「血ならあとで自分で傷口縫うから大丈夫だ」
リシャールは傷口を後で縫うと言っているが、ニコルから逃げ切れるか分からない状況で、後もなにもない。
(出たわね、無茶苦茶な痩せ我慢病。この場に及んで何が偉そうに。ふざけているわ)
この状況下で、マリーが治癒魔法を使うしか方法がないのは目に見えている。
「私が治癒魔法をする価値がないって、どう言う意味ですか? そんなに私が信じられないっていうですか!」
流石のマリーも堪忍袋が切れた。
マリーはものすごい形相でリシャールに詰め寄るが、リシャールは落ち着いていた。
リシャールは呆れた声音で言った。
「……あのな、ローゼ。話を聞け。貴様だってタダじゃ済まないんだ」
「だからって、このまま何にもしなくて殿下が死んじゃったらどうするんですか……!」
「私は死なない」
「雨に打たれたくらいで誰か分からないくらい声が枯れて風邪引くような人が言っても説得力に欠けます!」
何が大丈夫だ。
あの日だって、肌寒い春の土砂降りの中、上衣も着ずに飛び出して、ひどい風邪だったくせに。
今度は死ぬかもしれないのに。
リシャールはマリーの発言を意外そうな顔をして聞いてから、ため息をついた。
「貴様が犠牲になる必要はないだろう? 治癒魔法は負担が大きい。あれだったら、サラ姫を連れて貴様らだけで逃げろ。あとは私がなんとかする」
リシャールは当然のように犠牲になると言った。
マリーは俯き、数秒後、わなわなと怒りで震える。
(もう、限界だわ。この王子様……)
リシャールはマリーが彼を任務ために犠牲にできると思っているのだろうか?
リシャールはマリーが彼の命をそんなにも軽く見ていると思っているんだろうか?
(冗談じゃない。私がどんなに殿下の事を大切に思っているか知りもしないで)
リシャールはマリーにとっては身分の違いにより身を引くくらい大切な人だ。
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リシャールとの日々は、驚くことも多いけど、毎日が色鮮やかで全部覚えているくらい大切な思い出ばかりだ。
自分だけ犠牲になればいいなんて、そんな話は間違っている。
もう二度と、そんな風に言わないでほしかった。
しかし、マリーの気持ちを知ってか、知らずかリシャールは無情にも淡々と言う。
「貴様、この傷を見れば分かるだろう? 治癒魔法は完璧な魔法じゃないんだ。術者の代償が大きい。……下手すれば10年、いや20年くらい寿命縮むぞ。やめておけ」
リシャールの言う通り、治癒魔法は術者の命を削り助ける魔法だ。
医学が発達する前の、一番管理がゆるい禁術。
リシャールの怪我は重症な分、マリーの負担も大きい。
「そんな事、私だって知ってます! でも、医師もいない中、それしか方法がないんですよ。私の寿命の10年、20年がなんだって言うんですか?」
「あのなぁ……」
リシャールが自分だけマリーを好きだと思い込んでいるのは構わない。
しかし、最低限、勝手に死なないでほしい。
お願いだから。
「私は……こんな事で、貴様に早く死なれたら困る」
「私は早死にしても殿下を治します!」
「……貴様は馬鹿だ。話にならない」
リシャールは心底迷惑そうに視線をそらし、ため息をついた。
マリーにとってはその態度ほど腹立つものはない。
普段穏やかで温和なマリーの心の中の何か珍しくこれでもかっと言う具合に、ぶちん! と切れた。
「殿下こそ意味分かりません。いえ、いつも理解はできませんが、今日は一段と分かりません。だいたい、私を何だと思ってるんです? 見殺しにしろといいたいのですか? それこそ、馬鹿にしてます。そういうところが嫌いなんです!」
「……」
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